閑話 ―俺のサードアイが邪気眼で異世界をダークネスメシア―
斉藤響は中二病である。右手が疼かない日はない。
朝から右手が疼いたあの日、俺は異世界に飛ばされた。
さすが選ばれし俺。
クラスメイト達も召喚されていた。
俺の召喚に巻き込まれるとは哀れな子羊たちめ。
勇者に選ばれた俺は魔王を指名を受けた。
闇の波動から生まれた魔王たる俺の邪気眼で魔王を倒せ。
女神はセンスいいぜ。
「ステータスオープン!」
迷わず叫ぶ。
心で念じる?
叫ぶことに意味がある!
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魔道の神髄 1/10(ユニーク)
女神の祝福によるスキル
所持者の中二病知識を能力として発動できる
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さすが俺の邪気眼スキル。
城にいた愚民には「中二病」と言う言葉が通じず詳しい説明を求められたで
「中二病とは魔術の深淵を覗く者が罹る病だ。魔道の神髄たる深淵を覗く者の称号。それが中二病」
説明してやったら、宮廷魔術師長と名乗る男が興奮して、更に魔術の深淵について聞いてきたので教えてやった。
「深淵をのぞく時、 深淵もまたこちらをのぞいている。宮廷魔術師長、第三の目を開くのだ!」
宮廷魔術師長が驚いて俺のおでこを指さすのでおでこを触ったら目があった。
「ふはははっ。このサードアイが邪気眼だ」
俺の邪気眼で異世界がパニック!
数日後、戦闘訓練をおこなうことになった。
俺の右腕が疼く。
「出てこい!黒炎龍」
何となく叫びながら腕を振ったら、右手から黒い炎の龍が現れた。
俺の右腕が疼く。
「見たか。これが俺の邪気眼の力!」
びびってちょっとちぴった。
その後、色々力を試す。
右手に封印された黒炎龍を何でも燃やす。
邪気眼で見た者を幻覚世界に落とす。
イフリート、タイタン、シヴァ、ラムゥを自らの体に降ろすことによってその力が使える。
右手は触れた者を癒し闇を浄化する浄化手になっている。
光の翼だって生えちゃう。
光の翼からレーザー出ちゃう。
「くっくっくっ。さすが世界を統べる魔王たる俺」
更に訓練用の木刀に「この姿は封印された姿だ。封印が解かれれば全てを切り裂く魔剣となる」と言い聞かせたら、木刀ははじけて光の剣が出てきた。光は俺的センスじゃないと思ったら、光の剣は闇の剣になった。かっこいい。
スキルを確認したら
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魔道の神髄 3/10(ユニーク)
女神の祝福によるスキル
所持者の中二病知識を能力として発動できる
中二設定を武器に付与出来る
中二設定を防具に付与出来る
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さすが俺。
ついでに着ていた服にスキルを使ってみたら闇の衣となった。
付与効果は、衣から闇が漏れ出しなんだかかっこいい。
ステータスブレスレットもダサいのでスキルでウロボロスの腕輪に替えた。
付与効果、死と再生を司る蛇をモチーフとしたかっこいい腕輪。
異世界に召喚されて一ヶ月が過ぎた。
そろそろ飽きた。
なんで俺はこの王国にいないといけないのだろうか。
前世は闇のから生まれた暴虐の魔王にして、来世は世界を救う英雄王たる、この邪気眼使いの闇のメシア、サイトウルシフェルヒビキ。
何故小さな国の王の言うことを聞かなければいけないのか。
そうだ、魔王を倒しに行こう。
魔王を倒し、魔族を統べて神を倒すのだ。
「我が邪気眼こそ神!俺の神の力だで異世界をジェネシスだ!」
俺の旅が始まった。まず魔族の住むと言われる島だ。
「おやっさん、魔族の島まで頼む」
適当な乗合馬車に乗り込み御者に告げる。
馬車から降ろされる。
「むむっ」
おかしい。旅が始まらない。
結局、東に向かって歩くことにした。
ダークネスメシアな俺のことだから行く先々で事件が起こるだろう。
ああ、今から右手が疼くぜ!
俺はずっと中二病を抱えていた。
きっと秘めたる力が使えるはずだと信じていたが、心のどこかでそろそろ大人になれと諭す俺もいた。
異世界に召喚された時、その設定と力に狂喜乱舞したが冷静になったら怖くなった。
この力は異常だ。
頭で妄想した力がそのまま発現する。
他の奴らも大なり小なり異常な力を持っている。
異世界物のチートと思えばそうなのだろうが俺の常識が警鐘を鳴らす。
何かがおかしい。
いや、おかしいなら俺の力でぶち破ればいい。
俺にはこの邪気眼がある。
俺の闇の力が世界を救うのだ。
最近何がおかしいのかわからなくなってきた。
きっと疑問を抱くのがおかしいのだろう。
さぁもっと力を使おう。
力を開放しよう。
それが一番正しい気がする。




