07.船旅にまつわるエトセトラ
遠くまで見える海原、照り付ける太陽、吹き付ける海風、ヴァナニール帝国に向けて10日間の船旅中。
この船旅を一言で言うなら
暇。
思った以上にやることがない。
最初は、他の客や水夫から情報収集などしていたがすぐに済んでしまった。
それで手に入れた情報は、船の動力は、風魔法と水魔法。
水魔法で船底を覆い抵抗をなくしつつ風魔法で船体を動かしている仕組み。水夫は皆、風と水の魔法持ちだった。船の操作をしていると自然に身につくそうだ。
魔法動力のおかげで船は全く揺れず気持ち悪いくらいすっーと進んでいる。
この船が向かっているヴァナニール帝国の港の名前は「サカイ」
初代皇帝の名前からしてノブナガさんだからきっとサカイてあのサカイなんだろうなぁ。
海にも魔物が出るが、ほとんどが沿岸部か大陸からかなり離れた冲なので交易航路では問題ない。稀に魚系の魔物が甲板に飛び乗ってくることがあるが美味しいご飯になるそうだ。
興味本位で人魚みたいな魔物はいるのか聞いてみたら、亜人でいるそうだ。上半身が人間、下半身が魚が人魚族。上半身が魚、下半身が人間が魚人族。人魚族は気になるが魚人族にはちょっと会いたくない。
水着の概念はあった。過去に召喚された勇者が発案したそうだ。泳ぐためではなく女性の夜のための衣装としてだったが。その勇者は、ミズガルズ大陸北部に「ヨシワラ」という小国を作り、風俗関係のお仕事を主産業にして一大国家を作ったそうだ。水着の他に、花魁、キャバクラ、ランジェリー、シースルー、野球拳、王様ゲーム、ポッキーゲームなどなど色々な娯楽の発信源だった。なにやってんの勇者。
そんな「ヨシワラ」はヴァナニール帝国て滅ぼされ今はない。残念。しかし、帝国の一部として残っているそうだ。思春期男子に希望が!
ちょっと期待してたのがヴァナニール帝国の食事。残念ながら米ではなく小麦とジャガイモが主食だった。ノブナガさんのことだから日本食の発展を期待してたのだが。小麦が主食ということでまた硬いパンかと思っていたらお好み焼きらしきものやパスタらしきものぽい。ちょっと嬉しい。
水平線は平だった。地球との四季の違いや時差の概念がないことからアースガルドは丸くないのだろう。地球常識からすると違和感しかないが、異世界だからと無理やり納得。
暇すぎて水夫の手伝いをすることにした。
予想通り『水魔法』と『風魔法』のスキルをゲット。
本来は何年も水夫修行して獲得するスキルらしいが勇者補正ぱいせんあざっす。
あと何故か『遠見』というスキルもゲットしていた。半日くらい水平線眺めていたからかな?
水夫さんが食材確保で船ひき網をしていたのでちょっと見学。
何でタコとかイカとかエビとかカニを捨てるのか!もったいない!
タコ、イカ、エビ、カニ辺りは海虫類と呼ばれ食べられない雑魚扱いとのこと。毒でもあるのか聞いたらグロテスクだから食べ物ではないと。魔物の肉食べてる君たちがそれ言うのか・・・。
取り合えず、全て引き取りました。ゲテモノ食いとか言われたけど、御馳走です。
まず、タコとイカに『解体』スキル。綺麗に内臓が消えてました。イカスミが欲しいなと数匹は自分で処理。イカスミ袋ゲット。『収納』にぽん。
エビとカニはそのまま。
タコは、塩揉みとぬめり取りをしてから湯がく。それを薄切りにして茹でタコ。
イカは細切りにしてイカ刺し。
エビとカニは丸ごと茹でて殻割ってぱくりと。
調味料は、醤油とレモモ醤油を用意。
うん。最高。
最初は凄く嫌な顔をしながらこちらを見ていた水夫さん達は美味しく食べる僕を見てじわじわ近づいてくる。数人に殻をむいた茹でカニを勧めてみたら、
大狂乱!
君たち、ゲテモノ食いとか馬鹿にしてなかったけ?
タコ、カニ、エビは大人気。
さすがに生食には抵抗あるとみえてイカ刺しは避けられていたが、誰かが酒の勢いで食べ始めたらいつのまにか大人気。
水夫とお客さんと大人数を巻き込んで宴会が始まった。
あれ?御馳走を食べていたらいつの間にか作りまくっていた。料理が間に合わない。
くそ。嫌がらせをしてやる。
味はマグロだった何かの魚を持ち出し刺身にしてやった。
大人気だった。
生食は獣人がうんたらで避けてなかったけ君たち?
