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魔王選定  作者: 華宵 朔灼
第三章 少年編・生きる
64/113

15 母という存在

 連日更新って、3000文字程度がいいって書いてあったんですが………大抵その倍以上のこの話は読みにくいってことになるのでしょーか………

 もっと短くテンポよくかけるようになれないかな………


 六十三話、始まります

 エンシの町は、カゾスと違って、人間族よりも妖精族の町民が多い町だ。

 一つの山が町になっており、その周囲には音のする方を向くように改良されたディディックが張り巡らされている。盗賊を未然に防ぐのにかなりの貢献をしているため、他の町でも導入が検討されているのだが、いかんせん騒ぐので、なかなかサボれない(・・・・・)と議題に上がるといつも有耶無耶になってしまう。


 「さて、着いたけど、どうしようか?」


 五日間を洞窟で過ごし、奴隷商人たちが探そうとしていないことを確認し、二人ほど増えた仲間と共に歩いてエンシの町までたどり着いた。

 もちろん馬に乗っているのは姫であるネリーで、それを引くのは召使であるセレシーデ。エイファとアルテは馬の後ろで、困っているタクを面白そうに眺めていた。


 「お嬢様見えましたよ」

 「ねえタク様、見えたらしいです」

 「えーっと」


 相乗りだけは何とか回避したタクだったが、どうしても近くに助けてくれた恩人がいないと安心できないと涙ながらに説得され、馬の横で歩いているのだ。

 そして、セレシーデに何か言われたらすぐに反応してタクに振ってくるので、タクはすでにお手上げ状態だった。


 「これで結婚とかの話になったらすっごく面白いんだけど」

 「エイファさん、やりすぎるとタクは手が付けられないんで」

 「って、完全に私たちお邪魔だね」

 「そうですね」


 楽しそうに言い合う二人の様子をちらっと、しかしはっきりと睨みつけて、タクは何とかネリーとの会話をつなげていく。

 エンシに入って、まず目指したのはネリーの生家だ。

 ネリーが攫われて、それでも生きていたという事実を伝えなければならないと、しかも助けてくれたお礼をするにしろ、とにかく生家に行かなければと言うセレシーデを一応は止めたのだが、それを聞き入れてくれるような従順な女性だったらむしろネリーはすでに慰み者になっていただろう。

 今日何度目かになるため息を懸命に飲み込んで、ネリーの生家という、ほぼ要塞のようなお屋敷を見上げた。


 「門番に話をつけてまいりますのでこちらでお待ちください」

 「タク、私も行くから下ろしてちょうだい」

 「………はい」


 まるで従僕のような扱われ方だとも思うが、素直に返事をして望み通り胸を触らないように気を付けて脇に手を通して馬から降ろす。

 あまりにも保守的な下ろし方に少しの不満はあるようだが、目の前に家があるという状況は、全てどうでもいいと思わせるほど魅力的だったらしく、さっさとセレシーデの元に駆けていくネリーを見て、心の底からため息を付いた。


 「お疲れっ、タク」

 「………ほんとにな」


 アルテが励ますようにタクの背中を力いっぱい叩くが、それに反抗する気力すらタクにはない。

 知識ではなく実体験として付き合ってきた同じくらいの年の女子なんて、無口で自ら行動して求めないと三拍子そろったシノぐらいだ。雪の魔物の時に家に避難させた女子供の中にも年齢が近い者は居たが、知り合いとも呼べない関係でしかない。


 「女の子の扱い方ぐらい覚えとかないと、旅商人になるならいろいろと辛いわよー?」


 完全に面白がっていたエイファだったが、言っていることは正しい。

 慣れていないタクにとって、ネリーの相手は本当に疲れるものだった。

 旅商人は、商隊の一員になって特定の後援を得ないと自分の馬車を持つことが許されない。馬系が買えなくてロバ系でゆっくり運搬しながら別の場所で売るということをしている者が多い、かなり特殊な職だ。

