04 農耕国家シシラギヤⅠ
CoCのシナリオ作り過ぎて文章が引っ張られる。
もともと子供たちは欝展開だから構わないが、その表現の仕方が何となく偏っていたら「あーCoCでもやってたのかな?」程度に生暖かく見守ってください。
基本ルルブしか買ってないから、プレイするシナリオは自作なのだぜ。
七十三話、はじまります
農耕国家シシラギヤ。
ここは、他のどの国よりも人種的な差別や区別が最も少ない国である。国家の敬称に都市、とついていないだけあって、シシラギヤは、面する三つの国を完全な支配下に置いている。
商業都市国家ディルエバース、獣人都市ラーデラ、鉱床都市ギルドーナ、その三国は、シシラギヤに真綿の首輪をつけられている。
「お嬢ちゃんとお兄さんかな? うちの村に人が来るなんて珍しい」
農耕国家と言うだけあって、農産物が非常に多く発達している国で、一部の研究施設と化している街では、植物魔物の研究や培養なども行われている。
「冬越すの」
「うん?」
「あーっと、私たち旅をしているんですが、この村で冬を越そうと思うんです。手伝いは精一杯させてもらいますし、お金も払うのでこの村に置いておいてもらうことはできないでしょうか?」
シノの頭をポンポンと撫でながら、スペーラは困ったように笑ってそう説明する。
いいお兄さんじゃないかと、その男はシノと目線を合わせるようにしゃがみ込むと、にっこりと笑ってもう使っていない馬小屋を改造して使うなら別にかまわないと告げる。
「ん」
「ありがとうございます。ちゃんとお金はお支払しますから」
シノの服装も、スペーラの服装も、確かに旅になれていると感じたが、どうもその言葉遣いが固く、髪も綺麗にしていたことから、その男は馬小屋だったら、という意見に反論した場合村長の家にでも泊めてもらえるよう口利きでもしてやろうかと思っていたらしく、ぽかんと口を開けてかたまり、小気味いいとスペーラの背を叩いてひとしきり笑ってから自分の家に案内する。
「はっはっは。うちはこっちだ。ついてくると良いさ」
シノとスペーラは馬を引いてその男の後ろについていく。
「俺の家ではマメロを飼っているんだ。その手伝いをしてくれるならマメロからとれたものくらいは提供するよ」
その言葉にスペーラは頭を下げる。
つまり、死んだマメロの肉や、生きているマメロから採れる母乳やそれを固まらせた固形物などが無料で手に入るのだ。
「さて、ここがうちだ。ちょっと家内を呼んでくる」
案内された家は、どう見ても普通の家だった。
もしかしたらタクの家よりも狭いかもしれないと思ったシノである。タクの家にはなかった二階があるのだが、それをかんがみてもタクの家より狭そうではある。
「おーい! 降りて来いよ!!」
「はーい! 今行きますよー! きゃあっ」
返事と一緒にどたどたと何か重い物が転がり落ちたかのような音が家の中から聞こえて、腰を押さえてもう片方の手で旦那につかまる一人の獣人が家の中から出てきた。
「ど、どうも。耳汚しだったわね。この人の妻です」
「はっはっは、どうも家内は慌てん坊でして」
「もうっ」
「はっはっは」
夫婦の茶番を繰り広げ始めた二人の村人にスペーラはどうしようかと目線をさまよわせていると、シノがとことこと二人に近寄り、奥さんの裾をくいっと引っ張ると、下から見上げて発言する。
「シノ。よろしく」
「ま、可愛い!!」
腰を押さえていた手を放して、旦那を巻き込みながらしゃがみ込んだ奥さんはシノにぎゅーっと抱きつき、もう放さないとばかりに顔をほころばせる。
「お、おい。お前のその腕力で………」
「あらいけない。大丈夫?」
「ん………平気」
シノは解放されて少しよろけながらそう答える。
あれよあれよと言う間に、馬小屋の使用許可と、家の二階で泊まる権利を貰い、その代わりにシノはなるべく長い間奥さんの娘のように扱われることを出され、シノはそれを承諾した。
「部屋を貸してもらえたのはいいですけど………大丈夫なんですか? シノ様」
「ん」
懸命にスペーラが話しかけてどうにかシノもこの一年でしゃべる単語が増えてきたのだが、まだその顔は人形のようになっていることが多く、表情の変化もなかなか見ることはできていない。
だから、このたった一音の発言でシノの薄い感情の起伏がどのように変化しているのか判断が付かないスペーラは言葉通りに納得するしかない。
「では、私は設定通り、シノ様の死んだ姉の旦那候補でいいんですか?」
「ん」
シノは颯爽と村用のスカートの衣装から、少し可愛げのあるキュロットに着替えると、部屋を出る。
