02.殺人
シリアス回です。
残酷な表現、グロテスク、人を殺す表現があります。
「おはよう」
ヴァナニール帝国のサカイの朝。まだ外は薄暗かった。
宿の従業員はすでに働いていたので一言声をかけて中庭に出る。
尚人は、槍を振るう。
昨日買った、全長2メートルほどの柄は木製で何かの動物製の皮で補強され槍頭は鉄製だ。
サブウェポンとして購入したが本番で扱えないと意味がないと練習しているのだ。
朝の少し時間の練習なのでスキルは身につかなかったが使用感はわかったので次の練習に。
『収納』からダガーを取り出す。全長10センチほどの小ぶりなものだ。
それを庭の中心にあった木に投げる。
何度か投げてコツをつかんだ後は、無手の状態で腕を振るい『収納』からダガーを取り出してみた。
飛ぶには飛んだが刺さらない。
ダガーを持った状態での投げ方を思い出しつつ何度か繰り返すと、上手く刺さるようになった。石を拾って『収納』してからダガーと同じように投げても上手くいったのでこれは使えると満足。
武装無しの状態からの投擲で奇襲や牽制になるだろう。
ちなみに投擲スキルは身につかなかったが今後の練習次第かな。
気付いたら汗だくになっていたのでクリーンをかけて朝食に。
食堂で従業員にめちゃくちゃ怒られた。
庭の木に穴をあけてすみません。
朝食は、パンと豆のスープ、豚の血入りソーセージとスクランブルエッグだった。
玉子もスープは美味しかったが、豚の血入りソーセージは癖がありあまり好みではなかった。
だがパンは少し酸味があったが柔らかかった。
パンについて従業員にきいてみたら生地に腐乳を混ぜているとのこと。
腐乳は、沸騰させた動物の乳を一晩放置すると稀にできる酸味の乳白濁な粘状の液体でパンの生地に混ぜるとパンが柔らかくなる調味料だそうだ。
ヨーグルトじゃん。
無理を言って腐乳を少し分けてもらった。この宿では牛の乳を使っていた。
宿を出てまず市場に向かった。
牛の乳をを購入して腐乳とセットで『万物創造』によってヨーグルトを作った。
ちゃんとヨーグルトだった。
あとはこれをタネに創造によってヨーグルトは作り足し出来るなと満足。
ヨーグルトと合わせるために適当に果実を購入。
ハチミツと砂糖は高価だったので少量を。
これで道中の食生活は安心だなと迷宮都市オワリに向けて出発。
街道をのんびり東に向かって歩く。
当初は馬車を使う予定だったが昨日のから嫌な視線を感じていたのでわざと1人で歩いて移動していた。
定期的に『索敵』を使っていると敵意があるもの5つほどに囲まれているようだ。
刀をいつでも抜ける状態で警告を出す。
「何が目的だ!」
薄汚れた男が5人現れた。
予想通り盗賊だった。
意外と装備はちゃんとしている。見た目は粗野な冒険者と言ったところだろうか。
「あんちゃん、その背嚢はマジックバックだろ?置いていけよ」
昨日の買い物を思い出し顔を歪める。
『収納』をカモフラージュするために物の出し入れの時は背嚢に手を入れていたが買った量に対して背嚢が小さかったか。
あの時からマークされていたとは不覚。
この世界では『収納』の魔法がないが、マジックバックというものがある。
ダンジョンから出土品に魔法の武具が色々あるがマジックバックもその一つである。
マジックバックは個体差はあるが、見た目の3から5倍ほどの容量があり、売れば高値が付く。
不用意に見せびらかせば、マジックバックの中身を含めて美味しい獲物として狙われるのは当たり前だった。
「抵抗しても無駄なようだ」
そう言い正面の一番LVの高いリーダー格の男に近づく。
ちなみにリーダー格はLV15。残りは10前後だ。
リーダー格の男の指示で背嚢を地面に降ろすと同時に刀で切りかかる。
袈裟斬りでバッサリのつもりが肩に刃が10センチほど刺さった状態で止まる。
手が震えていた。体も震えてきた。
人型の魔物は無感情に殺せたが、やはり人は無理なようだ。
思わず刀から手を放し後ろに下がって怯えしまった。
次の瞬間怒声と共に周りの男たちが襲ってきた。
左から剣を抜いた男。右には炎の玉を作り出している男。
背後では弓を構える男がいる。
リーダー格の男はその場にうずくまっていたが別の男が回復魔法をかけているようだ。
殺される。
更に震えがくる。
何をやってるんだ。また奪われるのか。あの頃の違う。力を振るえ。殺せ。殺せ。奪われる前に殺せ。
