07 獣人都市国家ラーデラⅠ
PCキタ━━(━(━(-( ( (゜∀゜) ) )-)━)━) ━━ !!!!!
嬉しさで舞い上がりながら書いて熱を出すという失態。
「Twitterでやっちゃった企画」が楽しすぎた。
まだまだ大陸紹介は続くと言うね。
シノちゃん待ってる方はすみません。待たせます。
待ちに待たれてない七十六話、再開です。
雪の季節を小さな、とは言えその地基地面積はへたな町よりも大きな村でお世話になったシノは、雪解けと共にその村を出ていく。
「本当にお世話になりました」
「いいのよ! シノちゃんもスペーラ君も、一杯お手伝いしてくれて助かったわ!」
スペーラが馬を引き、一人で乗れない設定になっているシノを軽々と持ち上げクロに乗せると、夫婦に頭を下げる。
「うちに留まってくれても構わなかったんだけどなー」
「あら? それじゃ、ちょっと頑張って子作りしてみます?」
「子供たちの前でそういうことを言うな!」
もともと仲の良かった夫婦は、シノとスペーラを迎えて、さらに子供が欲しくなったらしい。なんとも幸せな雰囲気を醸し出しており、それを目の前で繰り広げられるスペーラが笑顔を引きつらせている。
「ありがと」
「んもぅ、いつでも帰ってきていいんだからね!」
「そうだな、シノちゃん、またここらへんに来たら顔を出してくれよ」
スペーラも馬に跨り、クロの手綱を気持ち引いて優しい夫婦の家を後にする。
後ろを向けば、見えなくなるまで手を振っている夫婦が見えることだろう。スペーラはシノと旅をしていて、温かい家族によく触れているが、それでもこういう風に温かく見送られると涙がにじんでしまう。
「泣いても、いいよ」
もう十分に離れて、スペーラがクロの手綱を放したところでシノが隣で青い瞳をスペーラに向けて言う。
「聞いているのは、家族だけ」
スペーラは、人と関われば関わるほどに人間味を増していくシノの様子に、スペーラの頬には涙が伝う。
少し前を進むシノにその顔が見られることはない。
少々不器用なその優しさに、スペーラは自らを家族と言ってくれる主人ができたことを誇りに思うのだ。
「今日は、野宿ですかね」
まだ日は高いが、そのうちにある程度予定を決めてしまわないと、旅は成り立たない。
「隣町」
「隣町ですか? 確かに山を三つほど進めば町がありましたね」
シシラギヤの領土は広大だ。
属国の三国の領土を合計しても敵わないほどの広大な土地を持っている。ディルエバーズの山が多い領土と違って、シシラギヤは平地ばかりなので、かなり安全な道のりを過ごすことができる。
シノと旅をすることで必須技能となりつつあるスペーラの対人会話能力は、順調に上がり、今ではタクほどではないがシノの単語で言いたいことをほぼ正確に理解することができるようになり、人に会ったら前を向いて挨拶をし、積極的に会話をすることができるようになってきている。
最初がずっと下を向いているだけ、と言う状態だったことを考えればかなりの成長ではないだろうか。
「でも、シシラギヤの宿は基本的に一杯ですよね?」
今さっき出てきた村の夫婦の家で、ただぼーっと家の手伝いをして越したわけではない。
その間、シノは家の中で過ごすかクロともう一頭を連れて山を駆け回っていたが、スペーラは昼間は買い物に出かけ、夫婦が寝静まった後は「スピィちゃん」としてばっちり化粧を決め込んで酒場に情報収集しに行ったりもしていたのだ。
「ん」
「もうなんで知ってるかとか聞きませんけど………宿がいっぱいいっぱいなら、町じゃ泊まれないんじゃないですか?」
町の宿の宿泊状況なんて、普通は知りえない。
しかし、シノが言うならそうなのだろうとスペーラは素直に納得する。ここまで何度も酒場で集められなかった情報をシノが当然のように保持していたからこその信頼なのだが。
「多分平気。今は少ない」
「どこからそんな自信が………なら、少し急いだ方が良いかもしれませんね。日が暮れる前に着きたいですし」
クロなら簡単に踏破できる距離だが、スペーラが乗る馬はそんな高性能ではない。いたって普通の、ちょっと金を持ってる冒険者が持てる普通の馬だ。
