02 確かな意識の差
以前、「小麦粉 お菓子 簡単」
で調べてドーナツもどきが某レシピ投稿サイトに乗ってたので作ったのですが、丁度ベーキングパウダーと重層があったので作ったんですが、見た目がどう見ても某アーケードゲームのある意味主要? キャラクターにしか見えなくて………
キャラクターと言うか叩かれてる方って言うか。
ポ○プンのあの叩かれるのって名前なんて言うんでしょうかね?
音ゲー関連の筐体はやってみたくてもハードル高くてなかなか参戦できない弱虫がここに居ます。
本編に行ってみましょー!
ルイーデの冒険者ギルドは、活気があった。
昼過ぎという時間だからか冒険者は少ないが、依頼を出そうとしている者が多く存在した。
壁際にそれぞれの依頼ごとに区切られた依頼板には、下の板が見えないほどに依頼書が張り付けられている。
その中でことの他多いのは、ごく身近にあるはずの帝国への護衛依頼であるのだから、ある意味不思議な雰囲気を醸し出していると言っても過言ではないだろう。
「誰でもいいんだ。冒険者をこちらに渡せ」
「申し訳ありません。指名依頼の場合、相手の名前をご承知の上で、さらにその冒険者がこの街に滞在していて一定上のランクを―――」
「知っているッ」
カウンターを叩く男性に、周囲から好奇心の目が向けられるが、叩いた男は目の前の受付の者が笑顔を絶やさずに対応するその様子を見て苛立ちを加速させていく。
「私は貴族だぞっ!」
「貴族だろうと、平民だろうと、その種族が何であろうと、冒険者ギルドは冒険者の自由を前面に立て屈することはありません」
「っお前の一族全部」
「それ以上はいけません。お早目に帝国へお帰りになることをお勧めします」
受付の者が頭を下げると、奥から屈強そうなギルド職員が出てきて文句を言っていた者を外へと引きずられて行く。
その様子を、武装していない者たちは痛々しいモノを見たかのように顔を顰め、武装している者はその顔をしっかりと覚えるかのように凝視し心の中で嘲笑する。
受付の者は、今年一番の笑顔で青筋を隠し声をかける。
「二度と、こちらのギルドへ足を踏み入れぬよう」
ここまでギルドが強気に出られるのは、シシラギヤに置いてギルドとは国の下に置かれる機関であるが国王直轄の自営機関であるとされているからだ。
ディルエバーズであれば国営機関と同等の信頼を寄せられる民間機関として、フロウェルならば金を払えば何でもやるものたち、という意識で冒険者ギルドを見ている為、対応は異なってくる。
今まで貴族であることをひけらかせば跪く面々を見てきたフロウェルの貴族に、たった山ひとつ先でここまで意識が変わると言うことを理解できない。来る前に事前に説明されていて納得したと思っても、それは貴族に媚び諂う者らが発する言葉であるが故、うわべだけの理解しか得られない。
もともとフロウェルでは冒険者ギルドと貴族の間に金銭関係以上の信頼関係などないのだ。ギルド職員が行う国境越えの説明に義務以上のものが発生するわけもない。
「さぁ、シノさ―――」
そんな現状。
そこに居合わせてしまうのがスペーラとシノの運の悪さなのだろう。
屈強なギルド職員は、灰色のケープを被り、しっかりとフードをかぶった二人の者がギルドの扉を開けて入ってきたことで足を止めた。捕まっていた自称貴族は動きが止まり、腕を捕まえる二人の男が通る人の邪魔にならないように避けようとしたその行動を利用して捕まえていた腕を振りほどく。
「あっ」
誰の声だったか。それは分からないが、それは一瞬の間に起こった。
自称貴族は、帝国貴族なだけあって、戦闘訓練をそれなりに積んでいたようで、空いている足の踵で腰元の鞘を蹴り飛ばし鞘から地面に向かって滑り落ちる剣を掴むと、それを思いっきり横に薙いだ。
