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魔王選定  作者: 華宵 朔灼
第三章 少年編・生きる
70/113

20 きっとまた会えるさ

 毎週200人チョイが見てくれているそうです、やったね!

 5000PV、1500ユニアク突破!

 読んで下さるってだけでうれしいですよ! 本当に!!

 寒さに負けず、布団の誘惑に負けず、今日この日を歩いて行こー!

 (風邪気味でテンションが壊れました)


 六十八話、はじまります

 後でテトラの瞳が魔眼であると知ったアルテは驚いたが、テトラが思っているようにはならず、むしろかなりの興味を示した。


 「タクはずっと輝いてる」

 「へー、光ってるって感じ?」

 「いや、なんて言うかな………タクが光ると、他のの一緒に光って、方向を変えるって言うか………」


 テトラの例えに首を捻るタクとアルテ。


 「うーん、よくわかんないから俺のは?」

 「アルテの?」

 「そう! どういう風に見えるの?」

 「そうだなー」


 じーっとアルテを見るテトラ。

 自分の中を見られて居るという不思議な感覚に、身を震わせるアルテを面白そうにタクが眺める。


 「なんか、素直そう。騙されないように気を付けて?」

 「あ、もう無理。ロルネラに来るまで何度騙されたか」

 「え!? 騙されそうって何。つかタク黙れ」


 タクは笑い転げ、アルテは頭を抱えて唸る。

 テトラはそんな環境に思わず笑みをこぼす。


 「でもさ、ほんとにいいの?」

 「何が?」

 「いや、俺なんかを、その、アルテの家に招待するなんてさ」

 「なんで?」

 「なんでって………」

 「うち(孤児院)は、本当なら教会に守られてるんだろうけど、カゾスのはちょっと違うし、僧院の人にとっても、カゾス近くの山はいい稼ぎになると思うし、いいんじゃない?」


 それ以外に何かあるの? と首を傾けるアルテ。

 テトラは不安そうにタクに目を向ける。


 「ああ、平気平気。なんて言うか、変だから、うちの町」


 それ以外言わないタクに、さらに不安になるテトラ。

 タクはため息をつきながら、話し出す。


 「俺、狩人の息子。エイファさん、森人と人間の間の子、しかも人間と結婚してる」


 目を見開くテトラ。


 「そんなだから、多分眼をさらしても、最初のうちは嬉々とした目にさらされると思うけど、基本的にはなんもないと思うよ」


 どっちかと言えば、顔の造形が悪くないから、目をさらせば女性が寄って来そうだと言うと、テトラではなくアルテが反応する。


 「良いよなー! タクはさー凛々しいとか、精悍だとか言って言い寄られてるのに、俺なんか可愛いねーって言われるんだぜ!!」


 頬を膨らませて怒るテトラの様子に、笑い転げるタク。


 「いや、アルテってほら、年齢の割にちっこいし」

 「ちっこいって言うな!」

 「中性的な騙されやすい顔立ちしてるし」

 「どんな顔だよ!?」


 海釣りをしながら、三人はぐだぐだとしゃべり続ける。

 ここ最近は、海に出て、釣りをして、釣った魚を宿へと持ち帰り、宿で調理して貰って解散、と言う感じになっていたのだが、この日は、喋っている途中で一行のもう一人の子供がやってきた。


 「あの、タク様………」

 「うん? ネリーじゃないか、どうしたの? 一緒に釣りでもする?」


 ネリーはアルテとテトラを見て、言いにくそうにタクを見る。


 「あの、できれば………」

 「あーうん。アルテ、釣竿よろしく。ちょっと行ってくるから、二人で続き楽しんでて」


 釣竿をアルテに渡したタクは、ネリーのところへ駆け寄り、二人で人ごみの中に姿を消す。


 「どうする?」

 「追うだろ」


 当然残された二人は、顔をにやけさせて、慣れたように釣り道具を片づけると、ネリーに歩調を合わせているため、割とゆっくりと歩くタクの後ろを追って行った。


 「その、タク様」

 「うん、どうしたの? こんなところまで来て」


 言いにくそうにしていたから少し離れたところで聞こうとしていたタクは、歩き続けるネリーに引っ張られて、船が居ないため人通りが限りなく少ない埠頭まで来ていた。


 「その………」

 「えっと?」


 残念ながら前も、女友達はいても、付き合った経験がなかったタクにとって、生の女性に対する対応など知識にない。本で読んだことのあるものを思い出そうとするが、生憎と人気のないところに女性が引っ張ってきて言いにくそうにしている状態など分かるわけもなく、タクは頭を悩ませる。


