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魔王選定  作者: 華宵 朔灼
第四章 状況整理
94/113

閑話 そんなどっかの裏話

今回はおそらく完全なR15。グロ的な意味で。


夏ですね! 暑いですね!

山ですか? 海ですか? 花火や肝試ししたいですね!

大幅に話は変わりますが、

書き方を変えるのって辛いですね。

今ちょっと興にのってる設定があるんですが、一人称で書いてたら六万文字を超えたところで投げ出す結果に。第三者視点で書き直すとだいたい十倍の文字数になると言う不思議現象が起きるので尻込み中。


では、本編始まります。

 片側二車線のスクランブル交差点。

 視界が熱で歪まない程度の熱気が立ち込める道路の上、十三時四十七分、その事件は起こった。


 □■□■□


 はい、110番、警察本部です。

 事件ですか? 事故ですか?


 「い、今、目の前の交差点でっ」


 交差点での事故ですか?


 「は、はいっ、トラックとか横転してて………」


 トラックの横転が見えるんですね。

 今いる場所はどこですか?


 「交差点の前の店からかけててっ、店の名前は―――」


 はい特定しました。

 今管轄の警官を向かせますので、分かる範囲で詳しい情報を聞かせてください。


 「はい………トラックが横転したところからしか分からないんですが、タクシーが大破していたり、怪我してる人もいて」


 そうですか。

 怪我人と言いましたが、救急に電話はしましたか?


 「あ、いや、電話してません。ま、まずは警察にと思って」


 わかりました。

 心配なさらなくて大丈夫ですよ。


 「ど、どうしたら」


 まずは落ち着いてください。

 焦ると周りが見えなくなってしまいますから。


 「は、はい」


 もし詳細を聞きたいという時に、警察のほうからそちらに行く場合がありますので、協力の方をお願いしたいので名前を聞かせてもらえますか?


 「はい、アルバイトの佐々岡です」


 はい、では管轄の警察を向かわせておりますのでまた何かあればよろしくお願いします。


 「はい」


 □■□■□


 はい、119番。消防本部です。


 「きゅ、救急車ってこの番号ですよね!」


 はい。火事ですか? 救急ですか?


 「事故で、血だらけの青年がっ」


 現在の場所を教えてください。


 「えっと、スクランブル交差点で………ここ、どこだよ、なぁ!」


 近場にお店など有りますか?

 お店の名前からこちらで特定することもできますので。


 「○○駅南口から大通りを通り過ぎて大型ショッピングモールの………あ、交差点の一角にメルセデスベ○ツの店が」


 はい、場所の特定ができました。


 「は、早く来てくださいっ。血だらけで」


 落ち着いてください。

 怪我人の様子はどうですか? 意識はありますか?


 「い、意識? 血だらけでっ」


 青年でしたね?

 青年は動いてますか? 倒れたままですか?


 「う、動いてない。倒れたままで、血が止まらなくて」


 呼吸はしていますか?


 「こ、呼吸!?」


 ちゃんと息はしていますか?

 口元に手を近づけて確認してみてください。


 「し、してない………してない!」


 落ち着いてください。

 怪我人はその青年一人ですか?


 「え?」


 倒れているのは青年一人だけですか?


 「い、いや、怪我してるのはいっぱいいる」


 動けない怪我をしている人はどのくらいいますか?


 「分からないっ、でも事故って倒れたり泣いてたりしてて」


 交通事故があったのですか?


 「そうっ、交通事故で」


 管轄の消防が向かっているので、その場で待機をお願いします。


 「は、はいっ」


 青年の出血はまだ続いていますか?

 その出血がどこからかはわかりますか?


 「い、いや、医者じゃないし………とにかく早く来てくれ!」


 落ち着いてください。

 彼を助ける手助けをしましょう。

 救急隊が到着するまで、貴方が彼を支えるんです。


 「ひっ………」


 落ち着いてください。

 近くに人がいるようであれば、その人たちにも手伝ってもらいましょう。


 「は、はい………来てくれ!」


 心肺措置を優先します。

 やり方は知っていますか?


