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魔王選定  作者: 華宵 朔灼
第四章 状況整理
76/113

05 農耕国家シシラギヤⅡ

 オフセでそれなりに仲の良い人たちとしかできないけど、それでもやっぱり楽しいぞー!

 小説や漫画好きで(読みでも書きでも)、想像力が卓越しちゃってたりしてたりする人なら、きっと楽しめるはず。

 とりあえずまたシナリオ消化しないとこの熱が冷めないッ!!


 七十四話、はじまりまーす!

 シシラギヤは過去、それはもう大きな戦禍に巻き込まれたことが何度もある。

 魔術に造詣が深いフィデリントと、教会という大きな組織を囲っているフロフェルと比べると、シシラギヤは農耕畜産に秀でているとは言え、それしかないのだから、国家間会議で王が殺されることを前提に考えてきたこともあった為、例年どうしようもない馬鹿を王座に据えるのだ。


 「あんれ? また来たの?」

 「王様は椅子に座って偉ぶってりゃいいのにー」

 「はっはっは、それじゃ詰まらないだろうが!」


 訓練をしている騎士のところに一振りの剣となんともひらひらした服で登場した王の姿は、王城の一角ではごく当たり前のものだ。


 「いらしてましたか」

 「残念そうに言うなよ、将軍」


 からからと笑いながら、頭一つ分は高い将軍と呼ばれた男の背を叩く王のそれは、所見の者でもそうなるのが当たり前のような雰囲気を感じ取れるが、将軍の顔は困ったように歪んでいる。


 「防具と剣は………」

 「いつも通りこれでやるから平気さ」


 そのひらひらした服で相手をされるのは遠慮していただきたいと言いたい将軍だが、言葉を紡ぐ前にそう言われてしまってはどうしようもない。


 「さあ、やろう!」


 サッと剣を抜いて構えを取った王のそれは、どう見ても戦場に馴染んだ戦士そのもの。

 何も不思議なことではない。

 今代の王は、王となる以前はこの国で将軍をしていたのだから。

 当然元上司で今は更に上の立場になった上司に剣を突き付けられた将軍は、同じように剣を構えて王を見据える。

 一方はへらへらと、もう一方は極真剣に、それぞれ剣を構えて相手の動きをうかがう。

 訓練をしていた騎士たちもすでに動きを止め、国軍最強の打ち合いを見ようと円になって観察していた。

 風の音と、遠くで鳥が鳴く音しか聞こえず、自分の呼吸の音さえうるさくなった頃、二人が動いた。


 「シッ!」


 騎士が持つ剣とは、同じ騎士の鎧を打くことを前提として作られているため、そう簡単に折れないように肉厚幅広で、打撃武器として扱っても大丈夫と言えるくらい頑丈だ。

 一方王の持つ剣は、実戦用ではなくどちらかと言えば装飾に重きを置いた、刃が付いていてもお飾りにしかならない耐久力があまりにも低い剣だと言うことは、ここにいる誰もが分かっている。


 「クッ!」


 当然戦法も変わってくる。

 将軍の両刃の真剣は、王そのものを叩き切るように振り下ろされ、王の両刃の細剣はそれを絶対に受けないように、まるで後ろに倒れこむように剣を避ける。

 それを追うように将軍が一歩踏み出した時、直剣は地面すれすれで止まっており、少しだけ軌道を変えて後ろに引いたかと思うと、まだ後ろにゆっくりと倒れている王の喉元めがけて刃を上方に向けて滑るようにそこを狙って腰を使って横に動かす。

 しかしその刃が喉に近づこうとして速度を上げた瞬間、将軍は王の姿を見失う。


 「なっ」

 「こっちだよー」


 聞こえた方向とは逆に跳んで振り返れば、自らが居た場所の高さに突き刺さる細剣が見えて、将軍は汗で滲んだ手のひらをぐっと握る。

 その実力は折り紙つき。

 自らの武力をチラつかせながら戦いを一方的な勝利で治めることに関して、この王はなんとも有能であった。

 それを近くではなく遠くからながめると、一体何やってるんだとお小言を食らうことになるのだが、行動も戦術もあまりにもただの脳筋に見せる(・・・・・・)ことに長けていた為、上層部に買われ王となったのだ。


