12 鉱床都市国家ギルドーナⅢ
連日投稿!そろそろまたへたりそうな我は今日も生きてます。
それでですよ?
一日でブクマが6件も増えてるって………
驚き殺す気ですかね!?
50件超えましたよ!ありがとうございます!!
それらは横に置いておいて。
聞いてくださいよ。芸能関係にかなり疎いんです自分。
「嵐」の構成員や人数が言えないくらい疎いんですか皆さんどうですかね?
ちなみに「TOKIO」はダッシュ村ですよね?
そんな認識で生きてます。
フルネームで言える芸能人とか片手で収まるw
本編開始しまーす!
冒険者たちは、今まで感じたことのない不思議な感覚に顔を青くしていた。
なんせ、今地面から首だけしかでていない、そんな状態だと言うのに、なぜか目の前で歩いている二人の歩行速度と同じ速さで進んでいるのだ。手も足も、地面の下に埋まっている体を動かすことはできないし、素肌に触れている地中の土や岩は固い。それなのに、ぬるぬるとした動きで体は地中を進んでいるのだ。
「ウチが砦に一番近い町で良かったですね」
優男が笑顔でそう言う。
そんな姿をジトッとした目で睨んだ後、小人はわざとらしくため息をつく。
「せっかく特別処置寮を卒業したのに。もどらせようか?」
「せっかく同僚になったのに、つれないですね………それに」
微笑みを絶やさずに、続ける。
「同僚になったのですから、一緒に肩を並べましょう?」
「ぐぅ………」
上司と部下の関係で無くなったのだから、その権限は同等で。今までの部下として存在していた発言権もない。
「それより、コレ、砦のどこに捨てるか考えませんか?」
ちらりと向けられた目線に肩をすくませることもできない冒険者たちは見るからに顔を青く、いやそれ以上に白く染まる。
「いつも通り、奈落に捨てれば………」
「いや、今回は会議で顔と名前が控えられてますから。奈落に落としてしまうとまた後で面倒な処理が出てくるんと思うんですよ」
それ、全部お前のせいだよね? なんて言う言葉を飲み込んだ小人は、歩調をそのままに顎に手を当て考える。
普段ならば奈落と呼ばれる、シシラギヤとギルドーナの国境際にある、深く、広く、広がり続けていく地溝が存在する。雨期になるとそこは水で満たされ、多くの動物の楽園へと変化するが、普段は大きな岩がごろごろと転がっているだけであり、底に日の光が届かない為正しい深さを知ることもできない。
設置されている砦から落とせば、獣人の翼人でもないかぎりそこから抜け出すことはできない。
「控えがある場合は向こうでも一応生存確認が成されるようですし………もしそれで生死不明なんて処理になれば、こちらで処刑したと言う噂がたってもおかしくありません」
ギルドーナは、自治権が認められていても所詮はシシラギヤの属国でしかない。
一番交流があり国交として仲がいいディルエバーズも、同じシシラギヤの属国であるからある程度の決まりを共有できているのが一番安心できる要因なのだ。シシラギヤから睨まれれば、妖精族として生きることさえ困難になってしまうだろう。
「更に言うならば、今即位されている王はかなりの切れ者らしいじゃないですか。シシラギヤも安泰だとか。事実、彼の王が即位してから国内で滅多な争いごとは起きていませんし」
国も変われば意見も変わる。
者の噂は基本的に、良いところは遠慮がちに、悪いところは五割増しで、他人へと受け継がれさらに盛られていくのが通常。だと言うのに、シシラギヤの王の話は善に与することばかり。
情報統制されているのではないかと疑ってしまうほど善人な話しか出てこない。
つまり信用に値するわけで。
「でもー、面倒だよ?」
「そうですよね………」
ちゃんと奈落の向こう側まで連れて行ってあげた方が良いんでは? と言う言外の質問に、そこまでしてあげる義理も心象もないと言う。
後ろで静かに聞いている冒険者たちも、奈落の恐ろしさは来る途中で身に染みて知っている為が、気絶しそうな顔で神妙に聞いている。
「あ」
「どしたの」
「通信兵の方々の背後に人形をつけて、それに運ばせれば」
「そこら辺が落とし所かー………でもさ、そうなると作るのって」
「宜しくお願いします」
「ぶ・ざ・け・ろ」
