少年マノンと勇剣の英雄譚 第2章「~魔法~あなたの為に」最終話 エピローグ
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前回
極彩ノ神杖に選ばれたスカーレットは、ヴィリジアンより託された知識と力を受け継ぎ、
新たな魔法【極彩魔法】へと辿り着く。
そして国中の人々から魔力を集め、厄災ドレインアビスを滅ぼす極大魔法の準備を開始した。
一方その頃、マノン達は命を懸けた総力戦を展開。
再生を繰り返すドレインアビスに対し、ドビーとマノンはついに核の存在を見抜く。
仲間達が切り開いた道を駆け抜け、マノンは瘴気の奥深くへ突撃。
勇剣スメラギを核へ突き立て、瘴気を払い最後の希望を繋いだ。
そして放たれた極彩収束極大魔法【プリズム・ノヴァ】。
虹色の光は厄災を飲み込み、長き戦いに終止符を打つ。
魔法国家ホルドーマを覆っていた絶望は、ついに希望の光によって打ち払われたのだった!
ホルドーマ近海にて
スカーレットが厄災ドレインアビスを討ち倒した、その頃
海の上を凄まじい速度で吹き飛ばされている者がいた。
それはヴィリジアンの重力魔法によって弾き飛ばされた嘲弄ノ道化師でした。
どんどんとホルドーマから離れる中道化師はのんびりと思考を巡らせます。
嘲弄ノ道化師「いやはや参りましたねェ~♪凄まじい重力波、これではワタクシの転移も阻害されちゃいますし~ この魔法が消えるのを待つのも手ではありますが、ヴァイスさんの放った魔法ですからネェ…いつ消えるのか はたまた彼が死んでも消えないのか…んんん~いいですネェ!いいですネェ!のほほほ~♪」
道化師が余裕の態度で空を飛ばされている中、海に一隻の帆船が。
その甲板には異形な集団が立っていました。
まん丸「ボノボノボノ!見つけましたぞ!」
双眼鏡で空を見つめていた巨躯の体がまん丸な者が声を上げます。
それを聞いたフードを身に着けた者が甲板に手をかざす。
フード「【万物反射】…」 そう唱えると同時、甲板の一部は青白く光る。
そして帆のてっぺんに立つ、三日月形の顔を持った者が嬉しそうに号令をかける。
三日月顔「ムゥーーーーン!今だよ!」
その合図を聞いた陶器で出来た蜘蛛のような者が光る場所に飛び乗る、と同時
凄まじい速度で空へと打ち上げられた。
陶器蜘蛛「メケケケ!【鋼縛演鎖陣】!」
打ち上げられた陶器で出来た蜘蛛のような者が空に蜘蛛の巣のような結界を展開する。
それを見ていた道化師は身を任せるようにそれに突っ込む。
ぼよ~~ん! 道化師が結界の中で跳ねる、そしてそのまま結界の中にとどまった。
重力波の影響を受けなくなった道化師がパチンッ!と指を鳴らす。
そして甲板の上に降り立った、そこでは異形な者達が頭を下げ待機していた。
嘲弄ノ道化師「のほほほ!感謝しますよ皆さん!今回ばかりはあなた達がいなければワタクシはあと二日は海の上で優雅に飛んでいた事でしょう!しかし錚々たるメンツですねェ!さすがはワタクシの『道化師団』の幹部ちゃん達!感謝しますよん♪」
嘲弄ノ道化師
「『隷属』さん」まん丸が頭を下げる。
「『反射』さん」フードが会釈する。
「『操奏』さん」蜘蛛が陶器の脚を鳴らす。
「『月光』さん」三日月顔が笑う。
隷属ノ道化師「ボノボノ!何を仰られますか嘲弄ノ道化師様!貴方様ならばすぐにでも抜け出せたでしょうに!」
反射ノ道化師「然り、大方我々が来ていることを察知して待っておられたのでしょう。」
操奏ノ道化師「メケケケ!チョウロウノドウケシサマ ハ エンターテイナー ダカラナ!」
月光ノ道化師「ムフフン~ それでお仕事は上手くいったんですか?」
そう聞かれた道化師がパチンッと指を鳴らす、すると手の中にホルドーマの秘宝『アナザーページ』とヴィリジアンの『罪の宝玉』がありました。
嘲弄ノ道化師「のほほほ~ 首尾のほうはまぁまぁって感じですねェ、最低目標のアナザーページ、そしてヴァイスさんの罪の宝玉だけですよん。もう少し余裕があれば神杖の破壊とホルドーマそのものの破壊も出来たんですけどねェ♪」
月光ノ道化師「ムーーーン!?罪の宝玉!ということはつまりヴァイス様は離反されたんですね。それは残念~」
