01.神秘なる自然と豊かさを司る森の妖精エルフ
盗賊王というのを倒してから数日後、体調が完全に戻った僕は、連日ダンジョンに潜っている。
その理由は、慢心だ。
今までは勇者補正による恩恵で力押しが出来た。
とりあえずブリットショット。
みたいなノリで簡単に片づけられた。
しかし、盗賊王との戦いで苦戦したことが転機となった。
これから理不尽な強さをもった魔物が現われるかもしれない。
もっと強力な魔剣を持つ敵が現われるかもしれない。
理不尽なスキルを持つ勇者の子孫が現われるかもしれない。
最も理不尽なスキルを持つ存在、クラスメイトが敵対する可能性もある。
もっと力を付けなくては。
そういう訳で、修行のため連日ダンジョンに潜っている。
オワリのダンジョン地下十一階は、広い平野だった。
東京23区ほどの広さで、横断には徒歩で半日ほど。
周囲は石壁で囲まれ、天井までの高さは50メートルほどあるそうだ。
その天井は、特殊な魔法か何かで空が映し出され、太陽の光が降り注いだり雨が降ったりと地上と変わらない。
時間の変化も地上とリンクしており、昼と夜が存在する。
地下も高さと同じように50メートルほどの深さがあるそうだ。
誰が図ったのか謎である。
地上部分は草原で多少の隆起がある。
森や林、川、湖、池、沼地などが存在し、オークや動物系、植物系、虫系の魔物が生息している。
地上と変わらない不思議空間だが、魔物以外存在しない所がダンジョンか。
地図屋で十一から二十階層までの地図を買った時は、地上と変わらないマップにビックリし、詳しく様子を聞いて疑ったものだが、実際に見てみるとファンタジーだしありだなと納得した。
十一階の魔物だが、ほとんどが素材や食材として使える魔物ばかりだ。
代表的なところでオーク。
人型で二足歩行な豚という外見、顔は豚タイプと猪タイプがある。
武器や防具を装備して人間を襲う。
発情期には種族関係なくメスを攫い孕ませて数を増やす。
雑食だが、肉は好まず穀物や野菜、茸を好む。
『解体』すると、オーク肉(豚肉)や牙、オーク豆や稀に茸をドロップする。
ちなみにこの茸、アースガルドでは食用にされてないのでゴミ扱いだがトリュフである。
他には、穴牛、突水牛、ロック鳥、狂鶏、角羊、大羊、鬼山羊、飛鹿、角兎。
人を見かけると攻撃してくるが草食の魔物だ。
全て美味しい肉になり、地上の動物や家畜の肉より上位で高級品となっている。
また骨や角、毛皮なども人気。
水辺の淡水魚系の魔物も素材や食材になる。
虫系の魔物は甲殻類ぽい味の肉が多く人気。
蜂系は上質なハチミツをドロップするので特に人気。
逆に不人気なのは植物系。
木の魔物が主だがドロップする木材が、兎に角使えない。
魔物木材は匂いが強い。良い匂いなのだが強すぎる。
お香や薪にすると煙が酷い。
家具にしても匂いが酷い。半永久的に強い匂いを発するのである。
良い匂いなのだが強すぎて頭がクラクラするレベル。
食器にしても匂いの問題で使い物にならない。
ちなみにアースガルドでは鉄、銀、ガラス、ステンレスの食器は高価で希少のため、一般的に使用流通しているのは木材の食器である。
そして今、冒険者に人気なのは種。
草食系の魔物がたまにドロップする様々な種類のもので、地上で流通している作物と同じ物ばかりである。
この種は地上で育てると普通の作物になるが、ダンジョンで育てると極上の味となる。
地上の物に比べて10倍以上の値が付くこともある。
以前は、ドロップした種をそのまま放置し、自然に成長した物を収穫していたのだが、、ある冒険者が画期的なことをはじめた。
ダンジョンに住み着き、その種で農業を始めたのである。
ダンジョン農家。
人気過ぎて地下十一階に冒険者で作る小さな農村があるくらいだ。
そんな地下十一階で今日も肉を狩っている。
修行のためにダンジョンに潜る?
そんなことを考えていた時もありました。
すっかりハマった狩り生活で気づいたことがあった。
有耶無耶のうちに手に入れた「魔剣 吸血鉄塊」の便利さと『解体』についての発見だ。
まずは『解体』
普通に魔物を『解体』するより血抜きをしてから『解体』した方が肉が美味しくなるのだ。
そしてそのことに気づいた原因は「魔剣 吸血鉄塊」
血液を吸収することによって切れ味が増すという性能の長期間の戦いで本領を発揮する両手剣。
性能を確かめるために装備して戦闘を繰り返したが、短期決着、一撃離脱をスタイルとしている僕には向いていなかった。
ただ、装備時に使える固有魔法、サッキングブラットが有能だった。
主に血抜きに。
「魔剣 吸血鉄塊」は肉を美味しく狩るための武器だ!