きゃいきゃいとほほえましく物理的な喧嘩をする様を、流れ弾で負傷しながらも気を失えずに見ていた冒険者は後に語る。やはり禁句は禁句とするだけの理由があるのだと身を以て知った、と。
□■□■□
精霊の愛を一身に受けた者で、大人たちの監視をかいくぐって精霊と契約をしてしまった者には、大人とは違う特徴をいくつか得る。
一番大きな特徴は、背中に浮き出る文様。
まるで精巧な刺青のようなその文様は、どの精霊と契約したのか、どの精霊が見えるのか、知る人から見れば何が得意で何が苦手なのか分かってしまう。愛の文句と呼ばれる文様なのだが、その愛が人目に触れれば弱みを握られることになってしまう。
「さあ、ここが今日から君が入る寮だ」
普通よりも強力な精霊との力を引き出せる代わりに負う不利益をどうにかしようと作れたのが特別処理寮。文様を専門的な技術により隠匿し、人の眼では見ることができない者に変化させること学ぶ寮である。所属者をカリパレスと呼ぶ。
そこに所属している者に向けられる目線はあまり良いものではないが、即戦力としての武力を高め、集落の安全の為に貢献できる人の育成も引き受けているカリパレスの卒業条件は、住んでいる集落の議会長にその存在を認められること。認められなくても軍と呼ばれる集落を股にかける警戒要員に抜擢されたりする。ただ卒業したわけではないので、数年に一度カリパレスへと戻り、更新手続きをしなければ指名手配になるのだが。
「さて、これだけは守ってもらうけどいいかな?」
「なーに?」
「精霊やここに暮らすヒトと仲良くすること」
精霊の愛の文句を背に刻まれた者は、親元を放されて半ば強制的にここへと入れられる。それが一番良い結果になるのだと全員が共通の認識で認めているから。
「ん! なかよくできるよ!!」
「なら大丈夫だ」
「うん!」
「何があっても、仲良くするように心がけるんだよ」
何があっても、という言葉が強調される。
「うん?」
「さて、この門から先は寮生しか進めないんだ。………一つだけ教えてあげる、どんな道でも、行き止まりまで真っ直ぐ進みなさい」
寮の中のことは寮を卒業した者しか知らないが、伝えられている話によると、寮の門から入って寮までたどり着けるのは約半数。寮での生活を乗り切れるものはさらにその半数。寮で生き延びることができるのはその半数で、卒業できるのはさらにその半数から一人出ればいい方。
過酷とも、残酷とも、とにかく酷な環境であると言われているが、それも全て噂に過ぎない。噂に過ぎないが、卒業生や軍に所属しているカリパレスに聞けば顔を青くし閉口するため、半ば真実のように話は広がり続けている。
「ばいばーい」
「ばいばい」
ただ一つだけ正しいのは、外部との連絡の一切が禁止されているカリパレスが、両親の死に目に会えることはすくない、と言うことだろう。
■□■□■
大きな砦の上から下を見下ろさせられる冒険者たち。
気分は大海原の船の上で、船から突き出た板の上に立たされて後ろから剣で煽られているようなそんな感じ。
「うーん。やっぱり水がないから突き落とす案はダメだねー」
「そうですね。水があればよかったのに」
水がある、というのは、深く広い谷の下に水のような揺らめきがある場合のことであり、どれだけの水がどのくらい溜まっているかなんて知ったことではない。
とりあえず雨期ではなくて安心した冒険者たち。いきなり落とされる事だけは回避できたと安堵の息をつく。
「そこに居られるのは副議会長殿ではありませんか?」
そんな冒険者と他二名に声をかけたのは、商隊のように何連も続く馬車の、先頭の馬車の御者として砦に入ろうとしている獣人の女性。
砦から出るにでも検閲があり、その全てが終わるまでそれなりの時間がかかる。
女性はいい暇つぶしが見つかったと、彼らの元へと歩き出す。
「ああ、メルデネーラ一座の。講演は盛況でしたと聞いています。もう次の場所へ?」
「はい。我々は根無し草。留まることを知らぬ自走植物のように自らの益を探して渡り歩く旅一座ですから」
「今回は忙しくて見る暇がありませんでしたし、次回の講演を心待ちにしておきます」
「それはそれは。ありがとうございます」
メルデネーラ一座の座員と名乗る女性は、尖った耳とぴくぴくと動かし、ふくよかな尻尾を左右に振る。
