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魔王選定  作者: 華宵 朔灼
第四章 状況整理
79/113

08 獣人都市国家ラーデラⅡ

 WiMAX使えなくなりますねー

 ネット環境、さらに悪くなったらどうしようか………


 恋愛をテーマに書こうとして、乙女ゲームものを紹介されて、悪役令嬢ものを追いかけて、脳筋物に出会って、恋愛ってなんだっけ←今ここ

 Twitter企画が終わったら少し暇になってしまった………

 誰かまたネタくれないかなーww

 鼻歌を歌いながら、顔を深く隠す帽子をかぶった女性は、目を覆い隠した男性の腕を引いて町中を歩いていた。


 「ねぇ、シン。どう?」

 「どうと言われましても」

 「硬いわ。私たちは恋人設定よ? もっと情熱あふれる演技をしてよ」


 胸を腕に押し付けられようとも、シンと呼ばれた男性の表情はピクリとも動かない。


 「それに、敬語キャラで行くなら少しぐらい恥じらう演技が必要だわ」


 そういうゲーム、やったことあるでしょ?

 そう告げる女性に、男性は大きくため息をつく。


 「腹黒理系男子を御所望だと?」

 「うーん、綺麗系副会長でもいいわよ」


 なんとも言えないその返答に、頭を抱えたくなるシン。


 「前半は乙女ゲーですが、後半は乙ゲーですよね」

 「違いが分かるならセウトよ」


 寄り添いながら町中を歩く二人の姿は人目を惹きつけるが、主に女性の方が放つ色気と言うか惚気というかが周囲を毒


して、結局のところ彼らの周囲はぽっかりと穴が開いたように誰も来ていない。


 「シンは何か無いの? 向こうで攻略してたのはどんな娘」

 「そういう本は読みましたけど、結局一度もゲームに手を出したことはなかったですよ」


 話している内容がこれと言うのは、なんとも残念さがにじみ出ているが。

 笑顔でそう話す女性の姿を周囲の人はちらちらと見るが、誰もその内容を知らないし、聞いても分からない為、その顔


には男女への羨望しか浮かんでこない。


 「うっそ! え? じゃあずっと独り身だったの」

 「別にゲームするほど困ってませんでした」

 「糞リア充め!」

 「褒めていただきありがとうございます」


 慣れてるならやってあげない! と腕の締め付けを緩め、歩き出す女性。


 「所で」

 「なあに?」

 「今日は検討会では?」


 シンの発言に、笑みをたたえたままの彼女は、ただ一言返す。


 「もう終わったから大丈夫よ」


 何が終わったのか見当もつかないが、彼女がシンに対して嘘をつかないことはよく知っている為、それ以上は何も言わ


ない。

 彼女たちが居るのは、シシラギヤ。

 必死に秘密裏に部下たちが探しているのを尻目に、族長である彼女は、腹心と共に、観光にいそしんでいた。


 □■□■□


 青年が自らの纏める地の象徴である城へと帰還すると、幼馴染であり妻でもある女性が出迎える。


 「お帰りなさい、また告白してきたの?」


 獣人の女性は立場が弱いと人間には思われているが、守ることに対してはかなりの強さを発揮するため、立場はそれな


りに強い。時には男よりも強い場合もあると言える。


 「ただいま。………あれ? そういや、今日は告白しなかったわ」


 戦闘に重きを置くせいか、恋愛に関しては相当寛容である。しかも、族長はその優秀な種を後世へと残さなければなら


ないため、男が族長であるならば沢山の強い女を、女が族長であるならば沢山の強い男を囲わなければならない。

 仕来りにせずとも、至って当然であるため、強い女を男が勧誘するのは当然のことと言えた。


 「変ね。いつもなら、どう告白を断られたかって自慢するのに」

 「ま、へたすりゃ俺よか何倍も強いからな」


 男だろうが、女だろうが、力こそ正義。

 告白して、決闘して、それによって人生を左右することもある獣人社会で、強い者に「告白を口頭で断られる」という