虚を突かれた職員だったが、飛び下がることでその攻撃をかわし、斬撃の範囲内に居たシノはとっさにしゃがみ、スペーラは横に飛び退いた。
自称貴族が真横に剣を振り薙いだ時、自称貴族の体勢は前かがみであり手中にある剣の重みを軸に体を振り回していたから、ちょうど進行線上に丸まった物体が居た。
「くそっ」
それを手に取り、剣を正中の構えにすれば、必然的に子供を人質にとった者の図が出来上がる。
「貴族をなめるな!」
ほどほどに鍛えられた男性の腕の中にすっぽりと収まったシノは、目を瞬かせる。
それを見るスペーラは一瞬顔を青くしたものの、シノが何の抵抗もせずに腕に収まっていることに首を傾げ、瞬間頬を引きつらせる。
「追って来るなよっ」
そう言い残して、自称貴族は剣を収めると灰色のフードをかぶったシノを抱えたままギルドを後にした。
「え?」
驚いたのはスペーラばかりではない。
むしろその場にいる全員がその行動に疑問を覚え、目を瞬かせていた。
「ゆ、誘拐?」
「え?」
「あ、君、あの子は君の妹とかかな?」
「そんな感じ? です」
疑問が疑問を呼ぶ混乱状態。
再び静かな喧騒が訪れるのだが、スペーラは耳に付けた銀のカフスを通して聞こえてきた言葉を思い出す。
[拠点登録、よろしく]
いくつかの町を転々とするうちに必要に駆られ、裏街で作ってもらったパーティー専用のギルドタグもどき。
本来指でしっかりと触らないと発動しないその念話機能は、肌に触れれば使えるほどにシノは使用に慣れていた。
クロと共にスペーラを置いて狩りや偵察に行ってしまうこともあったし、何も言わずにスペーラの側を離れてしまうこともあったため、どうしても必要だとスペーラが駄々を捏ねる羽目になった一品である。
これがまた便利で、いくら離れていても、スペーラがシノの魔力で登録した奴隷なだけあって、念話が届き、何を狩ったからあれそれ準備宜しく、なんて伝言をソレでしていた為、否応なく扱いに慣れたのだ。
「ええと、さっきの彼は知り合いだったり?」
「あ、しません」
自称貴族とスペーラは初見だ。
自称貴族の彼自身、初めて他国へと出るのだから以前会っていた、なんてことはないだろう、シノもスペーラも。
「じゃあ警備隊に連絡して探してもらいますか?」
「あー………いえ、自分で探すのできっと大丈夫です。それよりも拠点登録を済ませたいんですが」
「あ、はい。受付へどうぞ」
「ははは………ありがとうございます」
少々訝しげな視線を向けられながら、スペーラは受付へと向かう。
冒険者登録用受付は、大抵どの町に行っても空いている。冒険者にとっても町にとっても新参者しか使用しない受付だからなのか、大抵ここに座る者は個性が強い。
「いらっしゃーい。拠点とーろくでしょ」
「はい。さっきの子の分もいいですか?」
「いーよー。出して出して」
受付からやっと頭一つ分出るようになったシノは、肩より上に手を上げないといけない受付での取引を好まない。よってギルドの拠点登録はスペーラがタグを預かり受付へと流していた。
「へぇ~随分遠回りしてこの街に来たんだねー」
タグの拠点登録欄の書き換えには少しの時間がかかる。
冒険者登録用受付に配属される者は、基本的にその時間、冒険者たちに不快な思いを抱かせないように明るく喋りやすい者を置くことにしているのだが、今回に関してはそれが少々悪手だったかもしれない。
スペーラが受付の者を見る目に余裕がなくなり、黙り込んだのだ。とは言え、無口な冒険者も多い為、別に殺気や威圧感を出しているわけでもないスペーラの様子に、特に何も感じない受付の者は、そのまましゃべり続ける。
「二人旅とか大変だったでしょー、でもCランクなら別に大丈夫なのかな? あの子ももうすぐ十歳でDランクになれるみたいだし」