地下十一階での僕のスタイルは「魔剣 吸血鉄塊」を装備。
獲物を見つけたら身を潜め遠距離からブリットショットで倒すか傷をつけてサッキングブラットで血をすいとる。
そして『解体』
高級食材、ナオトブランド肉の完成だ。
ええ、もちろんダジャンさんがそういう品名で売ってます。
そんな狩人みたいな狩りをしていたらある時を境に急に効率が良くなった時があった。
気になってステータスチェックをしたら
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狩人 1/10(クラス)
複数のスキルを統合したクラススキル
魔物に見つかりにくくなる
『弓術』10/10 使用可
『罠』10/10 使用可
『解体』10/10 使用可
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統合スキル覚えちゃってるのだけど特に何もしていないのに・・・。
クラススキル、たしか統合スキルで上位スキルなはず。
その道のプロがよく習得しているスキルと聞くけど・・・。
『解体』のレベルはまだ2だし、『弓術』と『罠』は覚えてないのになんでたと思ったら原因発見。
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勇者
女神の祝福を受けた者
レベル・ステータス・スキルの成長率が高くなる
勇者殺害数1
クラススキルを習得できる
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物騒な項目が増えている・・・。
勇者殺害数1ということは盗賊王のことかな。
公開処刑でも僕が殺したことになるのか。
基準がわからない。
そもそも子孫でもいいのか。
基準が本当にわからない。
というか勇者や勇者関係者を殺すと勇者補正が強くなる事実に驚愕。
ますます子供達の「勇者の眷属」の扱いに気を付けなければ・・・。
クラススキル『狩人』だがスキル自体の能力よりも付属しているスキルレベル10の『弓術』『罠』『解体』の恩恵が凄い。
『弓術』の補正はブリットショットに適応された。
固有技は使えなかったが補正だけども有能。
今は、有効範囲が長くなり、遠距離から狙った場所にピンポイントであてられるようになった。
『罠』は死にスキル。
様々な罠を作れる、設置等の罠関連スキルだがあまり役立つ気がしない。
『解体』は地味に嬉しかった。
より品質の良い素材や食材になったり、同じものが複数個ドロップしたり、レアドロップの確率が上がったりと至れり尽くせりだ。
ただ、『狩人』とは別に『解体』スキルを習得しているのだがこれはどういう扱いだろうと思ったら別スキル扱いだった。
解体時に『狩人』か『解体』か選んで使えるみたいだ。
よし、より良い素材が欲しい時は『狩人』、それ以外は、『解体』を使うようにしよう。
『解体』のスキルレベル10まで上げてナイフと合成させるか『電脳』に組み込むかしたいからね。
日々ダンジョンで狩りをしている僕は、今ひき肉をこねている。
『狩人』スキルのおかげで上質のオーク肉(豚肉)と穴牛(牛肉)が大量に手にはいったからだ。
だから、合いびき肉にしてこねている。
そうハンバーグだ。
合いびき肉と、薄く色づくまで炒めた玉葱と、牛乳でふやかしたパン粉し、溶き卵、ナツメグ、塩胡椒。
それらを混ぜ合わせてこねる。
こねたタネを、手のひらサイズほどにの大きさ成形して、中央を少しくぼませる。
フライパンで両面をほど強火で焼き色が付くまで焼いてから、蓋をして弱火で約5分ほどじっくり蒸し焼き。
串を指して透明な肉汁が出てくれば中まで火の通ったサイン。
本体は完成。
次はソース。
デミグラスソース、トマトソース、おろしポン酢の3種類作った。
焼き立てのハンバーグにソースをかけて完成だ。
それでは子供達と一緒にいただき
「ちょっと待ってくださいナオトさん」
いきなりダジャンさんが登場した。
「私の分もあるのですよね?あるのですよね?」
圧力が酷い。
ん?
ダジャンさんの後ろにハンバーグを凝視している人がいる。
何処かで見たことが・・・。
というかエルフ・・・。
「ダジャンさん、そちらの方は?」
ダジャンさんのハンバーグを用意しながら聞いてみた。
「エルフ族の王族、ルミナス=フーリエ=タイジュ様です。ナオト様を紹介してほしいと頼まれまして」
「国賓なので頼みますよ。それとソースはトマトソースで」
何処までハンバーグ。
「ご紹介に預かりました、ルミナス=フーリエ=タイジュと申します。ルミナスとお呼びください」
ルミナスと名乗ったエルフは優雅に礼をする。
「ナオト様に1つお願いがあったのですが・・・今もう1つ増えました!」
「そのハンヌークとやらをください。ソースは全部で!」
「え?構わないですけどソース3つ混ぜちゃうと味の保証は・・・。それともう1つの要件とは?」
「何を言っているのですか、ハンヌークを3つにそれぞれソースをかければ良いじゃないですか。要件はハンヌークを食べ終わった後です。早く!ハリィーハリィー!」
目が怖い。
ルミナスさんとは一度出会っていたがその強烈キャラにあの時のエルフと気付かなかった。
そんなルミナスさんは、ハンバーグを食べ終わり口の周りをソースでべっとりさせながらもう1つの要件を話し始めた。
イメージしてたエルフと違う・・・。
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解体 3/10(コモン)
動物や魔物を解体することが出来る
普通状態の素材、食材、魔石に分けられる
確保する部位を選べる
稀に状態が良くなる
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名前 真神尚人 17歳
種族 人間族
職業 勇者
レベル 7
HP 2100/2100
MP 1962/1962
力 400
体 360
俊 360
魔 450
【スキル】
万物創造 共通言語認識 電脳
狩人 剣術 刀術
投擲 体術 ゴブリン式格闘術
回避 解体 火魔法
水魔法 風魔法 土魔法
回復魔法 重力魔法 生活魔法
状態異常魔法 弱体化魔法
遠見 警戒 索敵
空間認識 料理 農業
状態異常耐性 並行詠唱
【称号】
異世界人 勇者 閃光のマヨネーズ
盗賊スレイヤー 帝国勲章
【固有魔法】
ブリットショット
ブリットバースト
サッキングブラット
【装備】
魔剣 吸血鉄塊
皮の鎧
お洒落なマント
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ヒロイン
になれなそう・・・。