 「えいっ」

 「んなぁ!?」


 そして、その簡単な決闘はいつも通り王の勝利で終わる。

 王が狙える場所は少ない。

 完全に鎧を着こんでいる将軍に対して、その鎧の隙間を狙うか、何も被っていない頭部と兜との連結具で防護するはずの首ぐらいしか狙う場所がない。

 さらに言えば、その鎧の隙間に剣先を入れたとして、気が付いて将軍が体をひねれば王の細剣は折てしまうため、結局のところ狙うのは頭か首になる。


 「はい」

 「あぁ。ありがとうございます」


 眉間に突き付けられた剣先をどかし、手を差し出した王に応えた将軍は、その手を握って立ち上がる。

 周囲を見渡せば、王がまだ軍部に籍を置いていたころの連中は、どうやったら王の剣をよけて攻撃を加えることができるのかと思案しているし、王が抜けてから入ってきた者たちは将軍の弱さに呆れているような表情を懸命に隠そうとしている。


 「これも弛みかな………」

 「あなた様の剣筋を体感した者とそうでない者では差が出てくるのも仕方ないでしょう」


 そうかなぁ、と照れたように頭をかく王の姿は、とてもじゃないが、毎朝のように大会議室で見る凛々しい姿ではない。

 むしろこの感じが、自分のよく知る尊敬している将軍であり王であると、将軍は懐かしそうに眼を細めて何やら思案する王を見る。


 「そうだ」


 しかし、ぱっと顔を上げた満面の微笑みの中に悪戯っ子を混ぜたような感じを感じた将軍は嫌な感じを覚え、一歩踏み出した王の肩を握ってその歩みを強制的に止める。


 「王、一体何をされるおつもりで?」


 振り返った王の無邪気なその目を見ていると、まるで子供をあやす親になったように思う将軍なのだが、基本的に二人を将軍と副将軍の頃から知っている者たちからすると、目を話すとすぐどこかに行ってしまう子供を見張る母親のようだと思われているのは、本人が知らないだけで当たり前のように受け止められている。


 「いや、あそこのお前の実力を疑ったやつに………」

 「何を………」

 「ちょっと仕合でも」

 「………」

 「決闘も試合もダメだって言うから、仕合ならいいだろ?」


 数年前、同じように王と剣を合わせた新人の騎士は、踏み込んだ瞬間にその首を掻っ切られる寸前まで踏み込まれてしまい、もう二度と剣を握れなくなってしまうくらい落ち込んだこともあったので、決闘も試合も、将軍か上部の者だけにしておいてくれとお願いしてあるのだ。

 だから違う得物でどんなに自分の読みが甘いかを指摘されても経験を積んでいる者にとっては、いい経験にしかならないのだが、それが力や技術を過信している若者だったり新人の騎士になると途端に思考が自虐に走ってしまう為、王に頼んで辞めてもらっていたのだ。


 「仕合と言うことは、同じ装備、同じ条件で挑まれると」

 「そのつもりだけど………」


 決闘や試合だったら、手持ちの武装をもってしてすぐに開始できただろうが、仕合となれば、全く同じ条件で行わなければならないため、いちいち王に騎士服を着せたり、剣を持ちかえさせたりなどしなければならず、かなり面倒である。

 一番させたくない真っ向から打ち合わせをするつもりなのだと将軍は理解して、即座に良い返す。


 「その年齢はどうしようもないのでやめていただきたい」

 「んなっ! 将軍! お前、俺が年寄だっていいたのか!?」

 「そんな大層なことは言っていませんよ」

 「おーまーえーなー!」


 将軍の年齢は、王よりも若い。

 王が将軍から引き抜かれた時、また二十代になったばかりだった将軍はかなり舐められたが、王の次に強く、その身をもってさまざまな経験を積んできたことが分かっている為、その地位を追い出されることはなかった。


 「年寄ではなく、その年では対等の条件ではないのではないかと思いまして………それに、格段に経験差があるではないですか」


 王宮に控える騎士の中にはそれなりに歳をとり、戦場ではなく安全な場所で指導する立場の者もいる。もし戦場に駆り出されるとしたら王の側に控えて盾になるぐらいしかできないかもしれないが、それでも彼らが味わってきた経験の数々を若手に伝えるためには削減できない需要な人員だ。

 王は年寄と呼んでからかうが、数々の戦では確かにそんな彼らをうまく使ってz勝利に導いていることも将軍は良く理解している。


 「ぐぅ………」

 「諦めてください」


 悔しそうに、ただしっかりと頷いた王を見て、安堵でため息をつく将軍。とりあえず彼の予定は決まった。この後王を暴走させてしまうかもしれない原因を作った連中に仕合を付けてやらなければならないと。