「スペーラ、馬小屋」
それだけ言って出ていくシノ。
「シノ様、もう少し言葉を使って下さい………」
ため息をつきながら、その少ない単語でも何となく行動の察しがつくようになっているスペーラは、これじゃあ駄目なんだけどな、とまた深くため息をつくのだ。
□■□■□
農耕国家シシラギヤには、明確な王という存在が居ない。
確かに王はいるのだが、その王はあまり存在を知られていないのだ。
村を管理しているのは村長、村々を管理している町を管理しているのは町長であり、その中でもそれなりに需要な町には貴族が町長の補佐的役割でついており、国の中できわめて重要な役割をしている街は、管理者しか生活をしていない。平民もいるにはいるが、街は狭く貴族と農民以外が暮らしている。
とてもゆっくりとした時間が流れているように感じるシシラギヤの町や村と違って、街は出入りが激しく、大きく金が動く。
シシラギヤとは、とてもゆっくりとした時間を過ごすか、かなり早い時間を過ごすかしか選択肢がない国なのである。
「王よ、もう聞かれたかと思いますが」
「聞いたさ。摩訶不思議な『夢』だろ?」
「ええ。商業、獣人、鉱床の各都市からも同じような報告が上がってきています」
どこからどう見ても、書類と睨めっこするのが大得意です、と言った顔の男が、なんともぐでっとソファーに横たわって本を開いたまま顔に乗っけておく男に向けて発言する。
「つかさ、疲れないの?」
「何がですか?」
「いや、そんな堅っ苦しい喋り方でさ」
「疲れません」
本を少しずらして、ソファーに横たわったまま見上げた王と呼ばれた男は、不思議そうな顔をしながらも額に青筋を浮かべると言う器用なことをしている男に苦笑する。
「無礼講だって言ったら?」
「んなだらけた格好してんじゃねーよ。知った中にも礼儀ありだこの糞野郎。さっさと仕事しやがれ」
まだ言い足りなさそうなその男の発言は中断された。
部屋に飲み物が運ばれてきたのだ。
「飲み物をお持ちしました」
「入りなさい」
「失礼いたします」
入ってきた使用人は、ソファーに座っている凛々しい主の姿と、その横で資料を手に持ちおそらく報告をしていたのだろう少し疲れているようだが、それでも色気を放出してやまない男の姿を目に入れて微笑むと、二人分のお茶を淹れ、一礼してその場を去って行った。
「失礼いたしました」
コツコツとその足音が完全に聞こえなくなるのを待って、立っている方の男は、澄ましてお茶を静かに飲んでいる自らが使えている主の姿を見て嘆息する。
「頼むからいつもそのままでいてくれ」
「無理だろ。こんな堅苦しい恰好も本当はしたくないんだよ」
使用人の前ではきっちりとしていた格好も、元のだらしない恰好へと戻り、コップ一杯のお茶を飲み終えると、またソファーに寝っころがる王。
「これがシシラギヤ王国をまとめていると考えると実に嘆かわしい」
「だから前から言ってるじゃないか。お前がこの席に座ればいい。俺はただ単に好きなことして暮らしたいだけなんだからさ」
その声が本気なのは、男はとてもよく理解している。
シシラギヤの王は、別に血族がどうたらと言う制約はない。前の王が適当に次の王を選出して、その周囲を実力のある者たちで固めさせるのだ。
そのやり方出不満が出ないわけではないが、基本的に王の条件は顔だ。お飾りで、周囲が優秀であれば何も言うことはないと、そういわれていてしかもそれが真実なのがこのシシラギヤの歴代の王の真実だ。
「ならば自分がそれなりにいい顔に生まれてしまったことを恨め。いい加減俺らを巻き込もうとするんじゃない。能ある鷹が爪を隠しても、土壇場で使えなかったら所詮は鳥だ」
男の目は王を冷たく見下ろす。
しかし王の意識はすでに本へと移っていて、その中に書かれている世界にのめりこんでしまった王の代わりに男は本日の報告書を向いに座って作り始める。
□■□■□
その少女は、ただただ悔しかった。
不貞の子だとか、落胤だとか、人に会えばそういわれていたその子は、早々に脱落して『灰』色へと変色していた。
そんな彼女が人生に絶望した言葉は、ただ一つだけ。
捨てないでいてくれた親の、金を作ることができない能無しは早々に荷物をまとめて出て行きな、というものだった。
―――どうでもいいや
少女の慟哭は誰にも聞かれることはない。
言葉は届いても、その内容まで周囲の人の耳には入らない。
―――壊してしまえ
少女が思ったとき、頭の奥で何かが弾けた気がした。
ああ、楽しい。
もっと早くこうしていればよかったのに。
なんでこうしなかったんだけ?