 「わ、わからない」


 やり方を説明しますので、その通りに行ってください。

 大丈夫です。貴方は彼の助けになれます。

 他の人には出血部位の圧迫をお願いしましょう。


 「は、はい………出血部位の圧迫、誰かっ」


 □■□■□


 死者四名、重傷者七名、軽傷者十三名。


 「猪狩さん、救急の搬送終わったそうです」

 「分かった。交通整理は?」

 「そっちも引き継ぎ終わってます。現状の写真もそろそろ撮り終わるそうで、レッカー呼ぶとか」


 ほんの少し前まで至って普通の日常にあったスクランブル交差点。

 アスファルトの車道には、大破した車の部品と生々しい血痕が飛散している。

 死亡が確認されたのは、大学生の青年が一人、高校生の青年と少女が一人ずつ、横転したセミトレーラー(・・・・・・・)の運転手の男性。救急車に搬送されようとした時点ですでに心肺停止状態で出血多量で、三人は助かる見込みが限りなくゼロに近かった。

 ただ、高校生の少女は綺麗なままで、なぜ死んだか分かっていない。


 「おい加山」

 「はいはい、なんです?」

 「この出血量、一人分だと思うか」

 「へ?」


 スーツ姿の二人が見下ろす車道には、まだ赤々とした跡が残っている。


 「まるで、体から血が搾り取られたみたいに見えないか?」

 「や、やだなぁ猪狩さん。変なこと言わないでくださいよ………」

 「………」

 「………ほら、聞き込み行きましょ! 検死結果が上がってくるでしょうし、資料で確認すればいいじゃないですかっ」


 まだ残っている事情聴取に猪狩を引っ張っていく加山。

 証言は、見ている場所によって少しずつ違ったが、概ね同じ内容で加山はほっと息を吐いた。

 資料を纏めるのが基本的な仕事内容で、資料作成が一番時間をとる作業。慣れなくてはいけないと思っていても、資料整理が苦手な加山にとって、証言のほとんどが一致しているのはかなりありがたいことだった。


 「猪狩さん、あとは防犯カメラの映像を見て証言の裏付けを取って終わりですよ」

 「………そうだな」

 「まだ気になってるんですか?」

 「そうだな。気になるな」


 レッカー車に運ばれていく数台の車を横目で見ながら、どこか意識を遠くに飛ばしている猪狩は眉間にしわを寄せる。

 それに一つ加山はため息をつく。


 「それじゃ、とりあえず情報交換しましょ」


 事故が起きた原因は、死亡した高校生たち。

 言い合いが発展して、少女が少年を突き飛ばしてしまったのが、赤信号の車道。

 スクランブル交差点の周りにある四つの歩道を、車道を軸にした象限で例える。


 「死亡した高校生たちが立っていたのは第一象限、車はx軸を行き来していました」


 象限とは、x・y軸からなる領域での位置を示す。

 十字を書いて、右上が第一象限、そこから反時計回りに第二象限、第三象限、第四象限となる。


 「赤信号で圧されて車道に飛び出た少年を避けようと、マイナスx軸方面から来たトレーラーがハンドルを切ったものの大型であった為スリップ、ジャックナイフ現象が起こり反対車線を走行していた乗用車と同車線を走行していたタクシーを巻き込み横転。反対車線を走っていた乗用車がそれを避けようと歩道に乗り上げ電柱に衝突しました」


 加山は手帳に十字を書き、死亡者を赤の×印で、重症者を緑の×印で、車は黒の□印で書き込んでいく。

 赤の×印は、第一象限と第三象限、それとトレーラーを示した□の中に一つ、そのトレーラーの進行方向である第一象限と第四象限の間に一つ。


 「ここまで来ると、死者がこんなに少ないのが不思議に思えてきますね」

 「そうだな」


 三車線の交差点らしく交通量がそれなりに多く、事故当時もそれなりの速度が出されていたとの証言も取れている為、重傷者と死者を合わせて十一名という数字は、あまりにも少なく感じられる。

 昼過ぎで、駅から店に向かう者や、飲食店から出てくる者、店から駅へと向かう者と多くの人が移動していて、よくそれで軽傷者が十三名で収まっているのが不思議で仕方ない。

 重症者の七名も、車に乗っていたり、事故が起こって反射的に行動に出てしまった人で、歩道に乗り上げた車の下敷きになっていたり下半身不随になる可能性があるなどと言う報告は受けていない。居てもおかしくない状況で時間だと言うのに、だ。


