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魔王選定  作者: 華宵 朔灼
五章 少女期・国越え
99/113

04 昇格試験をうけますか

死して屍拾う者なし。

ぷ○ぷよ(64)の茶飲み骸骨さん撃破の時に言う台詞なんですが、

「ちょっとお中元! 早いけど!!」

なんて言って訪ねてきた友人が渡してきた素麺の束を纏める紙に、丁寧に手書きでそう書いてあったんですよ。

友人はいったい何が言いたいんでしょうかね?


本編、始まります。

 宿が街でいうなれば最高級であったのが幸運だった。

 背後関係がしっかりしている身分証を持つ(貴族)か、誰もが知っている名声を築いている者や紹状を保持している者しか入れない高級宿に、小規模な商会の者や身分の低い貴族などは入れなかったし、中にないって部屋番号を聞くのは領主でないとできない仕組みができているほどだったので、エアの部屋まで来る者は誰もいなかった。

 飲み物を貰いに行ったエアが「誰も通すな」と命令していたことも功を相していたのだろうが。


 「ギルドに戻る」

 「あ、お連れの人が居るんだっけか」


 ちょっと待って着替えるからと言いエアは放り出していた装備を付けていく。

 少し細身で、前髪が長くネックマスクで口元を覆うエアはどこから見ても反抗的でお高く留まった貴族の少年と言った雰囲気を纏っていた。

 腰元の使い古された直剣は装飾も成されていない安価なものに見えるが、その刃を見ればそんな考えそこらに捨てるだろう。かなり実用化に富んだ、貴族の剣としては質素な、騎士の剣としては武骨さが足りない、そんな剣である。


 「よし、これでいい。抱えた方が良いかな」

 「ん」


 灰色のケープのフードをしっかりと深く被ったシノを横に抱えると、エアは下階へと歩き出す。

 宿の従業員が不思議そうな、不審そうな目を向けてきたが、そんなことはお構いなしにエアは宿を出る。話しかけてくる者もいたが、そのほとんどはエアの「カッツァシュ家の縁者だ」の一言で去って行った。


 「スペーラ」

 「シノ様、ご無事でしたか。拠点登録の方済ませておきました」


 抱えられた状態で戻ってきたシノをエアからスペーラは受け取り、今度はスペーラの腕の中にシノはすっぽりと収まる。


 「教えて」

 「はい。特に問題はありませんでしたよ。Dランク昇格の試験ですが、近隣の村から丁度盗賊の出賊情報が出たらしいので依頼を受けておきました」

 「ん」


 同じ灰色のケープを着ている二人を見る限りでは、家族にしか見えないのだが、発言を聞く限りだと優秀な従者と主人である。

 エアはシノをスペーラに渡すと、「いい返事を待っている」と言い残して去ってしまったのでこの場にはいない。

 今冒険者ギルドに併設されている酒場に居るのは、シノとスペーラ、それにバツの悪そうな顔をした冒険者と、いい玩具を見つけた幼子のように顔を輝かせるギルド長。


 「始めまして。私がここルイーデ冒険者ギルドのギルド長、ポーラ・リゥだ」

 「ん。シノ、Eランク冒険者」

 「勝手に口座を見させてもらったのでね、その謝罪の為に残っていたんだが………本当に幼いな」


 フードの下を覗き込もうとするポーラだが、スペーラがシノをギュッと抱きしめた為不発に終わる。

 さっきまでは飄々としていたスペーラの様子も、シノが関わるといっぱしの感情をむき出しにする為、からかいがいがある者として認識し直したのかも知れない。


 「もうすぐ十歳」

 「そうか」


 十歳の女児。

 シノの身長はちゃんと伸びていたが、歳を言われたら「まぁ見えなくもない」と言う感想を抱かれるほどに小さい。つぼみのようにふくよかな印象がやっと抜けてくるはずのその歳なのに、本当に幼い時しか十分な食事を得ていなかったシノにふくよかなんて言う印象はない。孤児院で育った者よりは肉付きが良いかもしれないが、それとほぼ変わらない体型に見えてしまう。