行為は、実力は認めているが人格を認めていないと言っているようなものだ。

 逆に行ってしまえば、その人格さえどうにかすれば結婚してあげても良いよ言っているようなものであり、人間からは


理解されなくとも、同族間では告白を口頭で断られるのはとても誇らしいことでもあるのだ。


 「でもおかしいわね?」

 「そうだな」

 「姿も、匂いも、あの雌兎だったんでしょ?」

 「うーん………」


 思い返す、というのもおかしな話だが、青年は検討会であったあの麗しき美女を思い出してみる。

 普段なら高揚して仕方ないのにそんなことはない。

 普段なら妻を目の前にしても思い返してしまうはずなのにそんな気持ちは一切湧いて出てこない。


 「もしかしたら………」


 青年がたどり着いた答え。


 「あいつ、弱くなったとか?」

 「え? 次代を孕んだってこと?」

 「じゃねーの?」


 それしかないと満面の笑顔で頷く青年に、その妻は首を傾げる。

 獣人の女性が孕むと、その子供を守ろうとする本能が働くのか、出産期になると弱体化し、まるで自らの体が自らのも


のではないように動かなくなる。


 「強いと孕めなくなるから………それはないと思うけど………」


 しかし、人間族や妖精族にも共通することだが、強すぎる力は、次代への種そのものを駆逐してしまうため、なかなか


強い者が子を孕むことはなかなかできない。自分より弱い相手が番となれば、子を産むことはできず、結果的に女性は男


性に圧倒的な強さを求めるのだ。


 「ま、どうでもいいさ。あ、そうそう」

 「なあに?」

 「今人間のとこいってる密偵ってどのくらい居たっけ?」

 「んーそれなりにはいたと思うわよ?」


 牙人族はある意味では一番人間側に居る一族だ。

 温厚で仲間思いの者が多く、獣人としても一番大きな集落を築いている彼らは、近いからこそ情報収集の重要性を見い


だせていない。

 ほとんど人間が戦力と交換で肩代わりしてしまうからだ。


 「んじゃ、そいつらが集まる日ってあるよな」

 「来週にちょうど会合があったと思うわ」

 「その会合に脚たちを向かわせて話を集めてきてくれ」

 「話?」


 青年は、妻の腰を抱き、耳元に口を寄せて囁く。

 一気に甘い雰囲気をまとった青年に、廊下に立つ護衛たちは「またか」

と顔を歪ませて、その空気に当てられないように少しだけ離れる。


 「どうやら、(監視)が付いてる」


 少し体をこわばらせた彼女をなだめるように、しかし周囲からは誤解されるようにうまく顔を隠しながら語らう。


 「情報は閨の時に受け取る。それまで、頼めるか?」

 「分かりました」


 軽く頬を合わせ、抱擁を解く。

 数歩後ろに下がった妻は、青年に向けて優雅に一礼すると「では褥の上で」と言って去っていく。

 青年は空気を読んで黙ってくれていた周囲の者たちと共に自らの執務室へと向かう。

 きっと書類に囲まれて倒れそうな顔をしているだろう、宰相でもある友を助けに。


 □■□■□


 少年は自らの爪をかみしめていた。

 一番最初に塒に帰ったのは彼だろう。


 「坊ちゃま」

 「黙れー」

 「いくら見ても結果は変わりませんよ」

 「黙れってー」


 少年が見ているのは視覚同調させた先の景色。

 肉体的にも精神的にも自分よりも強者である者にはかけられないが、自らより弱い者の体を触って顔と名前を覚えてし


まえばいつでも同調できるという固有能力。

 同調であって共有ではないところが利点だが、これは同時に複数の者に同調することができないのが難点である。


 「坊ちゃま」 

 「黙ってろー」


 そして、少年の世話をしている執事服を着ている者の固有する能力は共有。

 少年が見ているものや聞いているもの、さらには考えていることまで一定の距離に居ればわかってしまうという能力で


あるのだが、だからこそ今している行為が無駄なものだと判断できる。


 「甘い雰囲気は変わらないと思われます」

