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【連載版】双子の姉が神子として引き取られて、私は捨てられたけど多分私が神子である。  作者: 池中織奈


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少女、姉のことを考える。



 会おうと思えば、姉に会える。

 ――私と姉は、会話を交わしたことさえなくても、例えその関係が姉妹とは言えないもののように薄っぺらくても、それでも姉妹だ。




 私と姉の血が繋がっていて、家族であることは確かだ。

 私も姉も、互いの事を家族だとは欠片も思っていなかっただろうけれども――それでも私たちは、家族である。





 私は姉のことを気になっている。それは私の生活に余裕が出来たからなのかもしれない。……ミッガ王国に行きたい気持ちは高い。それは私が知らない世界を私に教えてくれるから。

 ……姉に、私は会いたいのか。会いたくないのか。




 風と土の精霊樹の側に腰かけて、ぼーっと空を見上げる。木々の隙間から見える青い空に、気持ちが軽くなる。



 私は姉のことをそこまで考えたことがなかった。

 私にとっての家族は、両親だけで、姉は姉としか認識していなかった。そして姉だってそうだろう。私のことなんて家族とは認識していなかっただろう。




 姉は特別な存在だった。

 ……私が神子だから、私の方が特別なのかもしれないけれど、それでも私にとって姉は特別だった。



 あの綺麗な金色の髪も、その青い目も――姉はあの村でも目立つ存在だった。両親も村人たちも、姉のことを特別に思っていた。私は自分が特別なんて思いもしなかった。





 精霊樹にもたれかかって、私はただぼーっと考える。







「ぐるぐるるるるるる(レルンダ、何か悩みか)」

「レイマー。大丈夫。ちょっと考えていただけ」




 レイマーたち魔物は、こういう風に互いの関係で悩んだりあまりしなさそうだなと思った。

 私たち人は、そういう関係が色々とあるのだなと思った。




 こんなにも人と人の関係で悩むのは初めてかもしれない。それはやっぱり相手が姉だからだろうか……。






 私と姉。

 互いに話したこともない。

 互いに姉妹と認識したこともない。

 互いに家族とも思っていない。

 ――そんな関係性。



 私と姉の関係は、私とこの村の人たちよりもずっと細くて、私が会う選択肢を選ばなければ……私と姉は会うことなんてないかもしれない。






 ――私は姉と会いたいのか?

 ――私は姉とどうしたいのか?




 姉と会えるかもしれないということが分かって、私は……ただそれだけを考えている。

 



 そして目を閉じて、風を感じながら――私は思った。






 会えるのなら、会いたいと。

 話せるなら、話してみたいと。

 それは私と姉が、やっぱり姉妹だから。

 姉と仲良くなれるかどうかは全く分からない。もしかしたら姉は私の事を嫌っているかもしれない。


 私は……姉に対しては嫌いという感情も、好きという感情もない。姉は姉で……特別な存在で、そういうものだと思っていた。

 姉は変わったのだという。私の知っている姉とは違うのだという。なら、私は……今の姉と会って、今の姉と話したなら、私は……姉に何か感じるだろうか。







 姉と仲良くなれたら、本当に仲が良い姉妹のようになれたりするのだろうか――。




 姉と私が仲良く話している光景は、私にとって想像がつかない。私と姉が仲良く――あって、話す。なんだか想像しようとしても実感がわかなくて。

 他のことならもっと簡単に想像できるのに、姉とのことは想像出来ないのが不思議だった。

 ……それだけ私の中で姉の存在が、私が思っているよりもずっと、特別なのかもしれない。






「うん……私、姉に会いたい」



 会ったところで、どうなるかは分からない。

 そもそもあの姉が私と会おうとしてくれるかも分からない。

 この十二年、しゃべったこともないけれど、意識はしていた姉。捨てられるまで存在は知っていたけれど、それだけだった。そして捨てられてからは姉とは遭遇もしていない。



 ――でも会いたいなと思った。

 私たちの関係はきっと普通の姉妹ではない。普通の家族でもない。

 だけれども、私たちは確かに姉妹だから。



 それに会いたいと思った時に会わないと、会えなくなってしまうかもしれない。私は確かに今の姉に会ってみたいと思っているのだから、会いに行くべきだろう。



 そう思ったので、ミッガ王国に是非とも行かないといけない。危険はあるかもしれないけれど、危険を犯してでも――行って、姉に会いたい。





 まずはランさんたちをどうにか説得しないと。心配性な皆を納得させて、姉に会おう。


 ランさんも姉に会いたいと思っているだろうか?

 ランさんは姉の先生をしていたはずだ。なら変わった姉にランさんも会ってみたいと思っているのかもしれない。



 うん、ランさんと一緒に姉に会いに行けたら……楽しいかもしれない。




 私は立ちあがる。

 近くにいたレイマーが急に立ち上がった私にちょっと驚いた様子だった。



「レイマー、私、ランさんたちの所、行ってくるね」

「ぐるぐるるる(分かった。こけないように)」

「うん!!」



 慌ててランさんたちの元へ駆けていく私にレイマーは、心配そうな言葉だった。

 そして私はランさんたちの元へいって、「姉に会いたい」とそう口にしたのだった。




 ――少女、姉のことを考える。

 (神子の少女は、姉のことを考えて、会いたいと願った)




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