 「そうだな、俺か。第三象限の青年は即死だな」


 向ける視線の先には、ある意味一番むごたらしい跡が残ってる。

 そこから漂う臭いは、決して鉄錆だけではない。


 「その周囲の者たちが逃げる際踏みつけた為に悲惨な遺体になっていたが、周囲にいた友人らの証言によると、特に何も言わず倒れたという話だ。青年の眼底を貫いて脳まで達していた破片は車体の色からして第四象限の歩道に乗り上げた乗用車のサイドミラーの破片だろう」


 なんでそんなとこまで見てるんですか、なんて加山は疑問に思うが口にしない。

 口にすればさらに説明が長くなるのは経験済みなのだ。


「トレーラーの運転手は強く頭を打ち付け意識を失い失血多量で死亡だろうな。フロントガラスの全面に罅が入って中をうかがうことができなくて放置、誰もフロントガラスを割って引きずり出そうとしなかったのが死亡原因になるかもな。足がつぶれていたと言っていたから一概にそうは言えないが」


 一番最初に駆け付けた所轄の者も、救急車はすでに呼んであると聞いていたので、先に交通整理から始め、トレーラーの運転手について気が付いたのは救急車が来た後であった。

 混乱を極めた大事故で、その原因の一翼を担うように見えてしまうトレーラーの運転手だから先に逃げたのだろうと言う印象はその場にいた者たちが共通して持ってしまった印象であり、どうしようもなかったのだが、もう少し早めに気が付いていれば助けられたかもしれない命と考えるとやるせなくなってしまう二人である。


「高校生に関しては、不思議としか言いようがない。二人とも死亡しているから防犯カメラで確認だな。ただ、言い合いに関してはほとんどの者が聞いていたようだから必然だったのかもな」


 事件性は無し、高校生らの言い合いが発展して起こってしまった不幸な事故、と言うことでこの事件は幕を下ろす。

 いや、下ろさざる得なかったと言うのが正しいのかも知れない。


 □■□■□


 歩道で、何もいない場所に向かって言葉を発し、掴みかかる仕草をする高校生の少女。

 それをいさめようとするが全く行動できていない高校生の少年。

 何もいないその場所に、少女は目をぎらつかせ髪を振り乱し、服が乱れていくが彼女は始終一人で、相対するのはただの空気でしかないのだが、その様子は鬼気迫るものを感じる。


 「この二人には誰か見えてたんですかね」

 「さあな」


 そのうちに少女は何かを掴みかかるような仕草をして、両手で突き放すような仕草に変わり、大きく目を見開く。

 その少女が固まっている間に、少年が自ら車道に飛び出して車道に四つん這いになる。

 それはまるで何かを守っているようにも見えなくないが、そこには何もない。


 「これ、完全にホラーじゃないですか」


 セミトレーラーが少年に近付き、ハンドルを切り損ねてくの字型に曲がり、多くの車両を巻き込んで横転する。

 まるで悲鳴が聞こえてきそうなほど人々が散り散りに散っていき、残った者とあえて近寄る者たちが携帯電話を手に持ってどこかに電話している様子が窺える。


 「………なぜだ。どの角度にも、少年と少女が死んだ直接的な原因が映ってない」

 「もう止めましょうよー! 事件は事故として無事解決っ、それ以上何もないじゃないですか、猪狩さんっ!!」


 四つん這いで車道で項垂れていたその少年に気が付いたトレーラーの故人は、右に大きくハンドルを切り、横転。頭が反対車線に飛び出し、対向車線と後続の車がぶつかり、もともとの勢いがあって多くの車を巻き込む大事故に発展する。

 そして、どのカメラにも、少年が車にぶつかられた瞬間は映っていなかった。もちろんなぜか死んでいた少女も、数コマ前は立っていたのに、なぜか倒れていると言う不思議な現象を起こしていた。


