11 鉱床都市国家ギルドーナⅡ
いつまで連続投稿できるか挑戦期間。
知っている人が多いと思いますが、前書きは基本的に本編に何の関係もな現実よりのお話ですので、お話に興味のある方は前書きを飛ばすことをお勧めします。
そう言っても書くのを辞めない自分は明らかに性格が悪い。
そうそう。最近刀○乱舞を友人に勧められてやりはじめたんですが、音声を全て消して効率重視で回している我が姿を見て友人が一言。
「これ、そういうゲームじゃないから」
ほら、ゲームっていろいろ楽しみ方あるじゃまいか。
かの有名な懐化物だって、乱数調整とかし始める廃人とか、図鑑色違いで埋め隊だとか、メインストーリークリアしたら速攻売却とか。
あ、無駄話やめろって?
はい。そうですね。そう思います。
本編へどうぞー!
元々精霊魔術とはいったい何なのか。
人間には見えない魔術的現象を引き起こす生命体が精霊である。
『あそびましょ』
『あそびましょ』
その思考は幼い子供の用で、感情に行動が直結している存在。
『なにしてあそぶ?』
『だれであそぶ?』
『どこであそぶ?』
『どうやってあそぶ?』
精霊そのものに寿命と言う考え方はなく、全てと意思を共有できるが個での存在もある不思議な存在。知られているのは、精霊自体が魔術的な力の塊で、その力がなくなると空気に溶けてしまうこと。
妖精が見える者たちを妖精族と纏め、人間は差別し隷属していた時期もある。
『ないてる』
『なかせたのはだれ?』
『おこってる』
『おこったのはなぜ?』
さまざまな場所に存在する精霊の力を本格的に借りるには精霊魔術師として精霊と契約する必要があり、契約すればその精霊との繋がりが生まれ、その力を十全に引き出すことが可能になる。
見えない人間には分からない。
妖精族にとって精霊とは、友人以上家族未満なそんな存在。当然、見えない者は遠ざけられ、見えすぎる者は囲われる。
『きみはぼく』
『ぼくはきみ』
『みんないっしょ』
『みんないっしょ』
精霊との契約は、周囲から精神的に安定していると思われる者のみ許可され、妖精族を取りまとめている各議会長監視の元契約が行われる。
精霊との距離が近すぎて勝手に契約してしまう例もないではないが、極稀。そう簡単にポンポン生まれてくるような存在ではない。
『あそぼう』
『あそぼう』
精霊は自らに似た性質のものを好み、妖精族は感情に素直な者が多い。
精霊が契約した主について、その主の感情を吐き出す精霊。
『さあ』
『さあ』
その力が振るわれてこそ、ギルドーナの山や川、海や森と言う地形は出来上がっている。
ギルドーナの正式な地図は存在しない。
■□■□■
優男はニコニコとほほ笑みながら、議会準備室へと入り、直後その身に感じる轟音に一人納得していた。
「なんでいつもここに来るとこんな轟音が聞こえるんだよ!?」
「おい、お前知ってるんだよ? 教えろよ、カリパレス」
カリパレスと呼ばれた優男は、一層笑みを深めると、質問者に丁寧に応える。
「もう私はカリパレスではないんですが? と、言うよりも貴方方、良い治療院を紹介しましょうか」
胸にある徽章を指差しながら言う優男に、質問者はうっと息をのむ。
「紹介しなくて結構」
「轟音の理由だけ答えてくれればいいんだ」
その部屋の中に居るのは六角形の、優男と似たような文様が描かれている徽章を付けた者たちと、それより簡素な徽章をつけている者たち。
優男の胸に付けられた徽章を見て、前者は眉根を寄せため息を吐き、後者は驚き目を見張ると羨望と嫉妬の眼差しを注ぐ。
「毎度言っているじゃないですか。ウチの議会長補佐が起こしていることだと」
「それはない。あいつはそんなことができるようなやつじゃない」
「最初っから意見を聞く気がないのですから別にもういいんじゃないですかね?」
「だから真実を曝せと言っているんだ」
「これが真実なのでなんとも言えませんね………」
笑顔のままため息をつく優男。
張り付いた笑顔ははがれることはない。