広いギルド内に滞在する人数は少ないが、生憎受付の周りにはそれなりの人数が居る。しかもそれは冒険者ではなく殆どが依頼人。
一定以上の冒険者にとっては情報こそが命。
冒険者同士であれば大抵聞くまいと離れるが、依頼人であれば違う。特に指名依頼が出来るほど冒険者になじみがない者は名前とランクを聞こうと耳を澄ませ、その情報を勝手に広げてしまうのだ。
「でもCランクになった速さは歴代百位内に入りそうだね! いいお師匠さんに恵まれたのかなー? このままの速さでBランクになったら歴代五十位だね~」
受付の雰囲気は一転していた。
気が付いていないのは話し続ける彼女だけ。
忙しそうに依頼を聞いていた受付の者は、依頼人がそっぽを向いて目を細めていることで気が付いた。最初はランクをそのまま告げるのはご法度。それにフードや帽子を深くかぶって容姿を隠している者に対して無遠慮に情報をばらまくのは、暗黙の了解としてだが禁止されている。
さらに悪いことに、喋り続ける彼女の声は静かな屋内によく通った。
「あ、でも奴隷なのかー。それじゃあBランクになるのは難しいかもしれないねー。ご主人様はまだEランクだし」
止める間もなく、その会話は続いた。
シシラギヤでは奴隷に対してそこまでの嫌悪感はないが、世話をしなけば生きていけない者、という認識がある。その奴隷が一人でいればどうなるか。
「はい、登録完了しました。主のシノさんにもきちんと渡してくださいね」
依頼受注の担当をしていた受付の者は奥へと引っ込み、受付より手前に居る者共の半数は下卑た笑みを顔に浮かべる。
スペーラは深くフードをかぶり直しタグを受け取ると、ギルド内の酒場で食事を注文する。
「上手いものと水を」
スペーラが懐から取り出した銀貨がカウンターの上を踊り、酒場のマスターは不憫そうな目でスペーラを見て金銭を受け取ると奥の方へと消えていく。
「おい、奴隷なんだってなぁ」
「奴隷が主の許可なしに金使っていいのかなぁ?」
「奴隷なら俺らの言うことも聞いてくれよ~」
「そんな金持ってんなら俺らに恵んでくれよー奴隷クン」
スペーラが座った席の周りに群がる人間。
チラッと受付の方を見てみれば、スペーラに対応していた彼女は顔を青くし、年上の女性に起こられているのが目に入る。
「おいおい、奴隷のくせに見てんじゃねーよ」
そう言ってその男は装備していた剣をスペーラが居た場所に叩き付け、カウンターに傷が付き椅子の足が折れる。
当然のごとくスペーラはその横に立っている。
それをみて何も行動を起こさずにただ傍観に徹している一定のランクを超えた冒険者は目を見張り、剣を振り下ろした冒険者は怒りで顔を赤くし、その周囲に居る冒険者は笑いながらスペーラを囲む。
「おいおい、奴隷が避けたせいで机と椅子が大変なことになっちゃったじゃーん」
「その身で受けておけば何の間違いも起きなかったのに、人間様の意志に逆らう奴隷とかおかしいんじゃないの?」
ちなみに、難癖をつけている冒険者はDランク上がりたてな者たちばかりで、この街の性質上、情操教育はフロウェルの考え方に傾いている。
スペーラもどうにかすべきか悩んでいたのだが、注文をしてしまった以上マスターが戻ってくるまでここに居るべきだと考えて立ち止まっている。ただそれを傍から見ると傷ついた机と壊れた椅子を見てどうしようと焦って俯いているようにしか見えない。
いくらか調子が戻ってきた冒険者たちが再び武器を振り上げた時、待ったがかかる。
「彼はディルエバーズの生活奴隷に分類されている」
その声は先ほどまで受付の者を叱っていた女性。
年相応に腰が曲がっているが、大きな錫杖が床に付くたびに鈴の音が響く。