 「盗賊狩り成功でDランク?」

 「ああ。他にも試験を受ける者たちが居るからな。パーガスの捕獲をしたからにはDランク所持の最低条件を満たしているんだが………」


 三年前のガラムでの緊急依頼達成に置いて、その見届け人が身近で見ていたギルドの戦闘職員であることと、ガラム村長兼ギルド長の正式な一筆が緊急依頼の報告書として挙がっている。

 しかしそれが三年前であったことで、Dランク昇格の第一条件である十歳を満たす現在において本当に依頼を処理できる能力があるのか、面倒でも冒険者の本質を見極める為にも見直さなければならないし、Dランク以上の冒険者には護衛依頼を受けることができるようになる為、初めて組む者たちとの連携が取れるかどうかなども試験合否判定箇所になる。


 「問題ない。獣魔は連れて行っても?」

 「ああ、移動手段としては許可している。詳しいことは午後、二階の会議室で話し合いが行われうから来てくれ」

 「ん」


 午後、と言う抽象的な時間表現だが、基本的に冒険者ギルドでのランク昇格試験の説明は空が茜色に染まり闇に日が沈む時間に行う。

 仕事終わりで、街がかなり安全な状態になってから説明が行われるのだ。

 その時間設定は多くの冒険者から反感を買っているのだが、ならばどの時間にするかと言われれば、フロウェルのギルドでは「貴族様の言う通り」となるが、最強の免罪符がある。


 ―――昇格試験で優秀なギルドの戦闘系職員をつけて街を危険にさらしているんだからその程度我慢しろ。それとも何か? 以前からその時間に行うことを知っていると言うのに疲れるまで依頼をこなしてこれから祝賀会をして酒を飲むから帰らせろと言う訳か。そんなヤツに与える昇格試験(チャンス)はない。


 そこまで言い冒険者が項垂れた後に、文句を受け付けた受付の者はこう言う。


 ―――自由を謳歌するのが冒険者。何にも縛られず自らの自由を謳歌するには、他の者が自由に謳歌できるように守らねばならない。守り方はそれぞれだろう。隣人の敵に鉄槌を下す為にはその敵が本当に敵であるか見極めなければならない。敵の敵は味方だなんてそんな簡単な考えに縋るな。自由を謳歌するために冒険を続け隣人の敵に鉄槌を下すのが冒険者だ、誇りを忘れるな。


 と。

 ちなみにこれは冒険者対応説明書なるものが受付の者に配られていて、それぞれが自らの考える自由と隣人と敵に関して言葉が入り混じったりするが、概ね内容は変わらない。

 そして反省して聞き入れた者は基本的に良い冒険者になっていく。これに納得がいかず冒険者を辞める者も多い。良い師匠を見つけて叩き直される者もいれば、犯罪に手を伸ばす者もいる。そのまま町の外に出て自らの力を見せつけてやろうと失敗し命を無残に散らす者もいる。

 反感を持つのは悪い事ではない。

 そこで思考を停止してしまうのがダメなのだ。

 先を見据える能力が少しもなければ冒険者である資格はない。それが、冒険者ギルドを作った者が残した言葉である。


 「それで、何を依頼されたんですか?」


 シノはタグを首にかけ直して胸元にそれが収まったことを確認して、酒場のマスターが出してくれた果実水(ジュース)で喉を潤す。


 「武闘大会、スペーラが出席」

 「………はい?」

 「武闘大会、スペー」

 「聞きましたっ、武闘大会って帝国が主催する三国合同武闘大会ですか!?」

 「ん」


 シノが触れているコップの表面が凍り、中の果実水の端が白くなり、まるで布に色が広がるようにその染みは全体に広がる。

 シノは酒場のマスターからもらったスプーンでその凍った果実水を突き食べる。シャリシャリと間抜けな音を立てているスプーンと果実水だったものだが、スペーラの耳にはそんな音は届かない。


 「無茶ですっ!」

 「大丈夫」

 「いえ、無理です、負けます、ダメです、私の実力では到底敵うわけないじゃないですか!」

 「依頼、本部予選出場。一回戦敗退許可」

 「………もっと意味が分かりません!!」


 言葉は少なかったが、シノは今まで宿で聞いてきたことを話す。エアが貴族で薬を探して旅をしていたこと、それなりに高い貴族位を持っているから本部予選に出場する権利を持っていること、本部予選に出場すれば求めている薬が手に入るから一回戦敗退でも構わないこと、そしてBランクであれば何の査定もなしに貴族推薦として本部予選に出場できると言うこと。