獣人一座メルデネーラは有名な旅一座で、武器を扱う者や猛獣を扱う者もいるためその検閲は長くかかる。当然国外に持って行ってはいけない危険物もあるため、その所持の確認などもここで済ませる為には仕方ないのだ。
「所で、彼らは一体なんですか?」
「ああ、彼らは違反者だよ。どうやって町から追い出そうか検討していたんだ」
随分破れないように丁寧に薄皮に包んだ言葉に苦笑する女性。すでに破れかかっているその言葉に、女性はくすくすと笑いながら一つの提案をする。
「あんまりよろしくないことですけど、彼らと護衛の契約を結んで次の町まで送ってもらう、なんてこと請け負いますよ」
「それはありがたい。是非お願いします」
感謝している二人の副議会長の後ろで感涙に咽びいていた冒険者たちは、これを機に性格を強制したとか。
■□■□■
葬送の歌を、唯一歌える故郷の歌をスペーラが歌い終わって野宿する予定の洞窟へと戻ってみれば、スペーラは怒っているような焦っているようなクロに出迎えられた。
「どうしたんだよ?」
情緒豊かなクロだが、長年付き合ってきていたシノだからこそ伝えたいことが分かるわけで、まだ会って間もないスペーラはクロが何を言いたいかなんてわかるわけがない。
ただ、バタバタと駆けまわり、目に入ったスペーラに対して少し警戒するその様子から、シノに何かあったのではないかとスペーラは顔を青くする。
「シノは中か?」
クロが首肯したことで、スペーラはクロの脇を通り過ぎ中へと駆けこむ。
「あれ? 君はこの子の保護者ですかな?」
そこには、顔を赤くして少し苦しそうに息をするシノと、その側に座る一人の獣人の女性が居た。
「いきなり剣を抜くのはどうかと思いますよ!? ほら、濡れ布巾持ってるでしょ! 看病してるのです!!」
考える隙もなく剣を向けたスペーラに両手をわたわたと頭の上で振り、無害であることを示す獣人の女性。
その切っ先が貫く寸前で止まったことで、女性は顔を青くしながら大きく息を吐く。
シノを中心として、看病を続けながらも向き合って座った二人は、とりあえず自己紹介から始める。
「私はビッツと申します。獣人の旅芸人の一座に属する、まぁ交渉役なんかをやっています」
「それはどうも………いきなり切りかかってすみませんでした。この子は僕の主のシノ、僕はスペーラです」
ビッツは所属している旅一座の命を受けて、今度講演する予定であるギルドーナの現状と公演場所の確保にやってきたのだと告げ、その帰り道、シシラギヤとギルドーナを繋ぐ橋の下から不思議な歌が聞こえてきたこと。ギルドーナの人々がその歌を「奈落に落ちた者恨みの歌」ではないかと騒いでいたので、これはいいネタになるかもしれないと、あわよくば歌い手を一座に勧誘しようと降りられるところまで谷を降りていく途中、雨に足を取られて下へと落ちてしまったこと。足をくじき動けないところをクロに助けられ、シノが簡易治療を施してくれたが、その最中まるで落ちるかのようにシノが意識を失ったこと。
起こったこと全てを聞いたスペーラは、自分の歌がそんな風に思われていたのかと遠い目をして、原因不明で倒れたシノに心配な目を向ける。
「私が知っている症状で一番似ているのは魔力酔いなんですが………」
しかし、それだったら少し休んだら治るはずで、時間の経過と共に悪くなるような病ではないと続ける。
「えっと、すみません。魔力酔いってどんなのなんですか? 学がなくて済みません。聞いたことがないので………」
「………随分と丁寧な話し方をするんですね」
「え? あ」
「いえ、学がない、なんて言葉、普通使いませんよ」
「あ、あははは………」
普段から女装をして、立場に対する言葉の使い分けを叩き込まれているスペーラにしては痛恨のミスであろう。
相手が旅人だったから良かったものの、もしこれが町人だったり士官している者たちであったら、誤解を生んでいたに違いない。
すでにシノとスペーラの関係が主従であり、スペーラの教育がかなりのものであることはビッツも見ているわけで、これ以上何か喋ればシノの待遇が訳ありの深層の姫君になりスペーラがそれを守る護衛騎士にでもなりかねない。
「ふふ。魔力酔いでしたね」
「はい、お願いします」
困ったと青ざめるスペーラを見てビッツは笑い、全てを流すように話題を変える。
