02.廃 - 捨てる、廃れる、使えなくなる
口の周りをソースでべっとりさせながら、エルフの王族であるルミナスは語り始めた。
今、世界樹が弱っていること。
ルミナスが、世界樹と対話できる精霊の巫女であり、世界樹を守り管理する大樹の番人であること。
本来エルフとは、世界樹を守り管理するためだけに生まれてきた存在であること。
そして、世界樹とはアースガルドを体現する巨大な木で世界の営みを守るものであること。
その世界樹が弱っているのだ。このままいくとアースガルドの危機ある。
幸い、濃縮された強い魔力を注げば回復するレベルなので今回ルミナスに白羽の矢が立った。
「濃縮された強い魔力、ヴァナニール帝国にあるヨルムンガンドダンジョンの最下層に発生する魔物の魔石が必要なのです」
ルミナスは、口の周りについた付いたソースを服の袖で抜きながらため息を付き、何故盗賊王の奴隷となっていたのかを語った。
ああ、この人あの時のエルフか!
ダンジョン攻略、特に最下層踏破には助っ人が必要だった。
そのため、400年前にエルフの里を救った勇者ノブを頼ることにした。
『精霊魔法』によってノブの匂いをたどった結果たどり着いた人物が盗賊王だった。
エルフと人間では流れている時間が違う。
エルフが400年の間に変わることがなく、ノブは素晴らしい勇者であった記憶のままであったが、人間は400年の間に世代交代を繰り返し、勇者ノブの子孫はただの盗賊となっていた。
ノブの子孫であった盗賊王はルミナスの願いを聞き届けて協力はしないで奴隷にした。
「ノブ様の子孫なのだからとても素晴らしい方だと思ったのですがまさかあんな卑劣漢だとは・・・」
なんだろう、先ほどからエルフの株が下がりっぱなしである。
エルフってもっとこう妖精的で神秘的な・・・。
「あっハンヌークのお代わりお願いします。デミグラスソースで」
そういえばこの人、種族がハイエルフ族になってたね。
廃エルフ・・・。
「そこでナオトさん、あなたは私を盗賊から助けてくれた方だとお聞きしました」
「あっはい」
「助けてくれたことに本当に感謝いたします。本日はお礼の品を持ってきたのです。そしてお願いがあります」
「あっはい」
「私とヨルムンガンドダンジョンに潜ってください」
「はい?」
話をまとめると、魔石収集のために一緒にヨルムンガンドダンジョンの最下層に行ってほしい。
もちろん、他にも冒険者を雇うので戦力に問題ない。
ヨルムンガンドはオワリダンジョンの正式名称。
オワリの大名の全面協力。
報酬も用意。
「ナオトさんは、勇者ノブの子孫を倒した実力があります。是非協力ください。報酬なら何でも用意しますので。なんなら私の体でも!」
「あっそれはいいです」
見た目は綺麗なのに廃エルフにまったく色気を感じない。
「報酬なんですけど、エルフの知識とかは駄目ですか?」
「知識というと?」
「一般常識や神話、伝承、エルフに伝わるスキルや技術、話しても問題ない物で構わないので。僕、そういう知らない知識を集めるのの好きなんですよ」
「了承しました。それならば話は色々あるのでダンジョンに潜っている時にでも少しずつ伝えましょう」
「それで早速なんですが詳しい話を」
「そのことでしたらダジャンさんにお聞きください。詳しい話は苦手なので!私はハンヌークを食べながら話が終わるのを待ちますね」
廃エルフめ・・・。
ダジャンさんによると、ダンジョン攻略は10日後から。
ランクAの冒険者や帝都でも5本の指にはいる侍が招かれたりと、なかなか豪華。
どうやらこれを機にエルフの国と帝国で同盟や貿易の強化など政治的な取引がされた模様。
オワリ大名のバスクール様とダジャンさん達もカオカオの実などの取引で優遇してもらえるため協力的。
米が安く手に入りますよとちょっと魅力的な話も合った。
とりあえず10日後に攻略開始と話でしめられ、ダジャンさんの強い要望でお土産のハンバーグを包みダジャンさんは帰っていった。
「それで、ルミナスさんはなんでまだ残ってるのですか?」
「お礼があると言ったではないですか」
ルミナスさんは、ポシェットの様な小さな鞄から、バスケットボール大の青黒い鉱石を取り出した。
あのポシェットは、マジックバックか。
「これはアダマンタイトと呼ばれる鉱石です。とても固い鉱物で、アダマンタイトで作られた武具は、神をも切ることが可能で、神でも壊すことが出来ない不壊属性が付きます」
この廃エルフ、何かとてつもないことを言っている気がする。
これをくれるってことで良いのかな?
廃エルフだから見せるだけとか言いそうな気も・・・あるな。
「これを差し上げます」
やっほー!
「さらに、ダンジョンに潜るまでの間、私もここに住みます」
「はい?」
「王族で巫女で番人である私、ルミナス=フーリエ=タイジュが住むというのですよ。とても名誉なことです。これは助けていただいたお礼なのです。決してアダマンタイトならお釣りがくるでしょ?それでもっとハンバーグがまた食べたいとかもっと美味しい物を食べされろとか、そういう意図はありませんから」
食欲駄々漏れである。
まともに相手するのも面倒なので了承した。
アダマンタイトにも興味あるしね。
廃エルフの世話は子供達に任せよう、子供達と同レベルの扱いできっと大丈夫だろう。
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アダマンタイト鉱石
世界樹の根の下にある泉フヴェルゲルミルに住む世界樹の根を齧るニーズヘッグの魔石
ニーズヘッグは世界樹を摂取することにより体内で魔石をアダマンタイト鉱石に変質させている
アダマンタイト鉱石を製錬するためには炎の巨人の魔物ムスペルの火種が必要
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アダマンタイト鉱石を鑑定したら不思議単語出まくりだった。
それぞれの単語を『検索』にかけたが、地球の北欧神話を元にした話は出てきたがアースガルドでの意味は検索できなかった。
アルカディアとヴァナニール帝国にはない知識か。
辛うじて世界樹についてはルミナスの語った知識が表示されたくらいだ。
アダマンタイト鉱石を『万物創造』で加工しようとしたら消費最大MPが3000とかとんでもないコストになっていたのであきらめた。
ムスペルの火種を手に入れればなんとかできそうなのであとでルミナスに聞いてみよう。
廃エルフ騒動でとても疲れたのでゆっくりお風呂に入ろうと思った僕はある魔物木材を取り出す。
匂いが強くて敬遠されるけどこの匂いあれなんだよな。
試しに『万物創造』で油を搾ってみるとごくわずかだが精油が取れた。
よし、ヒノキの香りの精油だ。
お風呂のお湯に垂らしてみるととても癒されるお湯になった。
これだよこれ。
僕はヒノキ風呂を満喫した。
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名前 真神尚人 17歳
種族 人間族
職業 勇者
レベル 7
HP 2100/2100
MP 1962/1962
力 400
体 360
俊 360
魔 450
【スキル】
万物創造 共通言語認識 電脳
狩人 剣術 刀術
投擲 体術 ゴブリン式格闘術
回避 解体 火魔法
水魔法 風魔法 土魔法
回復魔法 重力魔法 生活魔法
状態異常魔法 弱体化魔法
遠見 警戒 索敵
空間認識 料理 農業
状態異常耐性 並行詠唱
【称号】
異世界人 勇者 閃光のマヨネーズ
盗賊スレイヤー 帝国勲章
【固有魔法】
ブリットショット
ブリットバースト
サッキングブラット
【装備】
魔剣 吸血鉄塊
皮の鎧
お洒落なマント
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