 「………シノ様に何の益もないと思うのですが?」

 「いらない」

 「しかも私、Bランクではないのですが」

 「気合」

 「………昇格試験を受けろ、と」

 「ん」


 ああ、と天を仰ぐスペーラ。

 Cランクになって割と時間は経つ。Bランク昇格試験についての打診は受けているのだが、シノがEランクのままでBランクに昇格をすると、戦力の幅が大きすぎるとして強制的に生活奴隷から戦闘奴隷に肩書が変更されてしまう為受けていなかったのだ。

 一度戦闘奴隷として登録されてしまうと、奴隷に落とされた場合、例え奴隷身分から解放されたとしても戦闘奴隷の経験あり、と書かれてしまう。身の回りの世話をする生活奴隷と、生活奴隷としての経験を積んだ戦闘奴隷では、後者の方が高値で取引される。しかし平民に戻ってからでは、後者の方が扱いが酷くなる。

 解放されたいと思っている生活奴隷は自ら望んで戦闘奴隷になったりはしない。

 まぁ、スペーラがBランク試験を受けたくないのはその試験内容が悲惨だと言うことを身を以て知っているから、であるが。


 「昇格試験、簡単」

 「それはシノ様だけです」


 Bランクの昇格試験は、魔植物の採取兼討伐。中には間引きが試験内容になったりもする。

 旅の間、干した肉と山菜だけでは足りなかった為、スペーラが魔物や獣を、シノが山菜や魔植物を狩っていた。直接向かってくる魔物の方が危険そうに思えるが、戦闘をすれば倒せる魔物とは違い、魔植物は適切な処理をしなければ死の間際に周囲を取り込んで爆発する。

 何度かスペーラはその爆発を受けシノに手厚い看病を受けると言う経験を得ている。やらなくてもいいならやりたくない狩りである。


 「何度もやった」

 「そうですけど………」

 「ここら辺なら、ダルタルかシュープル」

 「絞首(ダルタル)弾幕(シュープル)ですか………どっちも相手したくないですね」


 待伏系のシュープルからは大きさの違う二種類の果実が採れるのだが、眠らせないで近づくと親指の先ほどの大きさの実が全方位に発射され何かにぶつかると爆発するし、眠らせても殺す前にその実を採ろうとすると拳ほどの実がその場で連鎖爆発を起こす。

 眠らせて殺せば大して難しい相手ではないのだが、自走系と違って待伏系は逃げようとしない分爆発の威力がえぐい。一軒家と同じ程度成長してしまった魔植物の爆発によって山が一つなくなったなんてことはよく聞く話である。そこまで巨大になってしまったら避難勧告が出されるか、Sランク専門の緊急依頼になるが。


 「昇格試験、結果が楽しみ」

 「………はぁ」


 楽しみと言う割に楽しい雰囲気を出さないシノの様子にため息を付くスペーラ。

 シノが昇格することに関しては疑問を感じてないスペーラ。むしろCランク昇格試験の方が他人との連携を求められる為心配している。

 必要に迫られば喋るものの、その言葉もどこか足りない為かなりの確率で相手の怒気を誘発させる。もし今回盗賊に対して対話なんて判断をすれば怒らせること必須だろう。

 斬っても問題ない盗賊を列挙しているだろうから、よほどのことにならないとそうはならないだろうが。


 「宿、行く?」

 「そうですね。一度宿に行って、厩舎があればクロを休ませましょうか」


 クロはそこまで睡眠を必要としない。

 黒曜馬としての体質なのか、体力回復の為に休憩をすることはあっても、長い睡眠を必要としていない。むしろ体を動かすことを好んでいる為、街のように取り囲む壁がなければ厩舎に入れることはせず外で遊ばせている。