 「俺ホラー苦手なんですよ!」

 「スプラッタは平気だろう」

 「欧米風は怖くないです。奥ゆかしい日本風が怖いんです」


 どのカメラを見ても何も分からない。何も分からない。

 不慮な事故として片づけられたが、不慮の事故として片づけるしかなかったと言うのが本音である。


 「ふぅ………」

 「証拠として提出されていますし、また新しい証拠でも出てきたら確かめましょうよ。それに休憩時間に休憩しないのは猪狩さんの悪い癖ですよ」

 「………そうだな」


 画面が閉じられ、CD-ROMをPCから抜く。


 「ああ、そうだ。加山、今度長男の誕生日会があってだな」

 「え、呼ばれて良いんっすか!」

 「お、おう」


 電源の消されたPC。

 電気の消された部屋。

 何でもないいつも通りの日常が流れている。


 □■□■□


 本日のニュースです。

 昨年の今日、十三時四十七分に起こったスクランブル交差点での衝突事故でしたが、その時の映像がネット上に出回り反響を呼んでいたのを覚えていますか?


 「ああ、私コレ見ましたよ!」

 「ええ? 見たのかい」

 「見た見た。けどコレって合成とかじゃないのー?」

 「合成にしては悪質でしょ。実際人が死んでるんだし」


 合成か合成でないかで多くの意見が出ていますが、ある研究グループがこの女性の服に現れている掴み視かかった後を研究した結果、大抵の身長と髪の長さなどが分かって来ています。

 この時、本当は何があったのか、カメラに映らなかった相手の女性はいったい何者だったのか、様々な場所で騒がれることになったこの映像です。

 見えない者が身近にいるかもしれないという、空想と言われてきた現象に対して一石を投じることになったこの動画を見ることはできませんが、各研究機関では未だに興味深い研究対象として扱われているようです。

 では、次のニュースです。


 ■■■■■


 楽しそうだね。


 「そうかな?」


 だって、ずっと笑っているよ。

 ………そんなに混乱させるの、楽しい?


 「ふふふ」


 悪趣味。


 「ありがとう」


 褒めてないよ。

 ………いい加減、引退した方が良いと思うけど。


 「誰の為に?」


 生きるモノたちの為に。


 「そこに我は居ないじゃないか」


 当然だろ。


 「酷いなぁ」


 無闇にかき回していいものじゃないんだよ。

 引っ張ればどこかに皺が寄るんだ。

 陰と陽は同棲できないけど、陰も陽も存在しないと崩壊するのが世界だ。

 表も裏も、中と外も、隔てられるからこそ生まれるけどそれがないと世界は存在を許されないんだ。隔たりを消そうとすればするほど、根幹に根強く残ってしまう。


 「知っているよ」


 自浄能力が作動しなくなったときに新天地を用意するのが僕の役目。

 君がここで与えられている役目は


 「自浄能力の促進」


 ………分かっているならこれ以上手を出さないでくれ。


 「いつまでも君に頼ることなどできないことをそろそろここの者らは知るべきなんだよ」


 それを君がやる必要はないよね。

 それを知らしめる役目を持つ者は確かに存在するよ。

 ………箱庭には居ないかもしれないけど、それだって理由がある。


 「なら教えてくれ」


 ………君にはその情報を公開できない。


 「なら続けるしかない」


 ………。


 「今回我が手を出すのはここまでだ。これ以上何か変えるようなことはない」


 昔馴染みとして信頼はしているけれど、君が彼らに文字通り切り捨てられることになっても、僕は君の味方でいるなんてことはないからね。

 そこんとこ、ちゃんと理解してる?


 「ああ」


 ………ならいいけど。


 「それじゃ」


 無駄話とかなら聞くからまたきなよ。

 君の役目を肩代わりすることも、君を終わらせることもできないけど、何かを変える力は僕は持っていないけど、君から話を聞くだけなら僕はできるから。


 「………また今度」


 うん。

 またね。

ある意味クロスオーバー回。

本編に関係あるのは、きっとおそらく忘れられている事件の内容と最後の会話部分。猪狩も加山もここでしか登場しない端役の予定。


夏の暑さにやられてますがエタってはいません。

次回で地図を載せたい。

登場人物に関しては要らないかなって自己完結。

また次回お会いしましょう!

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