107、 勇者
魔族討伐の最終局面に有る人族領のある帝国 今その討伐作戦直前に緊急事態が
発生した。
「帝王様 急ぎ御報告が御座います。勇者、アドが 居なくなりました。」*伝令
「何!誠か、勇者は目も開けられない状態と聞き及んで居たが、何故
居なくなった。」*帝王
「はい、薬師が 処方の為一時その場を離れた隙に 居なくなったと報告されて
います、 その時には 通路側及び窓の外に居た番兵も 異常は無かったとの
報告が上がって来て居ります。」*伝令
自分の意思で逃げたか? まさか あの首輪が有るのだ有り得んだろう、では
魔族によって連れ去られたか? まさか 魔族の者ならその場で殺して死体を
晒すのが奴らの手段だ。 では何故居なくなっているのだ?
「帝王様 具申致します、魔族慮討伐と供に新たな勇者を呼び込む準備を致した
方が時策と考えます。私思うに勇者は生きては居ないでしょう。でしたら新たな
勇者は魔族の討伐が終わった後も我が国には有益な存在に成り得ます。討伐体の
組織運営は賢者に任せて我々は 新たな勇者召喚の儀式を執り行う準備を
進めるのが宜しいと思われます。」*宰相
「そう で有るか、 では準備を進めるが良い。」*帝王
何か、今までとは違う。 何か歯車が一・二か所欠けた感覚だ、何か上手く
行かない予感が儂の背中を撫ぜている。
今、俺は功さんを落ち着かせるのに四苦八苦している。
『功さん、大丈夫ですよ 決して貴方を傷つける様な事はしません。落ち着いて
下さい 私が見本です(見た目が悪魔なだけに説得力に欠けるが)皆俺が
人族だと知って居ます、それでも 俺に敵意を向ける魔族は居ません 少し
冷静になって俺の話を聞いて頂けませんか?』
(少し冷静になってくれると良いんだが)
「・・・しっ、しかしこの状況は!」*勇者 なかなか直ぐは馴染めないよね
<太一君、功君は太一君の世代より約70年位前の世界から召喚された
見たいだよ、その位の世代の話をすれば 同調してくれるんじゃないかな。>
そうですか 召喚された世代が俺より70年前って事は 戦時中なのかな?
聞いてみれば 分かるかな。
『功さん 貴方は陸軍でしたか海軍でしたか?』
「はっ、貴方は何を言ってるのですか?」*勇者
『はい、俺は多分貴方の居た時代から約70年後の世界から飛ばされて来た
者です。ですから功さんの世代の話は俺も少しは分かります、お話しして
くれないですか、実は俺の父親も海軍で将校をしていたと聞かされていました。』
「海軍で将校!その言葉は私の記憶から抜き取ったのか!」*勇者
かなり懐疑的な解釈をされる方だな、如何しよう。・・・あっ飯食わせちゃえ。
『功さん お腹空いて無いですか ご飯食べます?御馳走しますよ、
懐かしいの。』
「なっ、何が懐かしい物を提供出来ると言うのだ? どうせ毒だろう。」*勇者
ま、いいかここからは実力行使だ、病み上がりでも胃袋も勇者だろう、全力で
御相手いたす。 アマ手伝ってね、 先ずご飯を炊いて 鯵の干物を焼き始めて
甘い卵焼きも作り始めて、なめこ汁も作って 温玉も良いな、功さん何か
食べたい物有ります? んっ? 酒盗が食べたい、了解!早速出しますね、
それと 小鉢でほうれん草の御浸しと ぜんまいと油揚げの煮物、茄子の
煮浸しも良いね。
今回は功さんに作ってる所を見ていて欲しかったので(キッチンで作って来ては
信じて貰えないと思い) 食堂のテーブルで作業している。
功さんに椅子に座って貰って、箸置きを置いてその上に箸(俺が削り出した奴)
を置いて 飯茶碗にご飯を盛って出す。(既に我慢できず 功さんは手を付け
始めた)続いて 御依頼の酒盗 (かつおとマグロ 両方出す) そして
なめこ汁を出した、口の周りにご飯粒とか 酒盗の欠片とかを付けたまま
一心不乱にご飯を掻っ込む功さんの前に、続々とおかず達を並べて行った、
そして最後に海苔と梅干を出した途端に、 その出した俺の腕をがっしりと掴んで
思いっきり涙目で 信用すると俺に言った。 頭より腹を乗っ取った者の
勝利だった様だ。
完全に落ち着いた功さんと話をすると (煎茶提供中)予科練で研修中にこの
世界に飛ばされて 帝国の勇者にされたらしい らしいとは此処に来る前に
フォーによって外された チョーカーが功さんの精神を乗っ取り、人族の為に
命を賭して戦う事を強要されていた様だ、
(どっちが悪魔かこうなると判らないな 人族)
功さん曰く、何で魔族と戦っていたのかは思い出せない様だ。
『功さんは強制的に召喚されて ここの人族に良いように使われていたって
事だね。』
「そうですね、あのチョーカーが外れて 落ち着いて考えて見れば 私は良い様に
此処使われていたのだと思います。 はぁ~!何でこんな事に巻き
込まれたのか。」*勇者
そうだよね、俺も人のこと言えないけど 突然別世界に召喚されてそこの住人に
良い様に利用されたら そう思うよね。
<功君は 前世に帰りたいと思うかな?>
「あ、あの 此の声の主は誰何ですか?」*勇者
『ああ、それが貴方が殺したと思っていた 魔王軍第4将軍フォーだった
悪魔です。』
フォーいい加減メンドクサイから其処ら辺に有ったゴーレムフォーに入ってから
声を掛けてよ。 <は~い。>
一寸離れた場所のイスに座ったままだったフォーが使っていたゴレームが 突然
動き出す、そして無駄に流暢な動きで此方迄来ると。
<はぁ~い、 功君此れで違和感無くお話しできるよねぇ~。>
(おい、それは無いと思うぞ、大体口を付けてから何かに似ていると思ってた
けど色がグレーで 口だけリアルなゴーレムって ロ〇コップじゃねーか
今更だけど良く見るとソックリだった。)
それでフォーは何故功さんを此処に連れて来たの?
<それは召喚者で操られていたからなんだけど、太一君の私達への反応を
見ていたらこの勇者も 太一君と同じなんじゃないかなと思って。>
如何言う事?
<太一君 魔族の事 差別とか蔑視しないでしょ、太一君の世界から来た
勇者なら同じなんじゃないかなぁ~って 思って。>
『功さんは 今如何お考えですか、此方の人に召喚されて 魔族の事を
如何思っていますか?』
「はい、未だ考えが纏らなくて 返答に困るのですが、見た目は少し違いますが
忌諱する事は無いと思います。」*勇者 ただ勇者の後方より近づく影有り
「太一殿 我はお腹が減ったのじゃ、何か所望する。」*大じいじ