 「歩きますか?」

 「ん」


 ひょいっと椅子から飛び降りたシノは、スペーラを従えて冒険者ギルドを後にする。

 厩舎でクロを引き取り、道行く人に警備隊の宿舎はどこか聞きながら街中を散策する。冷やかしに屋台で串焼きを買い、この街はどんな街なのか住民からそれとなく聞き、たどり着いた宿舎の前でスペーラは絶句した。


 「(きたな)っ!」

 「あははー、君らを紹介した彼のいる舎だったらこんなじゃないんだけどね。まとめ役の個性が出るから」

 「それにしても汚すぎでしょう!?」

 「安全性は保障するよ」


 案内された宿舎の外見は酷い物だった。

 表は一応綺麗にしてあるが、横や裏などの壁には落書きが成されていたり、何だかよく分からない液体がこびり付いていたり、中に入れば所謂益虫が天井付近に巣をつくり、所謂害獣の目の光が通路の奥からこちらを照らす。

 部屋一つ一つに関しては、一階は宴会に使ってそのままなのか腐った臭いが蔓延し、二階は誰も入って居ないのか埃で塗れて歩けば廊下に痕跡が付く。

 

 「安眠できないでしょう、コレ!」

 「安全性は保障出来るよ」

 「安全性しか保障できないじゃないですか!」


 壁に穴が開いていないのが不思議なぐらい汚れているが、三階の床が腐っているのを見る限り、天井は壊れているのかもしれない。

 二階の部屋の中は古びた匂いが充満し、木製の衣装棚は押したら潰れ、武器置場となる錆びた鉄の金具は少し触れただけで床に落ちた。


 「二階、全部使っても?」

 「うん? いいよ。本来ここは外部の人らを招く時に使う場所だから、今の所どっかから騎士団を要請するなんてことはないしね」


 外部の団体様を入れる場所がこんなゴミ溜めでいいのか、と不安になるスペーラ。


 「やっちゃダメなこと、教えて」

 「あー………壁とか壊さなければ大抵のことは大丈夫。担当の舎が掃除に来るかもしれないけど、多分この状態だと来てないだろうし、気にしなくてもいいよ」

 「来たら?」

 「君らは冒険者だったけ? もし君らに手を出すようなことがあればぶちのめしてもいいよ。良くも悪くもここは武力主義だから」


 ケラケラと笑う彼。

 本当に武力に打って出たらきっと色々と言われるのだろうと思い胃のあたりを押さえるスペーラ。今まで高待遇で迎え入れてくれたどんな場所でも、問題が起きなかった(ためし)がないのだ。

 好きに使ってくれと言い残して彼は薄汚れた迎賓館から出て行った。

 クロは迎賓館に付いていた比較的綺麗な厩舎に入れ、また二階へと戻る。


 「スペーラ」

 「………はい」

 「掃除、するよ」

 「………………はい」


 掃除用具をどこからか引っ張り出してきたシノ。

 両手に箒と塵取りを受け取ってスペーラはため息をついた。


 「何で部屋の掃除何て………」


 ブツブツと文句を言いながら窓を服スペーラの仕事は正確だ。

 二階の全ての部屋の窓を開け、部屋の端から埃をかき集め、廊下に掃いていく。シノが階段と廊下の間にある木枠に何らや落書きをしているのを横目で見ながらさらに隣の部屋に入って埃を掃き出していく。益虫の巣も取り忘れない。害獣の出入りしていると思われる場所には外から持ってきた粘土質の簡単に乾燥する土を摘めていく。

 全ての部屋の掃除を終わらせて、階段がある方とは逆の廊下に設置してある扉を開け、スペーラはシノに合図をする。


 「シノ様、開けましたよ!」

 「ん。気を付けて」


 シノも階段の窓を開け、その木枠に座ると指先でスペーラが開けた窓を指差して呟く。


 「『“Air” manera apparet mutari mea. Verrentibus』」

 「うわっ」


 廊下に溜まっていた埃が巻き上がり、柱がみしみしと音を立てる。

 数秒で収まった風。ゆっくりと目を開けたスペーラは、二階の床の木目がきっちりと見えることに驚く。


 「さ、流石ですね、シノ様」

 「ん。洗濯、お願い」

 「はい。分かりました」


 つなぎ目に溜まっていたはずの砂等も外に吐き出されたのか、スペーラが空けた扉の下の地面にはちょっとした砂の山が出来上がっている。苦笑いをしてスペーラは二部屋のベッドから、剥いだ白かっただろう布と薄汚れた毛布を落とす。