 □■□■□


 その村は、大きな足に踏みつぶされた。

 生存者は誰もいない。

 その村に帰ってきた、出稼ぎに行って帰ってきていた青年は、その惨状に唖然とし、感情の整理がつかずに自らの家に向かって歩き出した。


 「父さん………母さん………姉ちゃん………」


 青年の足元にはもう二度と歩くことなどない物言えぬ死体が転がっている。

 地面が赤いのは決して気のせいではないだろう。巨大な何かがこの村を押しつぶしてしまったと分かるほどには、少年の思考ははっきりとしていたが、それが現実に結びついていなかった。


 「俺たちの家………」


 青年は、近くの村が壊滅したと聞いて、もしかして余波とか来たのではないかと、自分の家族が不安がってはいないかと、そればかり考えてきたのだ。

 そして目にしたのは家族が全員死んでいるという惨状。


 「父さん? 母さんも………」


 自分の家だろう場所の瓦礫を懸命にかき分け、つぶれて紙のように薄くなり、触ればぼろぼろと崩れてしまう木材だったものをどかすと、赤黒く染まった服が出てくる。


 「これが………人間、なのかよ」


 赤、桃、白、それらが入り混じったナニカが、服であったのだろう布の中に残っていた。


 「俺、俺は………」


 青年の眼前が歪む。

 涙ではない。

 事実を理解してしまったが故の吐き気に襲われて、赤が目に入らない場所を探して目線をさまよわせるが、周囲にあるものがすべて赤い。

 そこにあるすべてのものが赤く映る。


 「う、うえぇぇええ」


 我慢できずに胃の中の全てを吐き出した青年は、ぐちゃぐちゃに汚れた姉の物であったろう服の下に握られているものに手が引っかかり、顔をゆがませながらそれを引きずり出す。

 それは、薄く引き伸ばされてしまって、何であったかなんて他人には絶対に分からないものに成り果ててしまっていたが、青年には分かった。


 「姉、ちゃん………」


 青年が働いて、初めて姉のために作って帰った銀細工のお守り。


 「最期まで………」


 初給料は両親に上げてしまったから、親方にどやされながらも、兄弟子たちに誰に上げるんだとからかわれながらも、懸命に作ったちょっと不格好なそのお守り。


 ―――もう。私にじゃなくて、ちゃんと彼女作って村に帰ってきてくれた方が私は嬉しいわ


 失敗だったかと苦笑いすると、いつもは笑顔さえなかなか向けてくれない姉が、あの姉が恥ずかしがるように目尻を染めて言ったんだ。


 ―――ありがとう。大事にするから


 泣いてさんざん父さんにどやされて、姉ちゃんは母さんに肘で突かれて。

 そんな、大したものは望んでない幸せは、こうも簡単に崩れ去るものなのか。


 「う、うぅ………」


 冷えて固まり、白い何かが少し混じった引き伸ばされたその銀細工を握りしめ、青年は唸った。

 悲しいはずなのに涙がでない。

 隣の町で魔物は退治されたと言うから、今更言ってももう何もできない。

 何を恨めば、何に怒れば。

 青年の頭では、その答えは浮かばなかった。


 「おいあんた、ひどい顔だよ」

 「………そう? ちょっとつかれちゃって」

 「そうかい。大したもんは出せないが、夕飯なら作るよ?」

 「………いや、いいよ。腹減ってないんだ」


 川で服を洗い、一日野宿をしてから向かった町で取った宿。

 ベッドに寝っ転がる青年だが、その顔は日に日にひどくなっていく。

 水に映った自分の顔を見て、本当にこれが自分の顔なのかと、青年は自嘲したくなった。


 「はぁ………」


 食べてもすぐに戻してしまう。

 そんな状況では、体に十分な栄養がいきわたることもなく、青年はどんどん衰弱していっていた。


 「………?」

 「………!」


 宿で数日。

 下階から聞こえてくる騒音に、青年は目を覚ます。

 この宿を訪れる者は、皆大抵意気消沈していたから、こんな騒ぐような客は新人なのだと分かる青年。

 なんせ安宿で、大通りに面していて、それなりの対応をしてくれる店はここしか残っていなかったのだ。こんな時にこの町を訪れるようなのは近場の村で家族や親戚を亡くしたものばかりだったから、全員騒がないようにする、というのが暗黙の決まりごとになっていた。