 「私、フィデリントに行くことになったの」

 「へぇ」


 もじもじして言葉を言い出せないネリーに、隠れてみているアルテとテトラは、そんな返しでいいのかタク! と阿頭を抱える。

 孤児院にはそれなりに女の子がいるし、中性的な顔立ちのせいで何となく男女共に相談相手になっているアルテはネリーの様子に少しは覚えがあるし、テトラにしたって、人とあまり関わり合いがないことを心配した年上の僧兵のお姉さま方に引っ張られて話を聞いているため、タクに気づけよ馬鹿! と念を送る。


 「その、ね」

 「うん」

 「私、フィデリントに行くことになったからね」

 「うん」


 タクとしてはなかなか進まない話に少し不満だ。

 早く話してくれればいいものの、なかなか本題を話そうとしないネリーに、何か話せない事情でもあるんじゃないかと勘繰ってしまう。


 「その………」

 「俺に、何かして欲しいとか?」

 「えっと………」

 「うん?」


 顔を赤くして俯いたネリーに、どこか体調でも悪いのかと心配し始めるタク。


 「あいつ、あんなにダメダメだったのか………」

 「うそだろ。ネリーちゃん、割とかわいいじゃんか………」

 「普通分かるよな、あんなになったら」

 「もしかしてタクって、相当年増好きなんじゃ………」


 隠れている二人の頭に浮かんだのは、人妻エイファ。


 「ちょおっとお姉ぇさん、二人にお話し聞きたくなっちゃったなぁ?」

 「ひぃ!?」

 「エイファさん!!」


 二人の首根っこを掴んだのはもちろエイファ。

 小声で話をしながら、その場がらずるずると引っ張られて行く二人。

 小っちゃいのとおっきいのが女性に引っ張られている様を見て、埠頭に居た人はくすくすと笑いあう。


 「ねぇ、私のこと年増って言ったでしょ」

 「そ、そんなことー」

 「思ったんじゃなーい?」

 「ないですっ、ないですって!」

 「嘘。その顔は私を年増だって思ってる子の顔よ」

 「綺麗なお姉さんだって思ってますってば!」


 綺麗なお姉さんとお世辞を言った後で、一体いくつなんだろうと心で首をかしげると、首元を掴む力が強くなる。


 「二人に忠告しておくわねー」


 首を放され、地面に転がされた二人の顔の真横に勢いよく足が振り下ろされ、蒼白になりながらエイファを見上げると、にっこりと笑みを張り付けたエイファが冷たい目で見下ろしていた。


 「女の勘は何よりも鋭いものよ」


 分かった? と首をかしげるエイファに、ちぎれそうになるほど首を縦に振った二人は顔を見合わせて、女性に年齢のことを口走るのはご法度だと学んだ。


 □■□■□


 タクは、ネリーが去った埠頭でゆっくりと変わる空を、寝っ転がって見上げながら、考えていた。


 「私と一緒にフィデリントに来てくれませんか?」


 それが、ネリーの言いたいことだったらしい。


 「セレシーデもいるけれど、実際セレシーデはあんまり武術が得意ではなくて………タク様みたいな人が一緒に来てくれると心強いんです!」


 と言うのが、タクの中でまとめたネリーの発言なのだが、買いかぶられているのではないかとタクはため息を落とす。

 タクにとって、自分の実力はかなり下だと思っている。

 僧院で僧兵や教会の暗殺者が自分に倒されたのも、暗闇という有利な面が大きく作用していたし、簡単に攫える者であるならばきっと見られていることすら気が付かないだろうと思っていただろう彼らを倒せたのは、少なからず幸運が作用していたのだと、本気で考えていた。


 「そんなに俺、強くないと思うんだけど………」


 タクの基準は親方とシノ。

 自分よりも年下のシノがあそこまでできたのだから、そのシノが大人になったらもっと凄いはずだし、それ以上に親方よりもすごくて若いのが二人いる。

 タクの基準は相当にずれていた。


 「アルテの護衛だからガラムに戻らなきゃならないけど………」


 もともと半年でガラムに戻る予定だったため、馬を得た今、ガラムに戻るまでにかかる時間は来た時の半分以下で済む。その空いた時間をネリーとの航海に当ててもいいかなーとは思っているタクだが、いくら毎日一回は運行している船とはいえ、何が起こるか予想のつけようがない海だ。短い距離だからと言って、沈まない保証がない。