木でできた棒の先、下は金属の小さな返しが付いた先の丸い先端が、上には金属の輪に獣のものと思われる爪のようなものが三つ付き、その両端に金属の棒が付いている。鈴の音は金属の輪と木の棒をつなげる場所から鳴っている。
「彼の身分は奴隷と言うよりも貴族の従僕に等しい。貴様らが言ったこと、何一つ彼には適応されん」
シャン、と錫杖が鳴り、ビクッと冒険者たちが体を振るわせる。
「今回の件、口座から引き落とし又は冒険者資格剥奪、どちらが良い?」
「お、俺らは奴隷が主人を見捨てて気軽に飯を注文したことに腹を立てて………」
引くに引けなくなったらしい冒険者たちは目を左右に彷徨わせながら言い訳を考える。彼女が聞いていたのは受付の対応の劣悪さと、それによってこの状態が引き起こされていると言うことだけ。もちろん見てはいたが話しの全てを聞けるわけでもなく、状況判断が追いつかない為、一つため息を吐くと、スペーラに視線を合わせた。
「お主、主人からは何か言われたのか?」
「あ、いえ、拠点登録よろしく、と言われたんでその通りして帰還を待ってます」
あんな大胆な誘拐をされたことはなかったが、冒険者ギルドが存在する比較的大きな村ではシノの存在が舐められる一旦となることも多かった為、拠点登録をスペーラが一人で済ませ難癖をつけられないようにある程度時間を置いてシノが迎えに来る、ということをしていた。
その時間をつぶす作業でスペーラは自分用の口座から金銭を引き出し、冒険者ギルドで貸し出している本を読んだり軽食を取ったりと過ごすのが定例だ。
冒険者ギルド内であれば双方同意の上の決闘以外に争うことができない為、奴隷と言う身分を持っているスペーラにとっては安全であるが故の行動である。
「だ、そうだ」
「っ、それでも奴隷如きがこんな金額をポンポン払える訳ないじゃないですか! 主人が幼いことを利用して金をむしり取ってるようなモノなのかもしれない」
奴隷が個人の口座を開設することは少ない。
搾取される存在が奴隷であり、奴隷の稼ぎは主の口座に流れるように設定されていることが普通であるのだ。主がその口座のあり方に口を出さなければ奴隷が口座を持つことはできない。
「ふむ。青年? でいいんだよな」
「はい。Cランクのスペーラです」
「青年よ、タグを貸してくれ。青年が奴隷であるが故、この街では奴隷は平民より身分が上なのだ」
「DランクがCランクに楯突くことも?」
「それで相殺してるのが現状だな」
奴隷の言い分より、奴隷で無い者の言い分を信じる方が正しい。卑しい行為をしなければ奴隷と言う身分にはならない故、奴隷の言葉は信じるに値しないと言うのが一般論。
きっちり成果でランク分けされる冒険者たちも、上の言い分が完全に通ることはないが下よりも上の方が言葉に信憑性を持たせることができる。
「いいですよ。シノ様のものも渡しますか?」
「そうだな、一応くれ。ルイーデ冒険者ギルド、ギルド長ポーラ・リゥの名に於いて必ず青年に返却することを誓おう」
ニヤッと笑った女性の表情に、スペーラはまた変なのに絡まれてしまったと手を額に当て、周囲の冒険者は青ざめるのと楽しそうに見守るのとに分かれた。
忘れ去られた依頼人たちだったが、もうここにはいない。
彼らはCランク冒険者兼奴隷であるスペーラを意のままに操れる主人であるシノを探しに、すでにギルドから出て行っていた。
さっそくシノちゃんが退場。
ウソダドンドコドーン!!!
(オンドゥル語でも勉強しようかな)
何話ぶりだろうか。おそらく五十話近い前に一度だけ出てきたパーティータグ機能。念話に近いがほぼ一方通行で、しかも紛失した際の補償金が高いので使うのはそれなりに高いランクを保持している者だけであると言う一品の模造品(本物と同程度の能力を持つ)
さて、また次回、お会いしましょー!