 重要とされているのは、堅実性、甲斐性、顔、と身もふたもないのだが、女性と仲良くなっていると旅が楽になったりするのだ。女性は侮れない。


 「町の耳は衛士だけど、町の目は女性なんだからね?」

 「分かってます………」


 職業はしょせん職業だが、生活に関わるかもしれないと目を皿にして周りを見渡す女性に睨まれれば、安宿には絶対に泊まれなくなる。


 「さて。私、情報収集に動きたいし、宿とか取りたいんだけど………」


 もうお嬢様の護衛は飽きたわ、と言って背を伸ばすエイファに、あんたは何もしてないでしょ、とタクは睨みつけ、アルテは一人萎縮する。


 「俺が行きたいんですけど………」

 「タク君はダメよ。まだネリーさんの相手が残ってるじゃない」

 「じゃあ俺が行きますよ」

 「アルテ君、あなたは簡単に騙されるからダメ」

 「そうだぞアルテ。お前は簡単に騙されるから交渉事禁止」

 「ぐぅ………」


 休憩所では盗賊に騙され、宿屋ではぼられ、八百屋では倍の値で売りつけられるアルテの顔には、お人よしな雰囲気が書いてあるのかもしれない。

 この旅仲間での町での役割は、情報収集のエイファ、買い出しのタク、荷物番のアルテである。


 「タク君、そういえば、ここがシノの故郷よ」

 「え、あ、ここが?」

 「へぇ~、シノがここ出身なら、あんなに野性味にあふれてたのも納得いくかも」


 アルテが言うように、エンシの町の貴族街は要塞っぽいが、山すそに広がる集落は木の上に建っていたり、木と一体化していたり、ずいぶんと自然と融合した町であった。


 「何にしてもあのお嬢様がどうかしないと何もできないのよね~」


 三人の視線の先には必死に頭を下げて、何とか門を開けてもらえるように中に交渉しようとしているセレシーデが見える。

 生家に帰ってきたと浮かれていたはずのネリーはなぜか俯いてしまって顔は見えないが、その雰囲気から心無い言葉でもかけられたのだろうと想像がつく。

 黙ってみていると、門が開き、ネリーによく似た女性が質素な服を身にまとって、雰囲気に合った優雅な歩き方でネリーに歩きよる。

 ほっとした顔のセレシーデは、その女性がネリーの頬を、ネリーが平手で横に吹っ飛ばされたところで、引きつった叫びをあげた。


 「わが娘は死にました! もう二度と虚言で私を悲しませないで!!」


 呆然とするネリーに駆け寄るセレシーデを見た女性は、吐き捨てるようにそう言って門の中に戻っていく。

 当然門番はネリーとセレシーデに矛先を向け、これ以上の侵入するならば容赦はしないという姿勢をとる。


 「本当にすみません。………お嬢様」


 赤く腫れた頬を抑えて呆然とセレシーデに支えられてタクたちのところまで歩いてきたネリーは、タクの顔を見ると途端に両目から涙が流れだし、その場でわんわんと泣き出した。


 □■□■□


 彼女の名前はリリー。

 エンシの町にいつの間にか居つき、よく効く薬を販売していた少女。

 いつの間にか町人に愛されて、いつの間にかさまざまな客を得て、いつの間にか子供を産んでいた女性だった。

 まるで貴族であるかのように教養があり、移民であるかのように誰に対しても平等に接してくれた。彼女の前では、貴族も平民も孤児も、皆等しく人だった。

 子供が熱を出したと言えば、お代はあとでいいからこれを持って行けと薬を持たせ自分が熱を出すような、そんな優しい女性だった。


 「ここれがシノのお母さんの墓………」

 「そ。調合師リリーの墓よ」


 聖母リリー、ここに眠る。


 「こんな立派な墓、誰が………」

 「リリーを慕ってた人が少しずつ出し合ってね」


 私も出したのよ、とエイファは笑顔でそう告げる。


 「私は一時期リリーに師事していたから」


 その時のことを思い出したかのようにエイファの目の色は優しくなる。

 墓場は、平民の墓だと小さい石に名前を書いて共同墓地に置き、地面に掘った穴の中で死体を燃やし尽くして埋める。そんな場所で、リリーの墓は、異質な雰囲気を放っていた。

 明らかに削りだしたと分かる岩の表面を平らにして、文字が掘られ、さまざまな人の署名が成されているのだ。しかも共同墓地の端で、きれいな花が常に周りに咲き誇っている。花瓶と化している陶器の壺が石碑と言ってもおかしくない墓石の前に置いてあり、それぞれ可憐に咲き誇っている。