魔力酔いとは、魔力のない者が大きな魔力に当てられて起こす一種の拒絶反応である。魔術師になりたいと願い望むの者たちが、わざと濃い魔力溜まりへと出向き、大きく魔力を放出するとこれを起こし、魔術師としての素養に目覚めるとも言われている。
薬師が作る回復薬で治せるものでもなく、一番の回復への近道はしっかりとした休息なのだとも言われれいて、造魔剤と呼ばれる魔力の回復を一時的に増やす丸薬を飲むと言う対処法があるものの、それで更に気分を害してしまう者もいるのだから、十分な休息がこの病の一番早い解決方法だといえるだとう。
「こうやって濡らした布巾で頭を冷やしていますけど、他にできる対処がないんですよ………シノ、ちゃんは、もともと魔力がなかったり、魔力に対して拒絶反応を示すなんてことありましたか?」
スペーラが知るシノは、簡単に魔術を扱う。
その保有魔力も恐らく普通よりは多いだろうし、魔術を使っているからには拒絶なんて起こりようがないと考え、スペーラは首を横に振る。
毎日訓練している姿をその目で見ているのだ。最近は保有魔力消費の為に毎日風呂場を作成し、沸し、解体している。同じことをスペーラもしているが、スペーラが作れる大きさは精々親指の大きさ程度のもの。シノが作るような泳げる大きさの浴槽など作れないし作ろうとしたら魔力不足で倒れるだろう。
「そうですか………」
「あ、でも確か魔力を貯めている石がありましたよ」
「貯める石、ですか?」
スペーラは頷くと、シノの靴を脱がし、ズボンを少しまくるとシノの足首を露出させる。
十個の白い玉と、十個の限りなく黒い黒檀の丸い木片で数珠つなぎになったアンクレットがシノの足首にぴったりとはまっている。
白い球の表面には白く光る文様が浮かんでいるように見えるが、淡く鈍い為、その文様を詳しく見ることはできない。
「ほら、このアンクレット………あれ? この前は灰色だったのに、完全に白くなっちゃってる」
「白い石、ですっ!? これ! 真っ白じゃないですか!!」
「そうですね?」
「………」
色の変わる石など沢山ある。
温度変化で色が変わる石、雨の前になると色が濃くなる石、陽の下では黒いが陰の下では白くなる石などなど。スペーラが知っているだけでもかなりの種類の石が存在する。
別段、先日は灰色で、今白く染まっていたとしても、何か石の色が変わるようなことがあったのだろうと考えるだけだ。
「この石は所謂魔石です」
「へぇー」
「………」
「え? いや、魔石なんですよね?」
「………はぁ」
「え? え?」
ビッツは悩む。
わざわざなぜ白い魔石を足に付けているのかと。
よく魔力過多症に黒い魔石が使われたりするが、それは黒い魔石が屑魔石と呼ばれるように中に魔力がないから。しかしこの屑魔石、魔力を貯めこむとどんどんと白い色に近づいていく。真っ白な魔石は一つ白金貨一枚と同等の価値があると言われ、それを買い扱うのは王侯貴族のような者たちだと言う共通認識は、普通ではないスペーラに通用しない。
魔石の使用用途は主に魔道具の起動と作用の補助。
白い魔石一つで、シシラギヤの王城の明かり全てをひと月は賄えると言われている。
「とりあえず、コレ、外しましょうか」
外そうと手をかけた瞬間に弾かれるビッツ。
「え?」
「どうしました?」
スペーラから見たら、ただ単に伸ばそうとした手を止めたように見えただけ。ただ、手を伸ばした本人は、まるで何かに手首を掴まれて手を空中に縫いとめられている感覚がして、冷たい汗が頬を伝う。
―――祖の手は善なるか
ビッツの耳元に息を吹きかけるように聞こえてくる女性の声。
ひやりとする首元には、まるで刃が突き立てられているような感触と冷気が突き立てられている。感じないスペーラは首を傾げるだけ。
「じゃあ、僕が取りますね」
何事もなくアンクレットを外したスペーラ。
落されていない首をさするビッツは、横たわるシノとアンクレットを持つスペーラを恐ろしいものでも見るような目で見た後、大変なものに関わってしまったと大きくため息を落とした。
さて、ギルドーナ編終了です。
○○族に、○人族って付いていないのは、未だに人間として人々にと言うか帝国認められていない、元奴隷民族の方々です。
次はフィデリント編になります。
魔導国家には以前登場したあの子に進行を頼みましょう。
では、またの機会に!