 「くっそー、あいつらいちゃつきやがって」


 見ていたのは牙人族の夫婦のいちゃつきだ。

 まだ番を得ていない少年にとって、その光景は少しばかり新鮮なモノなのかもしれない。


 「ささ、もうよろしいでしょう?」

 「あーもー、うるさいなー」

 「我等鱗人族は他種族と違って最強を頭にしているわけではないんですから。もう少し利口に行きませんと」


 力こそ全て。

 しかし、少年はその固有能力を買われてその地位についている。

 実際に一族を運営しているのは、少年よりも強い者たちだ。

 少年の役割は、一族の口となること。その時に目となり耳となれる能力を周囲にばらまいてくること。それができなけ


れば用無しとも言われている。


 「………」

 「ほら、院に報告しなければ。別に私が行ってもかまいませんが」


 獣人社会に奴隷という考え方はないが、鱗人族の集落に置いて、最下層に住む者たちはそれと同等の扱いを受けること


も多い。

 自らの力で這い上がることもできない者に住める場所などないのだ。


 「馬鹿にされたくないからー」

 「そうですか。でしたら、少しばかり情報を確定させましょうか」


 少年はもともと最下層の住人だった。

 最下層は永遠に地面を掘り続けることを決定づけられた者たちが暮らす場所だ。そこで生まれた少年はそこしか知らな


かったが、母親を蹴りつける役人に触りそれを改善させて一躍最下層の英雄となり、その固有能力が上層部に伝えられ、


今の地位まで押し上げられた過去を持つ。


 「あー、そういえばー」

 「なんですか?」

 「共有で確認して欲しいんだけど、今日のテルディーレさん、なんかおかしかった気がするんだよねー」


 最下層をごみの掃き溜めと言うような者たちにこれから報告しに行かなければいかないと思うと、なんだが心が重くな


る少年だが、最下層に居る仲間たちを思って考えをまとめる。


 「ふむ、私が直接会ったことがないのが難点ですが、坊ちゃんの今までの記憶と照合でもしてみますね」


 いつか鱗人全員に同調してやると意気込み爪を噛む少年を、自らの孫を見るような目で、愛おしそうに見つめた世話役


の男は、一度少年の頭をなでると、その頭の中にある記憶を一つ一つ舐めるように探っていく。


 「うっ………」

 「頑張って下さい、坊ちゃん」

 「この、くらい。なんでもない、さー」


 頭の中を穿り返される。

 ただ共有しているだけなら気にしなくてもいいような体の中を何かが這いずり回るかのような感覚に耐える少年の頭を


ゆっくりと撫でながら世話役の男は記憶を探っていく。

 その奇妙な感覚は、使用している世話役の男も感じているが、強制的にいじられている少年の方が濃く感じている。


 「はい、終わりです」


 世話役が頭から手を放せば、少年はクッションが備え付けられている椅子に倒れる。


 「これは、だいぶ違う、かもしれないですね」

 「でしょー。いつもみたいに僕の頭を撫でてくれなかったし、なんか結論を急いでる気がしない?」


 言われてみれば、そうかも知れないと思う世話役だが、記憶を共有しても体験を共有できたわけではない為、言われて


みればそうかもしれない、としか言えない。

 自らの立場を、情報を正確に精査する為の行為だと理解している世話役だからこそ、断言できない。


 「そう、かもしれないですね」

 「そーだよねー………まーいーや。とりあえず報告行こー」

 「………もしかして、直接伝えるつもりですか?」

 「うん。そーだよ」


 ニヤッと笑う少年の顔。

 世話役はため息をつきながらも少しばかり嬉しそうに微笑む。


 「『情報戦のイロハも知らない若造が!』って翼人のとこに言われましたーって言ってやる」


 鱗人族の上層部よりも高齢で一族を纏めている老人は、少年にとっての憧れの人でもある。

 決して驕らず、皆に平等な姿勢で向き合い、決断は迅速で、下からも慕われた立派な指導者。それが少年の理想とする