何かが壊れる様な音がした。
同時に右の男から炎の玉が放たれる。
尚人は、両腕で顔を庇いつつウォーターベールを唱えながら火の玉、ファイアーボールに突っ込む。
行動しながらの魔力集中は失敗に終わってファイアーボールを喰らったがダメージを覚悟していたため行動の阻害にはならず『収納』からだした槍で魔法を使った男の首を突く。そして横に払う。
首から血を吹き出し、男は倒れる。
殺すことに抵抗感はない。奪う方が悪いのだ。
『警戒』の警告音が頭に鳴り響く。
『空間認識』により後ろにいる男が剣を振り上げているのがわかる。
槍を『収納』しつつ『回避』スキルでその剣を躱し、ダガーを『収納』から取り出し右腕の付け根に刺す。男は痛みで剣を落とす。
先ほどの刀の失敗があったためダガーは抜かずにそのまま『収納』
矢でこちらを狙っている男に向けて刺した男を盾にする。
男の落とした剣を踏み付け『収納』。
その剣を『収納』から取り出し男の腹に突き刺し盾にしながら矢を構えた男まで詰め寄る。
抵抗する成人男性を押すには通常では無理があるが、勇者補正のあるステータスによって尚人の筋力は異常だ。
弓の男は思わず逃げ出す。
ファイアーボールに突っ込み。あっという間に1人殺す。そして今の状況、尚人の戦闘能力は異常だ。
剣を刺した男を蹴り飛ばし、弓の男に朝練習したダガーを投擲する。
肩に刺さったが致命傷にはならずそのまま逃げて行った。
その男は追わず、振り返り風の魔力を刃状のイメージで集中。
傷が塞がり再度こちらを襲おうとする男ではなくその横の回復魔法を使っていた男に風魔法、ウィンドカッターを放つ。更にダガーを投擲してリーダー格の男を牽制。
ウィンドカッターで回復魔法の男の左腕を切りとばした。この男はしばらく動けないだろうと槍を取り出しリーダー格の男に集中。
槍で牽制しているとリーダー格の男の男は逃げ腰になっているらしく抵抗が弱くなっていく。
回復魔法で傷は塞がっているようだがだいぶ出血もあり、それで動きが鈍くなっているのもあると思う。
槍を突きながら一気に詰め寄る。
何も考えず一番的の大きい腹に向かっての体重と突進スピードを乗せた一撃。
槍がリーダー格の体を貫いた。
尚人は刀を拾い、一人残り命乞いをする回復魔法の男の首をはねる。
「死にたくなかったら奪おうとしなければ良いんだよ・・・」
『槍術』『投擲』スキルを覚え、自身と『刀術』スキルのレベルが上がっていた。
『万物創造』で各装備を修復し尚人はサカイに戻る。
そこから馬車に乗って移動り予定が疲労が酷く宿でもう一泊することにした。
クリーンをかけたのに血の臭いが取れない。
食事も考えることもやめて尚人はただベッドで丸くなって震えていた。
人を殺した。しかも嬉々として。
この事実が尚人の心を狂わせる。
しばらくして尚人は眠りについた。
何故か、しばらく忘れていた幼い時の幸せだった頃の両親と妹の夢を見た。
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槍術 1/10(コモン)
槍を扱う技量に補正がかかる
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投擲 1/10(コモン)
物を投げる技量に補正がかかる
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刀術 3/10(コモン)
刀を扱う技量に補正がかかる
初手の切れ味が増す
斬撃の速度が上がる
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名前 真神尚人 17歳
種族 人間族
職業 勇者
レベル 4
HP 210/1200
MP 430/730
力 250
体 230
俊 230
魔 300
【スキル】
万物創造 共通言語認識 電脳
剣術 刀術 槍術
投擲 体術 回避
解体 水魔法 風魔法
生活魔法 遠見 警戒
索敵 空間認識 料理
状態異常耐性
【称号】
異世界人 勇者 閃光のマヨネーズ
【装備】
打刀無銘
皮の鎧
お洒落なマント
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