 「野草………だよな?」

 「切り花は死者への手向けだから。多分野草はスラム街とかで助けてもらったって思ってる人が入れたんじゃないかしら」


 エイファは、花屋で作ってもらった花束を地面に置き、石碑に一礼をした後跡形もなく燃やし尽くした。

 この日初めて、根がない草は死者に供えるものだと知った。

 根がないというのは自らの足で立てない者を示し、咲き誇る花弁は生きていた証を示す。花束はいつ死ぬかも分からない者か、死んだ者のためにしかないのだと、タクは理解する。


 「さて、私は戻るわね。リリーについて知りたかったらお店をやってる人中心で聞くといいわよ」


 宿に置いてきた三人が心配だからとタクを一人残してエイファは宿に戻る。

 タクがここに来たのは理由がある。シーブに料理のレシピの翻訳するついでに、レシピの上の端に稀に走り書きが成されているのを見て、どうしてもリリーについて知りたくなってしまったのだ。

 まるで、『夢』について、ゲームの運営側のような意見がちらほらと書いてあったのだから。多くは『夢』に参加していたらしいシノの将来を心配しただけのようだったが、「ガルドに要確認」と書かれた走り書きの下には、「灰色(脱落者)の認知」と書かれていたのが決定的だった。


 「あの、すみません」


 タクはリリーのことを聞きまくった。

 大抵はいい人だったとか、貴族に殺されただとか、一人娘はいったいどうしてるのか心配だとか、まるで家族を悼んでいるような意見ばかりで居心地が悪かったタクだが、破壊された冒険者ギルドを修復していた男性に話しかけて、当たりだったと悟った。


 「シノちゃんのお友達? ………随分大きいね」

 「あはは………これでも俺、八歳なんですよ」


 シノがタクと始めてあった四歳の時であれだけ優秀な頭脳だったことを知っているはずの町民だったら、一概には嘘と断定しないだろうとタクは考えていたのだが、本当に信じられてしまうと頭は大丈夫なのか心配してしまった。


 「タクくんって言うのか。シノちゃんは元気かな?」

 「元気だと思います。最近はちょっと用があって旅をしてるんで会えないですけど」


 ギルドの修復作業を臨時で手伝い、そのまま彼の家に案内され、シノが忘れて行ったリリーの手記があるとのことでお邪魔する。


 「これだこれ。シノちゃんが大事に持ってたからとっておいたんだよ。中は線ばっかりで読めたもんじゃないけど、きっとリリーさんかシノちゃんが書いたんだろうな」


 革と紐でまとめられた、一つの冊子だった。

 表紙には「愛するシノへ」と書かれ、中は日本語のほかに、タクが分かるのは英語ぐらいだったが、数か国の言葉で様々なことが書いてあるようだ。


 「俺はこの町から動けないし、シノちゃんを知ってるならコレ届けてあげてくれないか?」


 リリーが処刑されて数日、シノはこの人の家に匿われていた。数日後、ほぼすべての荷物を置いてシノの姿は忽然と町から消えた。残されていたのは当時のシノの着替えと身の回りの物と、この手記だけなのだと男は話す。


 「分かりました。必ず渡します」


 どうも、今シノとは会えませんとは言えなくて、タクはそんな約束をして手記を受け取ってしまった。

 確約してからいつ渡すんだよと頭を悩ませる日々が続き、シノに合わなければならない理由ができたことに小躍りし、中の文章を読もうと躍起になっていた為、革のカバーの裏に書かれていた文章を見たのは少し後、難しく書いてあるその分を正しく理解できたのは、タクが行商人としてカゾスを出る頃となる。