一族の代表であり、その条件をすべて満たしているのが翼人の頭である老人なのだ。


 「うふふー、悔しくて奥歯割れちゃえばいいのさー」

 「くすくす」


 歯ぎしりして、馬鹿にされたことを悔しがる上層部の連中を想像して、落ち込んでいた心を少しばかり浮上させる少年


だった。


 □■□■□


 老人は、自らの翼をたたみ、横から差し出された布で顔を拭く。

 老人は今まで会議と名の付くものに護衛などを連れて行ったことはない。叩きあげで一番上まで上り詰めた老人は、周


囲を信用しているが、それ以上に自分の力を信用し、他の者にはそれ以外のことを任せてあるのだ。


 「報告を聞こう」

 「はい。我が国内に居る人間族の子供で『夢』を見た者は八名いました」


 王が座るとは思えない質素な椅子に老人は座り、机の上に摘みあがっている書類を少し下ろして目を通しながら報告に


耳を傾ける。


 「発症した者は?」

 「今の所いません」

 「発症原因について何か分かったことは?」

 「まだ発症例が少なく、目下調査中です」


 判子を押さなければならない資料に判子を押して、サインを書かなければならない書類にサインをしてと、その手をき


っちりと動かしながらきちんと受け答えをし、止まらないその様子にまだ新人で壁でお茶くみ係をしている者は尊敬と驚


きで目を丸くしていた。


 「本物のテルディーレはどこにいる?」

 「………」

 「どうした?」


 そうやってしてきた会話がそこで止まる。

 何か不測の事態でもあったのかと老人は手を止めて、報告をしてきた男を見上げるが、男の顔は本当に報告してもよい


のだろうかと、悩んでいるように老人には見えた。


 「書いてある通りで良い。そのまま報告しなさい」

 「………はい」


 男が報告したのは、シシラギヤの町で腹心と共に仲睦まじく歩いている姿を見た、というものであった。


 「それ以上の報告は書かれていません」

 「そうか………まぁ、多分それ以上の情報は集められんよ」


 鳥人の情報の集め方と言えば、人間には視認できない高高度を飛ぶことによっての情報収集と、運び屋として現地で暮


らして情報を集める二つのタイプを併用している。


 「腹心ならば、梟人のシンだろう。あいつは感覚が鋭すぎて翼人族から追放され兎人族の集落で拾われた者だからな」


 なかなか笑わない老人の、地味だが確実にほほ笑んだその姿に、周囲の者は少し嫉妬を覚える。

 たった一人を思い浮かべて笑うなんて、老人はかの奥方以外では梟人のシンと兎人のテルディーレ相手ぐらいしかいな


いのだ。老人を慕う者たちにとって、自らの一族でそこまでに実力が認められている者が居ないということも示している


その微笑みを得ようと、日々訓練にいそしんでいるが、獲得できたものはいまだ一人もいない。


 「仲睦まじく、ねぇ………きっと意味不明な言葉を言いあっているのだろうさ」


 老人は、まだ梟が兎の元に行く前に一度だけ、遠目でその梟を見たことがあった。

 意味の分からぬ言葉で周囲に訴え、こちらの言葉を一切理解していないその様子に周囲は怯えたが、まだそのころは代


表の椅子に座っていなかった老人は発言を許されなかった為何もできなかったが、水面下で自らの養子にしようかと画策


していたこともあったのだ。


 「さて、次の報告を」

 「はい。次は市場の報告です」


 毎日恒例の報告会はまだまだ続く。

 老人は幼いころの梟と兎を思い出して、また少し微笑んだ後、今度は一切表情を変えずに仕事に取り組むのだった。

 みてみんに登録したから、四章終了時に地図でも載せます。

 多分きっとおそらく載せます。


 総合評価が70を超え、ブクマが20件を超えている!

 嬉しすぎる。ありがとうございます!!

 あ、Script少女のべるちゃん、同名でやってます。

 そっちにはCoCしか載っけてないけどw

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