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閑話 ―大食漢ベイベー―

大森詩子(オオモリウタコ)は食べることが大好きである。

家は資産家で両親は詩子をとことん可愛がった。詩子が欲しがる食べ物はなんでも与えた。

結果として、食欲に対しては貪欲なぽっちゃり女子が誕生した。

詩子は、色恋も自分の容姿にも興味がなかった。ただ美味しいものをたくさん食べる。興味はそれだけだった。


ある日、そんな詩子は異世界に飛ばされた。

勇者だの魔王だのスキルだの色々言われたか異世界の食べ物がどんなものかにしか興味がわかなかった。


最初の頃は絶望した。

王宮の食事がまずいのだ。硬いパンに薄味の食事。薄味をバターや油、香辛料でごまかす始末。スィーツも砂糖の塊の様な甘いだけの物しかない。唯一の救いは御代わり自由くらいだ。

この世界で一番大きな国の王宮でこのレベルなのだ。期待などできない。


ある日、食事にマヨネーズついてきた。日本で親しんだ味に涙した。

私についた執事さんに頼んでマヨネーズの入手先を調べたら同じ勇者が作ったものだと言われた。

クラスメイト片っ端から問い詰めたら真神君が作ったことがわかった。

もちろんすぐに真神君に問い詰めたら、真神君のスキルで作ったことがわかった。


「マヨネーズ君!今日は何か新しいの作ってない?タルタルとかケチャップとかプリンとかプリンとかプリンとか!」


「まがみ」を「マヨネーズ」と言い間違えてしまったのは些細なことだ。

兎に角、日本の物が食べたい。プリンが食べたい。


プリンが食べた過ぎて真神君に迫ったら逃げられた。

味噌と醤油も分けてもらったし、プリンは「あとでたくさん作ってやるから」と言質を取ったから良しとしよう。


真神君が広めたマヨネーズのレシピによってマヨネーズが王宮の厨房で量産されるようになったら、王宮の食事がマヨネーズベースになった。前より美味しくなったら良いけど飽きる。



王宮の料理に飽き、新しい味を求めて城下町をふらふらしていたら肉の串焼きの屋台があったので一本買って食べてみた。

謎肉だったがめちゃくちゃ美味しくてかぶりついてしまった。

香辛料使いすぎの味付けもこういう料理ならぴったりだった。


屋台のおじさんに何の肉か聞いたら魔物肉だった。

ホーンラビットにワイルドボアにジャイアントバッファロー、地球の動物との名前の類似点から、兎、猪、牛あたりだろうと思ったが王宮ででたそれらの肉より美味しかった。

おじさん曰く、それらの普通の動物が魔物化したのがホーンラビットなどで、魔物化した方が美味しいのだが、貴族の間では、魔物肉を食べるのは野蛮な行為とされているそうだ。


馬鹿じゃん貴族。美味しければ魔物でもなんでも食べる以外に選択肢はないでしょ。

詩子は、美味しければゲテモノ料理も大丈夫派だった。



定期的に冒険者が狩るらしくて魔物肉は街に溢れていたため、詩子は色々なお店の魔物肉料理を堪能した。それらの料理には、見たこともない野菜、というか草が使われていたがそれらも美味しかった。日本でいう山菜みたいなものかな?ネギやほうれん草みたいなものもあって王宮料理がゴミに思えてきた。

その辺を御付の執事に聞いたら、貴族の常識で青物野菜は貧乏人が食べる物という認識で、王宮など貴族の食事では野菜は根菜類と木の実系しか食べないそうだ。肉のことも含めて、馬鹿じゃん貴族。



しばらくすると詩子は、街での食事に満足できなくなってきた。

肉の種類のがワンパターンなのだ。

魔物肉は、その魔物が強ければ強いほど美味になる傾向がある。そして街の付近を狩場とする冒険者は低レベルな者が多く、手に入る肉も低レベルな物。


「よし、魔物狩りに行こう!」


御付の執事は慌てた。勇者と言えまともな訓練をしていない詩子を街の外へ出すわけにいかない。ましてや魔物討伐など。

詩子は訓練を一切行っていなかった。ステータスは魔力がすば抜けて高かったがMPは0、その他のステータスは低く、ユニークスキルの『暴飲暴食』の効果は「無限に飲食することが出来る」