声色と感情と表情が同じ場所に存在しないのが優男らしいと言えば彼らしい。ここには知っている者しかいないためなんとも思わないが、知らない者からしたら不気味なのが彼だ。
「………ただいま」
「お早いお帰りで」
「もう! おまえがこっちに早く来るから大変だったんだぞ!」
「ええ、大変でしょうね。これからあの町に一体どんな変化がもたらされるのか興味が尽きません」
感慨深げな表情を作って頷く優男。
その言葉に一瞬で顔を赤く染め、ポカポカと優男の腰あたりを殴りつける小人。
ポカポカ殴りつけている様子は至って可愛いが、その行為一回毎に地響きのような音が付きまとい、天井からぱらぱらと石が雨のように降り注ぐ。
「お前ら………俺の補佐なんだから、もう少し大人しくしてくれよ」
そんな議会準備室の扉を開けたのは、いい年な森人。
人間の倍以上を生きる森人にとって、いい年な外見でも結構な年月を過ごしていることが多い。外交担当である国王は結構な歳の者の仕事だが、各地を纏める各議会長は結構若い者たちが多い。
一つのことに縛られず、大きい視野を持って周りを見渡せる者が選ばれ議会長として中央議会で選任される仕組みである。
この土地でも、いい年な外見の、それなりに若い議会長は、いつも通り問題を起こしているだろう副議会長たちを見に来たのだ。決してなかなか資料を取りに来ないから忘れられたんじゃないかと焦ったわけではない。
「こいつには無理だと思います」
「彼には難題だと思いますよ?」
「お互いに全否定ね、仲の良いことで。………さっきまで話し合っていた会議資料だ。まとめてくれ。それが終わり次第会議室に直行、いいな?」
分かったと頷く部下たちの様子に一抹の不安を感じながら、胃のあたりを押さえて議会長は他の土地の議会長が待つ議会室へと進んでいく。
しかし、議会室へとたどり着いた先で見る風景を彼は知らない。
知っていたら、きっと議会室へと行かなかっただろう。
先走った部下の感情が引き起こした惨事が、議会室にも及んでいたのだから。
「ナンテコッタイ」
■□■□■
鉱床都市ギルドーナ。
豊富な森林資源、鉱物資源があるギルドーナではなぜその資源を採り尽くされることがないのか。
「ととさま、かかさま」
まだ幼い姿の子供の妖精族が親の元へとその短い手足を懸命に動かしてたどり着く。
その子供を笑顔で迎えた両親は軽々と子供を抱き上げ、目線を合わせる。
「あら、どうしたの?」
「せーれーさまとあそんでいい?」
子供からすると、親と一緒に居る精霊様。
大人になって契約して個別の名前を付ければ様付しなくなる。そこにはちゃんと意識の境界線があり、曖昧ながら理性的な境界線が引かれている。
「おお、精霊たちと遊んできなさい。でもこれだけはちゃんと守ってくれよ?」
「う?」
妖精族の子供は、子供同士で遊ぶことよりも精霊と共に過ごすことが多い。
歳の近い子供が少ないから、というのもあるが、将来どんな精霊と契約するかを考えるいい期間であるが故、そういう慣習ができている。
「精霊たちに願うことは駄目だ」
「おねがい、だめ?」
「遊んで頂戴って言うのは良いのよ。ただ、あれが欲しいこれが欲しいってねだったり、だだをこねては駄目なの」
「守れるかな?」
「ん! まもれる!!」
契約していない精霊でもその力は健在だ。
むしろ、契約していればその身に受けない余波も契約していないと受けるわけだから、契約していない精霊の方が危険なのかもしれない。
無理な願いでも、自らの思考に近しい存在の願いを叶えようとする精霊は、快く引き受けてしまう。
「精霊は大きな力を持っている。その力を使わせてはいけないよ」
「うーん? わかったー!」
下ろしてと暴れだした子供に苦笑しながら、両親は外へと走り出していく子供の後ろ姿をほほえましく見守る。大人になり、精霊と契約した者には、他の精霊が途端に見えなくなる。いや、見え辛くなると言うのが正しいのかもしれない。