雪の季節を過ぎて花の季節になったとは言え、土は少々多くの水を含んでいて、いつも通り街道ではなく山道を越えようとすれば馬の体力は目に見えて減っていく。
「最悪、走る」
「止めてください。私が罪悪感でつぶされます」
「? 感情で人は潰れない」
「あー。これは比喩って言いまして………」
大抵のことを知る癖に、普通知っているだろうことを知らないシノの頓珍漢な言葉に、スペーラは少し笑い、言葉の説明を始める。
パタパタと余裕そうに耳を動かすクロの後ろでは、スペーラを乗せた馬が、負けまいと目をぎらつかせながらクロを追うようにその速度を上げていた。
□■□■□
獣人と言う種族は、多種族に対してかなり寛容的であるのだが、強さを追い求める風潮が強く、弱者を嫌う。
たとえ片足がなかろうと、最期までその力を振り絞った者を誉め称え、諦めた者に冷たく当たる。
どんな状況でも足掻き続けるのが当たり前でそうでない者は認めない、と言う風潮は、ほぼすべての獣人に共通していると言ってもいい。
「んで? なんで儂らは何で呼ばれたんかな?」
四人の獣人が四方向に座り、一つのテーブルを囲んでいる。
老人のような声で話したのは背中に茶色の大きな羽を背負って顔が半分ほど髪の毛で隠れ、口も伸ばした髭で隠れてしまっている男。
顎を掻くその手はまるで鱗のように硬質化した皮膚と、鋭くとがった爪が付いている。
「耄碌したんかクソじじい。とっととかえって世帯交代するんをオススメするわ」
四人の中で一番態度のでかい、テーブルに足を乗せ、だらりと体を椅子にもたれている青年がそう口にする。
せっかく豪華に着飾った服は、その恰好のせいでなんともだらしなく見えてしまうが、高慢な態度がとてもよく似合っている。
長い尾っぽと頭にある耳が挑発的に揺れている。
なんとも剣呑でありながら楽しそうな雰囲気を保っている。
「小僧、礼儀ぐらいは知ろうな?」
「俺に説教するか?」
すると答えればすぐに戦闘開始となる。
「やめよーよー! お二方が潰しあってくれるのはありがたいけどー、たまにしか集まることもないんだからー」
バチバチと散る火花に、燃えない油を注ぐのは少年だ。
むき出しの腕と脚には固い鱗がびっしりとはびこっており、目じりにもその兆候が見られる。体の割に手と足が大きく、爪も鋭い。地面についている尻尾は、ひたひたと動いており、その笑っている顔とは対照的に目は嗤っている。
姿と中身があり得ない程似合わない、初めて会ったものは、その少年にそんな違和感を感じるだろう。
「違うー?」
「小童、これは普通だろう」
「チッ!」
何が気に食わなかったのか、舌打ちをして青年はテーブルから足を下ろす。
下ろされると同時にどこからともなく使用人が入ってきてテーブルを拭くと下がり、今度は給仕としてやってきた者がそれぞれの前に飲み物を置き、菓子をテーブルの真ん中へ並べる。
退室した使用人の後ろ姿を目で追っていた少年は、にっこりとほほ笑むと青年に向き直る。
「ね、やっぱりそうだったー」
「うっせ。このガキが」
このどうにも足並みの揃わない三人は、これでも獣人都市国家ラーデラをまとめる四族の長の三人であり、もう一人が来れば、ここはラーデラの首脳部の会談が行われるのだと認識できる。
「せっかくテルディーレが招いたんだよー? 不作法をしてたらつまみ出されるよー」
楽しそうにそう告げる少年は、青年の額に青筋が浮かぼうとなんだろうと言葉を選ばずにぶちまける。
本来ならこんな重要人物が来たらすぐにでも準備されそうなお茶と茶菓子。しかし、彼らを招いたのが生粋の武闘派集団をまとめる、どう見ても武闘派じゃない妖艶な美女はかなり作法にうるさいのだ。
郷に入っては郷に従え。
作法がなっていなければ、たとえどんなに偉い者でも塵芥としか扱わない美女の徹底ぶりは、その使用人までも染め上げていたというわけだ。
「それにしてもー、遅いねー?」
少年はぼりぼりと出された菓子を口に含み、ボロボロと床にカスを落としながら食べる。