こうしていたら、もっと楽しかったのかもしれないのに。
―――破壊しろ
少女は、目に入ったもの全てを破壊し始める。
建物を壊し、畑を荒らし、森を壊し、人を蹂躙した。
―――荒せ、壊せ、蹂躙せよ
建物がその腕一振りで壊れてしまうのは、なんとも面白く、手で突き崩したり、足で踏みつぶしたりして遊んだ。
いつも遊ぼうと言っても会話さえしてくれなかったのは誰だっけ?
ふかふかに整えている畑に足が沈むのはとても楽しく、足で踏みつぶし、真っ平らにして遊んだ。
畑が汚れるから近寄るなと言っていたあの男の名前はなんだっけ?
今はほぼ茶色になっているその物体を引っこ抜いては横に投げた。随分と簡単に抜けるそれに驚きながらも、楽しくなくなるまで同じことをした。
森は守られているから手出しをしてはいけないと言っていたのは誰だっけ?
ぷちっと虫を潰したような感触が伝わってくる。小さい虫を指でつぶしたような感触は、はまると抜け出せないなんとも奇妙な高揚感をもたらす。
私の名前ってなんだっけ?
―――さあ、その身を世界の為に捧げるんだ
自分は正義なのだ。
正義は自分にあるのだから、きっと自分が下に見られていたのは異常なことなのだ。
あの少年も言っていたではないか。
将来魔王になる可能性があるならば先に手を打っておくべきだと。全てはしてしまってから考えればいいのだ。
傍観者になることが決められた自分だって。
元の色に従って世界をいい方に導いても、その過程でそれなりに十分な犠牲が出たとしても許されるし、それはきっと必要なことなのだ。
―――だただた、思うままに行動しろ
少女の目の前はぐにゃりと歪み、もうその光景をその瞳で見ることはできない。
それでも少女の中に残った楽しいと言う感情は、退治されるその瞬間までか、探し求めるものの場所に向かうまでか、続いていた。
―――………
少女の意志の欠片がすべて消えた時、化け物になってしまった魔物は自らの片割れがある方向へとゆっくり進んでいく。
天気を異常に変化させるその魔物は、ゆっくりゆっくり、進んでいき、その被害を拡大させていく。
□■□■□
宰相と言う立場の男に、町や村、さらには他の街での被害報告が続々と届く。
ただため息しか出ないが、仕方ないとしか言いようがない。
「さあ、どうするんですか?」
「静観一択で」
「………」
「無礼講です」
「なんでそう決断したのか説明しろ。お飾りの王とは言え、お前の結論が全てにおいて優先されるんだぞ」
無礼講と言わないと決して本音を明かさない配下に笑いかけ、他の国であったら、絶対にこんな風に自分の心情を吐露したりしないのだろうな、と考えながらその質問に答える。
「お飾りだからこそって言うのもあるんだけどさ。多分、一年たったらこの騒ぎはある程度収まると思うんだよ。ああ、勘だけどね?」
勘と言い切った王に、重い溜息を吐く。
「………少なくとも支援は送らなくては」
「じゃあ、税を軽くしよう」
「あのな、そう簡単に変えられるか馬鹿」
「馬鹿って言った方が馬鹿なんだぞー。まあ、街の税を高くして被害のあった町や村の税を軽くしよう。どうせ商人の利益があり得ないほど増えるんだ。今のうちにできるところから搾取しないと、国家転覆騒ぎになりかねないぞー」
後は任せた! と言って王は自らの王冠とマントを椅子の上に置いて、剣を持って窓から下へと飛び降りる。
「ちょっ!?」
急いで飛び降りた窓の下を見るが、王の姿は見当たらない。
宰相は思う。
今期の王は、少々頭が働くのだ。
本当に働いて欲しい時に働かず、首脳陣が居る場所では無能の王を装い、臣下のいる場所ではその見目麗しい顔を引き締まらせて、まるでできる男のような雰囲気を纏う。
「はぁ………」
また仕事が増えてしまったと、口の端を吊り上げながら、宰相は王の部屋を後にする。
「商人に対する税は、売上の数割にするか固定しますかね………国庫にしまってある緊急用の穀物なら勝手に輩出してしまっても構わないでしょう」
数日後の食事中、宰相にすべてを任せたことを少しだけ後悔する王だったが、別にそれで民が生活できるならいいかと、おいしく食事をするのだった。
とりあえず、どの国でも王たちが出てきますが、その王と臣下の関係性とか見ていくと、どういう指令をなぜ発布したかが分かるかと。
シノたちと直接かかわるのが早くても(話中時間で)数年後の話になるから今入れとかないと人格形成がままならないのだよ………
皆さん(そんなにいない? そうですかw)がお考え通り、次の話もシシラギヤですよー
ネット環境が良いならオンセとか挑戦したかったなぁ………