 「………なんなんだ、一体」


 その声は近づいてくる。

 言い争いながら近づいてくるその声に、どこかで聞いたことのある声だと青年は思って、村の者は全員死んでしまっているのだからそれはないと首を振る。


 「っここよね!」

 「だから勝手に開けないでください!」


 入ってきたのは女性。その後ろで宿の女将が困った顔をして、青年を見ると何度も頭を下げてくる。

 青年の落ち窪んだ眼は、その女性を見つめるものの、その表情は全く動かない。


 「やっと見つけた」


 いきなり扉をあけ放った女性は、困り顔の女将を無視して、ベッドで半身を起こした青年に抱きついた。


 「………親方の、娘さん?」


 抱きつかれたことに驚きながら、女性の顔と声を手掛かりに頭の中で探していた青年は、その顔が親方の所でたまに挨拶する女性と同じ人だと結論付けた。

 しかし、青年の記憶する親方の娘は、どうも恥ずかしがり屋で、話しかけると母屋に引っ込んでしまうくらい人と話すのが苦手な人だったはず。


 「そうよ! お父さんに無理言ってここまで来たの!」


 ギュッと抱きしめられているが、女性の肩が震えていることを感じた青年は、片手を付いたまま、もう片方の手でゆっくりと背中をさする。


 「ちがっ、私は、私はっ」


 青年が背中をさするのがお気に召さなかったのか顔を真っ赤にして女性は青年から離れる。

 もちろん空気を読んだ女将は、一つため息をついて扉を閉めて下階へと行ってしまっている。


 「その、村のこと、聞いたの………」


 青年の顔から、一人で来たと言う親方の娘を気遣う表情が抜け落ちた。

 その青年の顔を真っ直ぐ見つめながら女性は続ける。


 「いてもたってもいられなくてっ」

 「何でですか?」


 久しぶりに出した声が無事出たことに安堵しながらも、あまりにも低い脅しているかのように思えるその響きに、青年が一番驚いていた。

 それを聞いた女性は泣きそうになりながら俯き、膝の上で両手を握りしめる。


 「………」

 「………」


 沈黙は長く続いた。

 何度か声を出そうと、女性は頭を上げて口をパクパクと動かすが、思ったように言葉が出てこないのだろう。また俯いて両手を握りしめていた。

 青年はその様子を根気強く眺めていたのだが、ふと、くぅ、という音で、沈黙は破られた。


 「………食堂に行きますか?」

 「う………はい………」


 相変わらず食欲は湧いてこなかったが、親方の大事な娘さんが腹をすかしていることの方が重要だ。

 食堂では、女将が久々に降りてきたなら精のつく物を作ってやらないとね、と言って笑って厨房へ入っていった。


 「その………」

 「はい」


 青年がよく知っている女性になった親方の娘さんは、また何かを伝えたいのか口の開け閉めを繰り返す。


 「おまちどうさま!」


 女将が運んできたのは、じっくり煮込んだシチューだった。

 ごろごろと野菜が入っているが、どれも強く噛まなくてもほどけるぐらい煮られていて、明らかに自分や同じように閉じこもってしまっている人の為に女将が苦心してくれているのが伝わってきた。


 「美味しい………」

 「そうですね………」


 久々に感じた味は、とてもおいしかった。

 これなら吐かずに食べられる。

 何が変わったのか青年には分からなかったが、美味しく食事を食べられるのは幸せだな、と噛みながら思っていた。

 なんと自由な王様なんだ………王佐は絶対大変だろうな

 こんなことしててもつぶれないのは、王佐が優秀だから。

 もとより王は飾りですって言ってる国だし。

 「王様殺すぞゴラァ!」

 「あん? 殺すなら殺せ! 別に必要ないんだよ!」

 「儂の存在価値ェ」


 今回の青年は被害にあった村の生存者、みたいな?

 書いててすごく思ったこと(systemはCoCで)


 目星(25):10 成功 → 家族の遺体発見

 その凄惨な現場を見てしまった青年はSANチェック(1/1D5)

 SAN値(55):72 失敗 1D5:4 → 55-4=51(SAN値減少)

 猛烈な吐き気を催し、その場にしゃがみ込む

 幸運(55):49 成功 → 思い出の品発見


 すごく不謹慎(゜言゜;)

 しかしちょうどシナリオ作ってるんだ!

 この思考を追い出すなんて無理だ!

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