むしろ、食べれていないのではないかと思った青年だがあえて突っ込むのを放棄する。
「女子の準備が整うまでの時間は長いからの」
丁寧なしぐさで菓子をつまみ、口の中に放り込んではゆっくりと咀嚼する老人。ゆっくりとだが、確実に減っているその菓子を見れば、それなりに気に入ったのかもしれない。
「あらぁ、私のお持て成し、少しは満足していただけましたぁ?」
黙って男三人で菓子を食べ茶を啜るという行為は、こらえ性のない青年の額に青筋が再び刻まれる前に終わりを告げた。
「メディガルディナへようこそぉ」
顔の横に垂れ下がった紫色の兎耳。
笑顔で彩られる美女の妖艶な格好に、少年は笑顔で返し、老人は頷き、青年は顔を顰めた。
「そんなんで有事はどうすんだ」
「別にぃ? すぐ脱げるから関係ないわけだしぃ」
脱いで見せようかとそのまま告げる美女に、青年はため息をつく。
「それでー? 僕たちを集めて何を話すのー?」
美女は少年の発言に再び笑顔を向ける。
「牽制とぉ、対策かしらぁ」
「牽制に対策ー?」
「それが儂らにどう関わってくるんかな?」
意味が分からないと首を傾げる少年と青年に、老人はその先を聞く。
「老さんは分かってるみたいねぇ。まぁ、私が知ったのも空を駆ける者に聞いたから当然なのだろうけどぉ」
獣人都市国家に人間は少ない。
獣人を素で圧倒できる人間は少なからず住んでいるが、とても普通の人間が住めるような環境でもないため、家族を持った人間は人間の領土に帰ることが多く、大して人間の子供は多くない。
故に、『夢』についての話は一歩どころか二歩も三歩も遅れていた。
もともと力でぶつかってなんぼ、全力の相手を叩きのめしてこそ自らの種族を誇る気質があるせいか、情報戦を得意ともしていないし、嫌っている節がある。
戦争がない今の時代、情報の大切さを分かっていない者が増えていて困ると言うのが老齢の者たちの発言だ。青年と少年が首を傾げたのはその傾向を強く受けているせいだろう。
老人は、最近の流れをなんとも呆れたように見てから、美女に目を戻す。
自分よりもなぜが情報戦に長けているらしい美女のことを。
「これから多分、人間の多くが旅をするでしょう」
「今までとどこが違うんだ?」
「最後まで話聞かないとー、途中で話してくれなくなっちゃうでしょー」
少年が頬を膨らませて青年に言い、言われた青年は音を立ててお茶を啜り、その不機嫌さを全身で示す。
止めようかと一瞬迷った美女だったが、老人に促されて先を続ける。
「その人間達に共通しているのは、その身に秘めた能力の高さ」
能力の高さと聞いて、青年と少年の目が地味に輝きだす。
獣人にとって人間は吹けば飛ぶような存在。
能力が高い、という言葉を、戦闘能力が高いという風に思っても致し方ないだろう。
「その彼らに決して手を出さないように」
「えー!」
「何でだよ!」
期待に輝いていた瞳が一気に不満を訴える。
「これから人間の国では沢山の町が消滅するでしょう」
にっこりと笑った美女が三人を見れば、三人の瞳は静かに警戒の色を強める。
「それは、お前の『予見』か?」
「ええ、私の『予見』ですよ」
もともと獣人都市は、空を舞う翼人種、地を駆ける牙人種、地中を這う鱗人種の三種から一人の族長が選出され、その三族で話し合って国として運営される形式をとっていた。
しかし、その獣人の感覚ではなんとも平和にまとめられていた国に不平不満を訴える者たちが作り出した団体が美女のいるメディガルディナ族。
生粋の武闘派集団でその構成人数こそ、他の種にはかなわないが、一個人の戦闘能力は族長のそれとほぼ同等がそれに近いと言われている。
「私の『予見』、疑いますか?」
彼女がメディガルディナ一族に加わったのは割と最近のことだが、彼女の固有能力は特殊で、ある一定期間先の現象をぴたりと当てるのだ。
戦争が集結し、落ちぶれて、四族から排除されようとしていたメディガルディナ一族を四族にあってはならないものにしたのは彼女と、その彼女が保有している能力なのだ。
「チッ」
