22.
(※マーシー視点)
「確かにその頬の腫れ痕は、あなたの言う通り、動かぬ証拠としては充分ですね」
ハワード様が、私の言い分に賛同してくれた。
私は、思わず踊りだしそうなほど喜んでいた。
あぁ、なんてことなの……。
ハワード様はカトリーに気があるのかと思っていたけど、やっぱり私のことが好きだったのねぇ。
今のカトリーの顔、傑作だわ。
ハワード様が声をあげた瞬間は、自分の味方をしてくれるのかと思って明るい表情になっていたけど、私の肩を持つ発言だと分かると、途端に暗い表情になった。
いいわ!
とてもいいわ、その顔!
その絶望した顔が見たかったの!
それにしても、まさかハワード様が私の味方をしてくれるなんて思わなかったわ。
エリオット様と違って、とても好印象よ。
彼はカトリーを庇って、私に楯突いたのですからね。
この際、エリオット様から完全にハワード様に乗り換えようかしら。
うん、それもいいわね。
少しエリオット様を突き放すことにしましょう。
そうすれば、私に楯突いたことを後悔して、ハワード様と仲良くなった私に迫ってくるかも。
うんうん、嫉妬心をくすぐる、いいアイディアだわ。
さて、ハワード様が私に賛同してくれたおかげで、生徒たちのカトリーへの不信感は、より強固なものとなった。
この状況ではさすがに、カトリーの退学処分は決定的だろう。
やっと、邪魔者が消えてくれる。
思えば、ここまでくるのに長かった。
初めはエリオット様との婚約を破棄しろと言ったのに、あの女は断った。
だから、私は嫌がらせをして、何とか私の言うことを聞かせようとした。
それなのに、カトリーはエリオット様との婚約を破棄することはしなかった。
無理だと言い張り、強情な態度がさらに私をイラつかせた。
しかも、エリオット様というものがありながら、今度はハワード様と仲良く下校しているところを、私は見せつけられた。
このことが、さらに私をイラつかせることになった。
だから、私は決意したのだ。
今までの嫌がらせでは、まだまだ甘かった。
もっとカトリーを追い込んで、私に楯突いたことを後悔させようと思った。
そして考えたのが、現在実行していることだ。
予想通り、否、予想以上にうまくいっている。
カトリーは絶望感に包まれながら、この学園を去ることになるだろう。
そう思っていたのに……。
「みなさん、落ち着いてください。何か、勘違いしているようですね」
再び、ハワード様が発言した。
生徒たちの注目は、彼に集まった。
「先ほど確かに、動かぬ証拠としては充分だと言いましたが、それがカトリーさんがいじめの犯人だと示すものだとは言っていません。その頬の腫れ痕は、マーシーさん、あなたが犯人だと示す、動かぬ証拠だと言ったのです!」
ハワード様の言葉を聞いて、生徒たちはざわめき始めた。
彼らは混乱している。
そして私も同じく、わけがわからず混乱していた……。