 ■□■□■


 夜、再び泣いて疲れたネリーと共に疲労が一気に出たセレシーデが眠りについた時を見計らってか、門のところでネリーに平手打ちを食らわした女性が深いフード付きのマントを被って宿に洗われた。


 「夜分遅くに申し訳ありません」

 「本気でそう思ってるなら出て言って欲しいんですけどね?」


 気弱そうに目線を彷徨わせる女性に、毒のある笑顔でエイファが告げる。一瞬躊躇った女性だが、真っ直ぐと三人を見ると、本題を切り出した。


 「私はその子の本当の母です」

 「娘は死んだって大きな声で………」

 「ええ、娘はこの町では死んだことになっているんです」

 「ええっと?」


 女性が話すには、どうやら魔物が訪れて蹂躙している間、どうにかして魔物を外へと連れだせないか考えたとき、魔力の素質のある子供を囮に使ってはどうかという案が上がり、ネリーがそれに選ばれ、町に居る魔物が作り出す濃霧の中へ、ただ一人の召使と、先の危険を了承した身売りたちを付けて向かわせたらしい。


 「彼女にその説明を?」

 「ええ、しました。けど………」


 ネリーが寝ているだろう壁の向こうを眺めるように、目を細めた女性の目からは涙が零れ落ちた。


 「覚えてないんでしょうね………人一倍責任感の強い子でしたから」


 きっとその重さに耐えられなくなったんでしょう、と言った女性は涙をふく。その様子はなんとも声がかけ辛く、エイファは顔をゆがめ、アルテは涙を流していた。タクだけは、ただただ聞いているだけだったが。

 死んだはずの者を再び家へと招き入れれば、町民から疑惑を向けられ、最悪領主率いる貴族からは、騒動の発端とも見られかねないと言う女性。


 「家の方が大事ですか?」


 そういったタクの心には何の感情も浮かばなかったが、実体験に母という認識がないと、ここまで冷たくなれるのだなぁと、感慨にふけっていた。

 それを聞いたエイファとアルテはぎょっとして目を丸くしていたが。


 「いいえ。このままあの子が家へと来れば、きっと要らないことを思い出すでしょうから………」


 タクはその家庭のことを知らない。

 しかし、力なく笑う女性に、それほどまでに何か思うことがあるのだろうということは感じる。


 「不躾だとは思うのですが、あなた方の行く先はロルネラだと聞きました」

 「………そうです」

 「でしたら、ロルネラまででよいので、あの子を連れて行ってはくれませんか? 勿論、人数分の馬と旅支度ぐらいはやらせていただきます」


 懇願するような目線に、やはりと言うか、最初に折れたのはアルテだった。


 「俺は別に連れて行っていいと思うけど………」


 そう口にしたアルテの言葉がどんどん尻すぼみになってしまったのは仕方のないことだろう。

 呆れた目線が突き刺さるのだから。


 「なんでそんな目で見るんだよ! いいじゃないか同情したって!!」

 「あのなー」

 「アルテ君、一応あなたは私たちのリーダーなんだけど?」

 「………え!?」

 「リーダーが決定したら従うしかないじゃん」


 目を白黒させるアルテにそろってため息をついた後、雰囲気にのみこまれて驚いていた女性は、許可が出たのが分かったことでまた泣き出した。


 「そう言う訳で、連れて行きますけど、馬と荷物の手配、お願いしますね?」

 「はい………ありがとうございます」


 翌日、無記名で宿に、五頭のしっかりとした馬が届けられ、二頭の馬の背には、最低限旅で必要だと思われるものがしっかりと詰まっていた。

 見た瞬間にセレシーデは悟ったらしく、ぐっと涙をこらえて厩舎まで案内したタクに一礼すると、「お嬢様を説得してみる」と言って部屋にこもってしまう。

 タクからすれば察しがよすぎて怖いとしか言えない。


 「さて、買い出しに行こうか」


 宿で出してくれる朝食を食べ、まだ部屋から出てこない二人のために宿で朝食の包を二つ作ってもらいセレシーデに渡した後、町へ入ると何事もなければ夜遅くまで酒を飲んで昼ごろから起きるエイファを置いて、少年二人で宿を出る。