子供の頃が一番精霊と同調しやすく、精霊と共に過ごすことができる。
「おそら、あめふりそー?」
子供が一人遊んでいても、それを大人たちは微笑んで見守る。
危ないから戻りなさいなんて誰も言わない。
どんなに小さい子供でも、危ないことには一度直面しないと学べないという考え方が浸透しているからでもあるが、大人たちよりある意味強力な護衛である精霊が共にいるのだから心配する必要もないのだ。
「ぐにょー!」
ぽつぽつと降り出した雨に、若草色の髪を揺らす子供だったが、地面から一本の草が伸び、子供と空を遮るように大きな花を咲かせる。
「まつー」
子供はその花の下にしゃがみ込み、両親が迎えに来るのを待つ。
精霊たちがそう望んだから。
どうすればいいか、精霊たちが一番よく知っているから、子供は精霊の言うことを素直に飲み込む。
「見ーつけた!」
「かかさまー!」
子供を大きな花の下から抱き上げた母親は、そのまま精霊が示してくれた輝く花の道を戻っていく。
精霊が土に、草に、水に話しかけ、両親が無事子供の元へと来れるように示した、小さい花弁ながらも淡く発光する花の絨毯。雨が降りやむ頃にはまるでそんなものはなかったかのように消えている絨毯は、精霊の道として、妖精族には親しまれている。
「楽しかったか?」
「たのしーかた!」
「精霊たちと何をしたの?」
「んと、おーきなおはなをさがしてー、いっぱいむしさんとおはなししてー、おっきなあなでかくれんぼしたー!」
妖精族の子供は、天真爛漫な幼少期を過ごし、一定の年齢で頑丈で強固な精神状態を保つ訓練を行う。
それを合格した者は精霊と契約し、周囲に認められる大人となる。
訓練に落第すると、両親との縁は切れないが集落との縁を強制的に切られ、そこで定住することはできなくなる。それらが他の国へと流れ、その場の者たちとの子を成し、半分の者たちが生まれる。
そうやって混ざった血が、まれに妖精族以外の精霊魔術師を作り出す。どこまで行っても精霊魔術は血が成せる技である。
「さあ、今日はお星さまをみながら眠ろうか」
「大きくなったら精霊さんにお願いできるようになるのよ」
両親と子供が草の上に寝転がると、草が増え、地面からふわりと彼らの体が浮く。体を温かい風が布団の代わりに包み、雲で覆われていた空も、まるで雲などなかったかのように満点の星空になっている。
「はやくおとななるー!」
子供の声に同調するように、彼らを淡く照らすしな垂れる花々が点滅した気がした。
□■□■□
ギルドーナに来る冒険者の目的は基本的に今よりも上質で強力な武器を手に入れることだ。ギルドーナは精霊と親和性が高い土地である為、強くしなやかな武器を作ることに適している土地である。
金に糸目を付け無ければそれだけで上質な武器を手に入れることができるが、本来は何度も鍛冶屋へと出向き、どんな武器を作ってほしいか、どんな武器でどんな敵を倒したいのか、どんな武器との親和性が高いのか、それを専属となった鍛冶師と話し合い武器の原案を作りだし、それ相応の素材を自らの手で収穫し、専属の鍛冶師に依頼を出すのだ。
当然人気な鍛冶師に作品委託しようと思えばかなりの金額が石が砂となり手から滑り落ちていくが、それもこのギルドーナで頼み作ってもらうことにかなりの信頼性があるからいわゆる拍付と同じように財布の紐を固く締める者もいない。
「では、彼らは国外追放と言うことで」
「異議無し」
「異議無し」
使えなくなった会議室を移動させて、新しく作った簡易会議室の中央には、岩に埋められた冒険者を取り囲んで審議を交わす議会長たちの姿がある。
一人の会議進行役の者から円を描くように六人の議会長が立ち、その背後に独りずつ副議会長が立ち、さらにその背後に数人の議会補佐が立ち、書類に会議で決定したことを書き込んでいたり、次の議会で使うだろう資料の目録を作ったり、思い思いに閉廷までの時間を過ごしている。