国には役立たずと見なされ、太っていることは自己管理のできない劣った者とて見下されていた。

勇者の称号がなければ放逐されていただろう。


しかし、詩子は気にしなかった。美味しい物を食べるのが全てだったからだ。


詩子は、異世界召喚した時以降、初めてステータスチェックをした。

最初に見たきりでスキルのことなど忘れていたからである。


_____________________________

暴飲暴食 3/10(ユニーク)


女神の祝福によるスキル

無限に飲食することが出来る

摂取したカロリーをMPに変換する

摂取したカロリーを魔力に変換する

_____________________________


スキルのレベルが上がり能力の項目が増えていた。


_____________________________

名前 大森詩子 16歳

種族 人間族

職業 グルメ


レベル 1

HP 300/300

MP 3000 

力  10

体  10

俊  10

魔  3500


【スキル】

暴飲暴食 共通言語認識


【称号】

異世界人 勇者 グルメ

_____________________________


ステータスがおかしなことになっていた。

魔力が異常だし、MPは上限がない。


異常事態に呆然としながらステータスを見ていたらMPと魔力が10あがった。

あれ?何もおかしなことは・・・


私、パン食べてる。


食べれば食べるほど魔力とMPがあがるんだ!



それから詩子は魔法の訓練に没頭した

もちろん食べまくった。


魔法の訓練をして気が付いたのは、魔力とMPに上限がなく食べれば食べるほど増えるが、魔法を使うとどんどん減っていく。

そして魔力とMPの上昇と共に魔法の威力も上がり自由度もあがった。


私の魔法が戦力になるとわかったら、王国はチヤホヤしてきたが無視した。

だってこの力は、魔物を狩って美味しく食べるため!

そのために、魔法以外にも『解体』と『料理』も覚えたのだから。



それからの私は、頻繁に街の外へ狩りにいった。

私のことを半ば放置していた執事さんはべったりついてくるようになったし、日に日に護衛の騎士が増えていくのはなぜだろう?


私は大森詩子。見つけた魔物はサーチ&デストロイ~

水魔法で霧のを作りそれで魔物を探索。

小動物系は土魔法で捕獲。

大きめの魔物は風魔法で首狩り。

食べられない魔物は火魔法で焼却。


そんなこを繰り返してたら持ち物が魔物肉であふれるようになった。

持運びに不便だし、腐るの嫌だなと思っていたら『時間魔法』『空間魔法』を覚えていた。

『時間魔法』で劣化を防ぎ『空間魔法』でバックと自室をつなげて肉はそこに放り込む。

色々捗った。


いつのまにか、執事と騎士と冒険者に囲まれながら狩りをする異様な集団になっていたが詩子は気にせず肉を集めて食べる。ただそれを繰り返していた。



ある時、詩子は貴族や騎士から求婚されるようになっていた。

何故なら詩子は、絶世の美女になっていた。

スキルの影響でどんなに食べても太らない、寧ろ痩せていった。更に毎日狩りに出ることによって体も引き締まった。

出るところは出て、くびれるところはくびれ、元々容姿は良く、お嬢様だったので育ちも良く気品もあった。

狩りの時の取り巻きは皆詩子のファンであった。



だが詩子は、色恋に興味もなく自分の容姿にも興味がない。

あるのは食への探求心。


もっと食べたい。

もっと美味しいものが食べたい。

だったらもっと強い魔物。

大森林。あそこなら美味しい魔物が沢山。


異世界に召喚されて一ヶ月。

詩子は旅に出た。

より強く美味しい魔物を求めて大森林へ。


もちろん、取り巻きは引き留めたが蹴散らした。

誰も詩子を止められない。

国はステータスブレスレットの枷で詩子を引き留めようとした。

ブレスレットは詩子の魔力で簡単に壊れた。



誰にも邪魔はさせない。

美味しい肉を食べる。

もっともっともっともっと。



_____________________________

名前 大森詩子 16歳

種族 人間族

職業 グルメ


レベル 10

HP 1500/1500

MP 60000 

力  20

体  30

俊  20

魔  65000


【スキル】

暴飲暴食 共通言語認識 解体

料理 火魔法 風魔法

土魔法 水魔法 光魔法

闇魔法 空間魔法 時間魔法

咆哮


【称号】

異世界人 勇者 グルメ

魔物を喰らう者

_____________________________



_____________________________

暴飲暴食 5/10(ユニーク)


女神の祝福によるスキル

無限に飲食することが出来る

摂取したカロリーをMPに変換する

摂取したカロリーを魔力に変換する

何を食べても状態異常にならない

最後に食べた魔物のスキルを使える

_____________________________

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