 船が沈めば、その代わりになる船が出来上がるまで交易がかなり緩やかなものになることも、エイファから聞いていた為、タクはなんとも合理的にどうするかを考えていた。


 「普通に考えて無理だよなぁ」


 タクは断る決心をする。

 家に戻らねばならない。

 自分の帰るべき場所は、ガラムの南にある森の中。そこでは狩人として親父が一人で獣を狩って町へと売りに出しているはず。怖い顔で値段交渉されて縮み上がってる肉屋のおやっさんや木工のおやじさんたち、彼らのためにも早く帰るべきなのだろう。


 「帰るか」


 なんともきれいな青空に、シノの目を思い出しながら、あの手記の解読もしなくては、とタクはネリーを見届けたらガラムへと帰ろうと、埠頭の人に、フィデリント行の船がいつ発着するのか聞いて回った。


 ■□■□■


 夕飯は、なんとも静かなものだった。

 恥ずかしがって話さないネリー。

 空気を読んでこそこそと喋るアルテとテトラ。

 いつも通り静かに食べるセレシーデに、こちらもいつも通りに食べるエイファ。

 タクは、なんとも言えない空気、こっそりとため息をつきながら、なんでこうなってるんだと頭を抱えたくなった。


 「タク様、考えて、くれましたか?」


 夕飯も終わって、とりあえずテトラが逃げようかと腰を浮かせたところをアルテが引き戻したところで、ネリーが切り出した。

 エイファは聞いていないふりをしながら、耳はきちんと会話を捉えている。


 「えっと、さっきの話だよね?」


 セレシーデも背筋をただし、タクを見る。

 ネリーは下から見上げるように、その瞳を潤ませてタクを見る。


 「その、ごめんな。俺はガラムに戻らなきゃいけないから、一緒には行けない」


 すこし笑ってそういったタクを見て、一瞬凍りついたネリーの顔は、泣きそうになるが、一生懸命堪えて笑う。


 「そうですか………私、先に部屋に戻ってますね」


 そう言って部屋に戻ってしまうネリー。

 いつもならすぐにネリーの後を追うセレシーデは、なぜかタクの目を見たまま、席から動こうとはしない。


 「セレシーデさん?」

 「お嬢様は」

 「はい」

 「お嬢様は、あなたに惚れていたようです」

 「はい?」


 タクの顔は、そんなわけないじゃないかと語っていて、他の面々は大きくため息をつく。


 「タク君が朴念仁だったとは」

 「あんなに言い寄られてるのに………」

 「うそだろ………」

 「なんだよ、皆して。俺はネリーに、セレシーデさんだけだと不安だから付いてきて欲しいって言われただけだぞ?」


 本気でそう言うタクに、生暖かい視線が送られる。


 「お嬢様にとって、タク様が白馬の王子様だったのですよ」

 「乗ってる馬は白だな」

 「そう言うボケは要らないからタク」


 絶望を与えられたときに助けてくれて、記憶が一部消えてしまった後もずっと側で看病してくれた男性。しかもその顔は精悍で、未婚であるならば逃すのがもったいない。

 そんな評価をセレシーデから伝えられたタクの顔は、引きつっていた。まさか自分が恋愛対象に入れられるとは微塵にも考えていなかったのだ。


 「つか、タク。一日船を走らせればつくほどの距離を付いてきて欲しいなんて言う訳ないじゃないか」


 テトラの言葉に、そうなのかな? と、タクが首を傾げれば、そういうものだ! とアルテが答える。


 「お嬢様の初恋でしたので」

 「初恋!? 相手が悪かったんだ………」

 「あのなー、そうやって人をいじめるのやめてくんない?」 


 なかなか表情を動かさないセレシーデにしては笑って、告げる。


 「できるならば、笑顔で見送ってくださいね」

 「それはもちろん。ちゃんと運航便調べてきたんだ。どれで行くんです?」


 雰囲気の欠片もねぇ。

 そう言ってため息を付いたのは誰だったか。


 □■□■□


 少し風が強いその日、皆は埠頭に集まっていた。

 泣き腫らしたネリーの顔は、すこし腫れていて、前髪を押さえつけて隠そうとしているが隠せずにいた為、セレシーデの後ろで隠れるように立っている。