 一回へ降りたスペーラは外の水場で溜め池を探したのだが見つからず、水場の近くにため池もどきを作ることに決めた。


 「シノ様の為に。クロ、お願いします」


 厩舎から応援にクロを引っ張り出し、その場の地面を踏み固めてもらう。

 魔術を使えなくとも、黒曜馬であるクロは、自身を魔力で強化して地面に穴をあけるなど容易くやってのける。

 鼻を鳴らしてこれでいいかと不機嫌そうに問うクロに笑みを浮かべるスペーラ。土が踏み固められ、肘辺りまで窪んだ地面にスペーラは魔術をかける。


 「―――固まれ、整地」


 土系統の非戦闘魔術、整地。

 その効果は置かれた土の状態をそのままに保つ魔法で、戦場では少ない魔力で積み上げた土を立て代わりに扱える魔術として重宝される。

 一番の特徴は、込めた魔力分の時間、土を守るために水などをはじく力があることだろう。それを知ってもどう扱うかは人それぞれ。スペーラは選択容器としてその魔術を選択した。


 「よし、上手くいった」


 水を張ってその中に布と毛布を浸し、洗浄草と呼ばれる付け置きすると酷い臭いが付く代わりに汚れを落としてくれる草の束を三つほど投げ入れる。

 じわじわと広がる臭いに顔を顰めながら、スペーラは適当な棒を拾って物干しを作り、臭くなるのを待つ。


 「臭い………綺麗になるならいい匂いがするものになればいいのに………」


 口元を綺麗な布で覆い、ものすごく臭うが綺麗になった布と毛布を物干しに干していく。

 洗浄草は水をかけると臭くなるが、その臭いは魔物をおびき寄せる匂いでもあるらしく、外で使用する事はない。魔物除けがなされた町や村の中でのみ使用できる草である。

 日の光に照らされればその臭いも取れるので、村や小さい町ではそれなりに重宝されていたりする。それより大きな町や街になると、洗濯屋があったり洗浄草以上に使いやすいお高い物を扱う為この臭いはなかなか珍しかったりもする。

 まだ昼過ぎで仕事が寝ている者が多い為、咎められる様なことがなかったのは幸運だっただろう。


 「―――蒸発させろ、火炎」


 まだ臭いをまき散らす小さい池の中の水を沸騰させ、スペーラはひと段落したと二階へと向かう。

 そこで見たのは、床が反射するほど輝いている様子と、芋虫を絞って壁を拭いているシノの姿。


 「何してるんですか?」


 シノはスペーラを横目で見ただけで、水らしきものを入れていると思われる桶に虫を突っ込むとピギャーと虫が鳴く。それを絞ればまたビギャーと鳴き、シノは全てを無視して壁にその虫の背であろう部分を擦り付ける。


 「何してるんですか!?」

 「綺麗に、してる」


 虫よけの為に小さい実を潰して体に塗ったこともあるが、さすがに絞った布のような状態の芋虫を壁に擦り付けたことはない。


 「やる?」

 「遠慮しますっ! 部屋の中の片づけしてきますね!!」


 驚く速さで部屋の中に駆け込むスペーラ。


 「あーあ………知らない」


 シノは桶の中にピギャーと鳴く虫を突っ込み、水の張られた桶の中に居る同じ種類の別の虫を掴み上げぎゅーっと絞りビギャーと虫が鳴くのを見届けまた壁を拭く。

 数秒後、スペーラが駆け込んだ部屋から裂くような悲鳴が聞こえ、白い髪を緑色に染めたスペーラが駆けだして来た。

ピギャー。

ちょっと高めなイメージ。

芋虫って他に言うとすれば這いずり回る虫だけど、百足も這ってるよなぁと思い芋虫に。丸っこい。


夏本番。暑い。

水分と塩分はきっちりととってお過ごしください………

ではまた次回。

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