青年は舌打ちで自らの感情をごまかし。
「疑えないよね」
少年は目尻を下げて残念さを訴え。
「………」
老人は油断ならないと、美女を見つめていた。
「老さん、何か?」
「………いや」
「つか、それだけ? それだけなら俺帰るけど」
「僕も帰るー! 人間になるべく関わるなって皆に伝えないとー」
青年は美女を一瞬睨みつけて大股で外へと出ていく。
少年は、バイバイと手を振って、会場の窓から外へと飛び降りた。
「………」
「………」
残ったのは老人と美女。
二人は何も言わずに、ただお互いを見つめている。
冷静に、冷徹に、お互いの立ち位置とその保持する情報を頭の中で整理し、次に相手がどう出るか考えていた。
「儂は」
先に口火を切ったのは老人だった。
「お前さんたちが国家を作ろうとしていたのだと思っていたのだがな」
老人の翼が広げられ、翼によって光が遮られ、室内は暗くなる。
「その為に、多くの手下を人間の国中にばらまいたんじゃないかね」
長くのばされた老人の前髪の合間からきらりと光る対の瞳が現れる。
嘘でも言おうものならその喉引き裂いてやると言わんばかりの瞳に、美女は一層笑みを深くして対応する。
「私は調べるために手下を向かわせたまで。それによってどうこうしようなどと今の所考えていませんよ」
老人は少しの間美女を眺め、翼をたたむと、くるっと後ろを振り返る。
「少しは嘘が上手くなったようだ。………これで失礼する」
窓から飛び降り、その翼で悠々と飛び立って行った。
残された美女は、さっきまでのお淑やかさをかなぐり捨て、テーブルの上にべったりと伏せる。
「もー! 老さんだけはごまかせないってば!」
べったりと伏せる美女の姿は、徐々に形を変えていき、その姿は、なんともさっきの美女とは比べものにならないほど劣った、なんとも凡庸な少女の井出立ちに代わる。
「絶対ばれたー! もうやだー!!」
バタバタと地面に付かない足を振り、手をテーブルに打ち付け、その少女は泣きべそをかく真似をする。
「早く帰ってきてくださいよぉーテルディーレ様ぁ」
もともとこの検討会は前もってそれぞれの族長に届けられていたもの。しかし、その予定日にもなって帰ってこない主人を見に行くと、進行予定表とその発言内容まで綺麗に書き込まれたメモが見つかる。
外見と声を変化させることができる彼女が身代りとなって、何とか体裁を保とうとその場をメディガルディナ族として、今回の検討会を終わらせたのだ。
「あ、コレおいしい」
鳴きまねに飽きた少女は、手元のお菓子に手を伸ばし、普通に買おうと思ったら一族の売店でもそれなりの値段のするお菓子をつまむ。
もともと、テルディーレが自ら考案したお菓子の数々だ。
彼女と一応同等とされる者の来訪と言うことで、それなりの物を出さなくてはと用意されたお菓子もお茶も、一族の領地を出ればかなりの高級品だった。
「うー………あれ?」
少女が席を回ってお菓子をパクつきながら反対側、つまり老人の座っていた場所に目を向ける。
そこには、一枚の紙が、わざわざ折りたたまれて置いてあった。
「何々? お菓子が気に入ったので大目に買わせていただく。ひと月後に使者を送るから、準備を整えておくようにぃ!?」
内容に驚いて少女は城の中に残っている上司に早く伝えなければと、検討会の会場を後にする。そこから一枚落ちた紙に、彼女が気が付くことはなかった。
―――それと、どこかへ行くなら、その旨を部下に伝えないと、面白いことになるかもしれませんよ?
丁寧に書かれたその言葉に気が付かなかったのは良いことなのかどうなのか。
少なくとも幼女が後でこってり怒られることになるのは致し方ないことになるのだろう。
さて、獣人ですな。
連合国のような感じなのかな?
猛禽類の爺と、爬虫類の小僧と、肉食系哺乳類の青年と、草食系哺乳類美女が一応まとまっている獣人都市国家ラーデラ。
とまぁさておき。
にゃる様が大暴れするシナリオ作ったらPLのリアルSAN値がかなり削れた。
おっかしーなー?(確信犯)
また隔週更新(?)始まりますよー