「まだまだ考えが浸透していないようなので、シシラギヤの方にも嘆願書を出しておきましょう。向こうの町村である程度選別できるならそうしておきたい」
「異議無し」
「異議無し」
シシラギヤから入ってくる冒険者、特に神聖帝国フロウェル出身の冒険者の質の悪さはぴか一である。フロウェルの者の多くが信仰する教会が掲げる人間至上主義には、未だに妖精族は下等種族であると言う認識が語り継がれている。
問題はフロウェルの者ばかりではないのだが、奴隷に対して一定の矜持が認められるディルエバースの者はまず人としての価値を最優先で見てくるため、妖精族としてはかなり対話しやすい。
船での交易が多いディルエバースとの仲はかなり良好だ。
しかし、魔道国家フィデリントと、神聖帝国フロウェルの属国である学園都市国家スコルダスの者は研究対象として見てくるため、そこまで関係は良好とは言えない。奴隷としては見ていないのだが、金で買える者として見ていることが多い彼らとの諍いも絶えないのだ。
「さて。いつも通り前払いであったら半額を彼らに、後払いであったなら関係なしに放り出す。それで良いか?」
「異議無し」
「異議無し」
この国に入る時、検問所で書かせられる書類がある。
禁止事項の一覧を読み、それを認めるという書類だ。
その一番目に、妖精族を「奴隷」として見ない、という項目がある。
破れば罰金、懲役、追放、その時によって対応は違うがそれなりの罰則を背負ってもらうと書かれている書類に自らの名前を書いてきているはずなのだ。
だと言うのにそれを冒した。
もしここがディルエバースやフロウェルだったら処刑ものである。
禁止事項に対する罰則の重さは国によって大きく異なるが、精霊に愛された地を罪人の地で汚すことを良しとしない為処刑と言う形で制裁を加えないだけなのだが。
「さて、これを放して外へ………担当はー」
「あ、ウチでやります。ウチの問題でしたしね。放り出すだけなら部下にやらせますよ。そう言うの得意な子たちですから」
「相分かった」
「任されました」
優男と小人は新しく与えられた任務に笑顔で頷く。
至上の任務を与えられて喜ぶように。
この冒険者たちの情報は、冒険者協会で共有されることになるだろう。ギルドーナが関係する武器の取り扱いを禁止し、それが破られた場合罰則を与え、さらにそれを無視すれば、連帯責任を負ってもらう、という伝言と共に。
冒険者にとって、ギルドーナから見放されると言うのは、せっかくできた恋人に好きだけど一生触れないで欲しいと言われるようなものだ。これから彼らが冒険者を続けるのはかなり困難となるだろう。
「では、今議会を閉廷する。異論は」
「無し」
次の議会はひと月後。
人間が定住することが出来ないギルドーナで、人間の子供の様子がおかしいと言う通達がシシラギヤから回ってくるのはまだ先のことだ。
精霊の寵愛を一身に受けるギルドーナに、人間の子供は存在しない。空中に存在する魔力に抵抗できない成熟していない人間の個体はその身に魔力を取り込み過ぎて破裂するから。
物理的にも精神的にも、人間はギルドーナに居つくことは少ない。それも含めて、学園都市スコルダスから研究施設を作りたいと言う話が毎月寄せられ、毎月断っている。
最近の議会で話されるのはスコルダスの話をどうやって合理的に断るかで埋まっており、人間の子供の異常を真剣に考えるようになるのは当分先にことになる。
冒険者に聞きました、ギルドーナってどんなとこ?
「すっげーいろんな武器があるとこ!」
「獣や魔物の強さが他と段違いで~(略)~基本的に物理しか通じない」
「妖精族をひっかけようとして永久追放になりました」
旅人に聞きました、ギルドーナってどんなとこ?
「人々の距離が近いかな」
「王政だと思ってたけどなんか違かったよ」
「優しい人が多かったけど、見えない存在と言葉を交わしている様を見ていると何だか不安になるものがあるね……」
さてここまで。
また次回お会いしましょう!
今日は9係あったかなー
(新聞来るまで起きてようかな)