 「今回はギルドで仕事とかしないの?」


 出てすぐそういったアルテに、タクは大きくため息をつき、貴族に睨まれるかもしれないから早めに出ていくことにこしたことはないと言い、町を見て回ろうと思ったと不満をこぼすアルテの首をひっつかんで大通りへと向かう。


 「おや、昨日の坊主じゃないか。リリーのことでまた何か?」

 「いや、野菜を買いに来たんだ。ロルネラに向かうんでね」

 「………そうかい。久しぶりにリリーの話ができる奴が来たと思ってたんだが………」


 すごく残念そうな顔で、そのおじさんは野菜を袋に詰めていく。

 それを見て、昨日話したエイファの話を思い出す。

 実はエイファ、他の町だったら酒場で情報収集と共に酒を飲んでは飲みつぶされてを繰り返していたのだが、この町では宿で酒を買って一人で飲んでいたのだ。


 「俺たちの連れにリリーさんを知ってる人が居たから、その人を酒場によこすよ」


 一人酒はあまり体によろしくないしと、過ぎたるは毒だが、とにかくエイファを追い出そうと決めたタクである。


 「君たちの年齢じゃあ………」

 「いや、………あの人何歳だ?」

 「俺は知らない」

 「まあいいや。リリーさんに一時期師事してたって言ってたからさ、その人を酒場に行かせるよ」

 「まあ、復興もあまり進んでないしな。行ってみるよ」


 野菜を受け取って金を払い、宿へと帰る。

 野菜を荷運び用の馬の鞄に詰めて、エイファを起こし、早く出立したいから必ず夜は酒場に必ず行くこと、とリーダーが伝え、タクは町をただぶらぶらと歩きまわる。

 ここをシノが駆け回っていたのかと思うと、何となく心が温かくなるタクである。


 「………いってきます」

 「いってらっしゃい」

 「いってらっしゃーい」


 嬉しいような悲しいような、どちらともつかない顔で、今は一つしかない酒場に向かったエイファは、懐かしさと共に酒場の扉を開ける。

 ほっとするような明るさと、酒と料理で埋め尽くされたテーブル。


 ―――おかえり


 そんな、懐かしい声が聞こえた方へと足を向けると、あの頃と変わりない顔ぶれが、あの頃と変わらない席で酒を酌み交わしていた。

 そこにエイファが憧れた女性の姿はない。

 空いている席は五つ。

 二つは埋まっているが、若い方の顔は見たことがない。


 「座らないのか?」

 「あ、いや………」


 酒を配っていた店員に声をかけられて、どうしようかと悩むエイファ。

 悩んでも答えはでない。


 「おいあんた、そこを………もしかして、エラティーナ?」


 退こうと少し体勢を変えたエイファの顔を見た男はそう言って、驚いたように立ちすくむエイファの腕を取って自分の席へと進んでいく。


 「おい皆、エラが帰って来たぞ!」


 そこの顔ぶれが、エイファに向けられる。

 なんとも気まずくエイファが顔をそむけても、席に座らせ酒が進められる。


 「リリーが死んだ時、来られなくて………」

 「気にするな! お前はいつもリリーに連れてきてもらってはウジウジしていたものな」


 飲め飲めと渡された酒を飲み、エイファは泣く。

 もうリリーは居ないが、そこにはリリーがいたことを知っている者たちが居る。


 ―――エラ? もう! 発泡酒はこうやって腰に手を当てて、一気にグイーって飲むの! ちびちび味わうもんじゃないのよ!!


 そんなリリーの声がエイファには聞こえた気がして、ぐいっとあおった酒は苦いはずなのに、少しだけ塩味が効いてる気がした。

 シノのお母さんはリリーさんです。

 シーブと結婚した時に夫妻そろって名前を変えています。どっちも有名だったからね。その頃の話も書きたいなー

 最近ブレブレの文章ばかりですみません………


 あ、次ちょっと閑話挟みます

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