嘲弄ノ道化師「そうですねぇ♪その後不慮の事故で死んでしまったと思うので、最高幹部がひと葉欠けてしまいましたねェ…さてさてクローバー様に報告に向かわないといけませんねェ♪」
そう言いつつ道化師がホルドーマの方向を見てニヤリと笑う。
嘲弄ノ道化師「のほほほッ!英雄の素質がある子供に神杖に選ばれたヴァイスさんの愛弟子。それ以外にも面白そうな方々がいっぱいですねェ!楽しみ楽しみ♪」
場面は変わり魔法国家ホルドーマ
厄災ドレインアビスとの戦いから一夜が明けた
魔法国家ホルドーマは今、復興の真っ只中にあった。
魔法によって修復される建物。
瓦礫を運ぶ人々、そして国を救った英雄達もまた、人々と共に復興作業に汗を流していた。
ケンシン「だぁぁしゃぁぁ!!!」
ドスン!ケンシンが建材を地面に乱暴に降ろし膝に手をつく。
その後ろからマノンが材木を担いで歩いてくる。
マノン「ダメだよケンシン、そんなに乱暴に置いちゃ壊れちゃうよ!」
そっと材木を下ろすマノンに対してケンシンが声を上げる。
ケンシン「なーーーんでやねん!俺ら昨日この国救ったんやで!なのになんで国救った次の日に大工仕事やねん!疲れたわぁぁ!」
そのまま ずでーーん と大の字で寝転ぶケンシン
そこにアランやドビーも合流する。
アラン「こらケンシン!今は復興の手伝い中だ!さぼるんじゃない!」
ドビー「まぁ気持ちはわかるがな。」
アランの言葉など聞こえていないと言わんばかりに、ケンシンはドビーへ駆け寄る。
ケンシン「せやんな!せやんな!さすがに国救った次の日に大工仕事はおかしいよな!ドビーは話の分かる男やな!」 味方が出来たとウキウキのケンシンでした…が
ドビー「それでもよ、困ってる人達の助けに少しでもなるならやるべきだろ。ぬるいこと言ってねぇで働くぞ。」 すり寄るケンシンを一刀両断するドビー。
ケンシン「なんでやねん!俺の味方はおらんの…」 ドゴッ!
文句を言おうとしたケンシンの頭にアランの拳がめり込む。
アラン「それ以上愚痴を言うんだったら寝かせてやるぞ?」
ケンシン「遠慮しますわ…ってか!ロキやクローネはなにしとんや!俺らだけ重労働やったら怒るで!」
その言葉にため息をつきつつアランが答える。
アラン「クローネとロキは避難所だ、そこでクローネは傷病者の手当て ロキはお得意の英雄譚話で盛り上げて活気づけだ。現状働いてないのはお前だけだぞ?」
詰められたケンシンはしぶしぶながら動き出した、それを見ていたマノンにスメラギが念話する。
スメラギ「あんだけの事があったのにこの国の奴らはすげぇな。あっという間に魔法で復興してる。」
マノン「そうだね、でも…」
スメラギ「あぁ…死んじまった人は戻らねぇ、心の傷は完璧には治らねぇ。だからよ俺達もできることをやり尽くそうぜ!すこしでもこの国の為によ!」
マノン「…うん!時々思うけどスメラギって悪いことして聖剣に封じ込められたんだよね?そうは思えないな。」
スメラギ「ハッ!んな昔の話はいいんだよ!ってかそれよりスカーレットの嬢ちゃん達は大丈夫か?」
マノン「今たしか七賢会の人達と向こうの天幕で話をしてるはずだね。」
スメラギ「しゃあ!じゃあ様子見に行くか!」
マノン「えぇ!?良いのかなぁ?」 スメラギ「いいから行くぞ!ほら早く!」
スメラギに言われるままマノンは天幕へと向かうのでした。
マノンが到着すると、ちょうど天幕の幕が開く。
そこから出てきたのはスカーレット、ティオナ姫、アグリコ、そしてソロモでした。
マノン「あっ!スカーレットさん!」
スカーレット「あらマノン、どうしたの?アンタまさかさぼり?」
マノン「ち…ちがいますよ!ちょっと気になったから来たんです!」
ティオナ姫もマノンの狼狽えた姿を見て微笑む。
ティオナ姫「ちょうど良かったです。今話し合いが終わったところなんですよ。」
マノン「話し合いの内容は聞いてもいいですか?」
ティオナ姫「えぇ大丈夫ですよ、この国の今後とか神杖の事とか色々話し合いましたの。」
ティオナ姫がそう言うとスカーレットは肩をすくめる。
スカーレット「まぁ難しい話は大体終わったわ…ほんっと疲れたわ。」
それに同調するようにティオナ姫の従者 アグリコがフォローを入れる。
アグリコ「そうですね、今回の件で確認しないといけないことが多かったですね。」
それに続きソロモが謝る。