 「それでは皆さん………お嬢様」


 セレシーデに背中を押されて、ネリーが前に出てくる。

 そのまま俯いて何も言わないネリーに、タクは朝その様子を聞いて買ってきたつばの広い帽子をネリーに被せる。


 「………え?」

 「ネリー、これは俺からだ」


 つばの広い、編み上げの帽子の横には大きなリボンが付いていて、風にふわふわと揺れる様は、とてもネリーに似合っていた。


 「向こうでも頑張れよ。応援してる」


 ポンポンと軽く頭を叩くタク。


 「は、い………タク様!」

 「うん?」

 「これ、これを」


 ネリーは意を決したように鞄の中から一つの腕輪を取り出すと、タクのてに押し付けた。


 「これは?」

 「我が家に伝わる、無病息災の腕輪です。それを私だと思って、ずっと放さずに持っていてくださいね!」


 言い切ったネリーは、セレシーデの手を取って船に乗り込んだ。


 「ネリー!」


 出発すると告げる鐘の音が鳴り響く中、タクは大声を上げる。


 「これ、ありがと! 大事にするよ!!」


 届いたかどうか、タクには判断付かなかった。飛びそうになる帽子を押さえて懸命に手を振って何かを言うネリーがどんどん遠ざかっていくのを見ながら、タクはその旅が安全であることをただ祈る。


 「なあ、テトラさん」

 「なんだい? アルテ君」

 「俺たち、完全に空気だったよね」

 「そうだな、空気よりも薄かったかもな」


 タクが腕輪を付けて後ろを向くと、ニヤッと笑った二人に襲いかかられた。海に落とそうとしてくる二人と、なんとか逃げようと必死で抵抗するタクの姿を見て笑うのはエイファ。


 「さー! 景気付に一杯酒でも飲むかな!!」

 「エイファさん! 助けてくださいよっ!」

 「頑張れ青少年! 僻みもすべて受け止めよ!!」


 何とか逃げ出したタクは、逆にアルテとテトラを海に突き落とし、そのまま冒険者ギルドに向かって仕事を得ると、馬を飛ばして魔物狩りに出かけた。


 ―――大好きです! ずっと忘れませんから!!


 馬に乗って俯くタクの顔は、今まで経験したことのない感情で耳まで真っ赤になっていた。

 アルテとテトラに見られたくなくて駆けだしたその顔は、エイファ以外には見られることはなくて、結局エイファには口止め料としてタクの財布から半分ほど酒代に消えることになった為、タクは残りのロルネラ滞在期間、ずっと依頼と狩りに時間を費やすことになった。


 □■□■□


 そして、来た時よりも早く、馬に乗ってガラムへと護衛と言うお土産付きで帰る一行は、特に何の問題もなく、ガラムに着いた。


 「本当に帰る時は何もなかったわね」

 「いいことじゃないですか」

 「逆に何だか不安だわ」


 そう話すエイファとタクは、他の面々と分かれて、家へと急いでいた。

 エイファの馬はギルドへと売り、タクの馬は、きっと何かに使うこともあるかもしれないと家に持ち帰ることにしたので、今馬を引いている。

 久しぶりに会う顔ぶれにあいさつしながら中央通りのギルド前で別れると、そのまま家へと向かう。


 「親父?」

 「おう、おかえり」

 「ただいま。楽しかったよ、ロルネラまでの小旅行」


 森の葉が綺麗に色付き、地面が暖色の絨毯のようになっている。

 これからは新しい友人のテトラも森に来てくれるかもしれない。タクはそう思って、何となく温かい気持ちになりながら、親方に旅であったことを語る。


 「楽しそうだな」 

 「うん、楽しかった」

 「腕輪」

 「ああ、コレ? その話した友達が、遠くに行くから、ぜひ持って行ってくれってさ」


 どうしても、告白されたことだけは言えなかったが。

 恋愛のキビなんてわかんねーよ!

 ギャルゲーも乙ゲーも友人(壮大なの好きな奴)のおすすめ借りたら、バッドエンドばっかりだよ!どういうことなの (゜言゜;)


 そろそろ忘れられてたネリーちゃんの、もう登場しないかも宣言回でしたー。うん、きっとまた会えるさ(読者に)

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