刺身で吹っ切れた僕は、竈と網を用意させて徹底的に料理を始めた。
エビは、刺身と茹でと網焼きと半身に切ったエビに味噌マヨネーズ塗って焼いたのと。
カニは、刺身と茹でと網焼きと、甲羅でカニみそ焼きですよ。
タコは、茹で網焼き、水夫さん勝手に刺身にして食べてたけど吸盤が舌についてパニックおこしてた。
イカは、刺身に網焼き、イカ焼きが大人気。
マグロぽい魚の刺身も人気で早くも2匹目を捌くことに。『解体』で部位ごとにわかれて大変便利です。
網の上にマグロぽい魚の頭をドカンと乗せて兜焼きにしたら大盛り上がり。
迫力あるショーとかじゃなくて普通に美味しいのよ。
水夫さんが厨房から色々な食材持ってきたり、客の商人が売り物の酒を持ち出して来たりで大宴会。
最高だった。
二日酔いになったけど。
ん?未成年だって?異世界だから無問題だね!たぶん(笑)
水夫さん達は誰も二日酔いじゃないから凄いですね的な会話をしたらスキルだそうだ。
何度も二日酔いを繰り返すと『二日酔い耐性』スキルが身につくそうで。なんだかスキルの無駄遣いな気が。
気付いたら『解体』のレベルが上がり、『料理』をスキルは覚えていた。
『二日酔い耐性』はまだなかった。
船旅中にスキルをいくつか覚えたので検証。
検証したのはコモンレアの統合。
コモンは一般的なスキルで修練しだいで誰でも獲得できるが、コモンレアは珍しいスキルで天才と呼ばれる者か勇者の子孫が持つスキル。
僕は、『創造』でコモンレアを作れるがコモンレアにレベルがない。
同じく『統合』で統合も出来るのだがコモンレア同士なら問題はない。
コモンレアとコモンの場合は、コモンレアにコモンが追加されるとわかった。
そう、コモンレアの『電脳』にコモンの『解体』を統合してみたのだ。
収納データ化したアイテムを電脳内でデータのまま解体出来るようになった。
便利になったのがレベルが上がらないことに気づいた。
コモンレアとコモンの統合の場合は、コモンの統合前のレベルがそのまま固定されるのだ。
『電脳』から『解体』を外してみたらレベル1に戻っていた。
今度から、コモンはしっかりレベルあげてから統合しよう。
『解体』と『料理』あたりのレベルを上げて『電脳』に組み込めば収納データ化した魔物や食材をデータのまま加工するとかきと便利だ。
そんなことをニヤニヤ考える。
暇だと思っていた船旅も、水夫さんの手伝いで水魔法、風魔法スキルはそれぞれ2に上がり、いくつかの海産物も分けてもらい、イカや魚を一夜干しに加工していたら料理スキルも2となり、遠くを眺めて遠見スキルも上がり、更に海産物祭りと称した宴会で仲良くなった商人にエールとミードを小さい樽(1リットルほど)でわけてもらい、ミードをくれた商人からはハチミツを買ったりとスキルも食材も充実。特に酒。勢いで酒の味を覚えた尚人は『二日酔い耐性』を得るためという言い訳ですっかり酒飲みとなったのだった。
そして、船旅中もマヨネーズマントを装着していたため、水夫や商人達にマヨネーズの名前が広がっていたのを知らないまま、尚人はヴァナニール帝国の港町サカイの地に足を付けるのである。
最近、スキルのことや『創造』を利用した金儲けを考えることが楽しくて仕方ない。
実際に色々なスキルを作ったり、儲かればもっと楽しいくなりそうだとニヤニヤが止まらない。
異世界で一財産作るのも悪くないなと考え始めたところでふっと気づいた。
何を考えてるのだ。僕は地球に帰るのではなかったのか。そのためのスキルだし活動資金稼ぎじゃないか。
尚人は気づいていなかった。
いつのまにか思考が目的がユニークスキルに影響されていることを。
それは尚人だけではなかった。勇者は、勇者達はユニークスキルの影響を強く受け変質しているのである。
己の欲望のままに。
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水魔法 2/10(コモン)
水を操る魔法を使いことが出来る
精度が少し上がる
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風魔法 2/10(コモン)
風を操る魔法を使いことが出来る
精度が少し上がる
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遠見 2/10(コモン)
遠くを見ることが出来る
ある程度目標物を確認できる
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料理 2/10(コモン)
料理に関する技術に補正がかかる
調理技術が少し上がる
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名前 真神尚人 17歳
種族 人間族
職業 勇者
レベル 3
HP 900/900
MP 365/365
力 200
体 180
俊 180
魔 250
【スキル】
万物創造 共通言語認識 電脳
剣術 刀術 体術
回避 解体 水魔法
風魔法 遠見 料理
【称号】
異世界人 勇者 閃光のマヨネーズ
【装備】
打刀無銘
皮の鎧
お洒落なマント
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