ソロモ「すまんのう、どうしても当事者のスカーレットには多く聞かねばならんかったからな。」
マノン「そうだったんですね。」
そこでマノンは少しだけ表情を曇らせる。
マノン「…あの、ヴィリジアンさんの事は?」
その言葉に一瞬だけ場が静かになる、そしてティオナ姫が話しだす。
ティオナ姫「七賢会とも協議しました。」
静かにそう語るティオナ姫。
ティオナ姫「ヴィリジアン・ヴァイスは確かに罪を犯しました。」
ティオナ姫の言葉に誰も口を挟まない。
ティオナ姫「ですが最後は命を賭してホルドーマを救い、スカーレットさんを救いました。」
アグリコやソロモが頷く。
ソロモ「それにドレインアビス討伐の礎を築いたのもまたヴィリジアンじゃ。」
ティオナ姫「ですから七賢会は彼を、ホルドーマを救った英雄の一人として記録する事を決定しました。そして彼が諸悪の根源であるキューブ・ヴァイスということを伏せ、国の為に散った七賢会議員 緑癒 ヴィリジアン・コルニアとして扱うことも決定しました。」
マノン「…!」マノンの顔に安堵が浮かぶ。
スメラギ「へっ…!良かったじゃねぇか。」
スカーレットも小さく微笑む。
スカーレット「先生は確かに悪い事をしちゃったわ、でも更生の意思を持ち自分の命を賭してこの国を救ったの。だからこれでいいよね…」
そう呟きながら空を見上げた。
ティオナ姫「それと神杖についてですが。」
話題を切り替えるティオナ姫。
ティオナ姫「極彩ノ神杖は正式にスカーレットさんへ託される事になりました。」
マノン「えぇ!?確かすっごい物なんじゃ?」
スカーレット「私も驚いてるわよ。」
驚くマノンにソロモが話す。
ソロモ「歴代で誰も使い手に選ばなかった神器が選んだ以上、儂らが口を挟むべきではないじゃろ。」
ソロモが腕を組む。
ソロモ「それに今回の件で最も相応しい人物である事は誰もが認めておる!異議を唱えるものがおるんじゃったら儂ら七賢会が黙っておらんぞ!ほっほっほ。」
スカーレット「…だそうよ。」少し照れくさそうに頬を掻くスカーレット。
マノン「おめでとうございます!スカーレットさん!」
スカーレット「ふふっ、ありがと。」
マノンとスカーレットが喜びあっているとティオナ姫が話を続けます。
ティオナ姫「本来ならまだお話したい事は沢山あるのですが、私はアグリコと共にもう少しソロモ様と話し合いをしないといけません。」
ソロモ「ティオナ姫がシャングリヤ王国からの支援の話をとりつけてくれてのう、本当に感謝しかないのう。」
ティオナ姫「ですので私達はまた天幕に戻らせてもらいますわ…」
すこし気重そうなティオナ姫に気づいたマノンが声をかける。
マノン「ティオナ姫 大丈夫ですか?疲れてるんじゃ僕ができることがあるなら…」
ティオナ姫「でしたらッ!ひと段落着いたらデートをしてほしいです!」
マノンの言葉を聞き食い気味でティオナ姫が返答する。
マノン「えっ!?」赤面するマノン
そしてティオナ姫は自分が今言った言葉の恥ずかしさを自覚して逃げるように天幕に戻りました。
すると従者のアグリコがこっそり耳打ちする。
アグリコ「すみませんマノン様、姫様は今回の騒動の中ずっとあなたの身を心配しておられました。それがいま爆発してしまったのです。」
マノン「あ…えっと そうだったんですね!だったら冗談…」
マノンが先ほどの流れを濁そうとした瞬間
アグリコ「ですので!しっかりエスコートして差し上げてくださいね。」
そう言うとアグリコはソロモと共に天幕へ戻りました。
困惑するマノンはスメラギに相談します。
マノン「ねッ…ねぇ!どうしたらいいのスメラギ!で…デートなんて!」
スメラギ「ハッハッハ!こりゃいい!マノンにもついにアオハルが来たんだな!」
マノン「アオハルってなにさ!しっかり考えて…」
マノンがスメラギとの念話に夢中になっていると後ろで見ていたスカーレットが一言
スカーレット「ねぇマノン その剣としゃべってるの?」
その一言にマノンとスメラギが驚く
マノン「え?スカーレットさん スメラギの声が聞こえるんですか!?」
スメラギ「おいマジかよ!?んじゃ今まで恐ろしい女だとか、怒らしたらやべぇ嬢ちゃんだって話全部聞かれてたのかよ!?」
スメラギの言葉を聞き スカーレットの雰囲気が変わる。
スカーレット「へぇ…私の事そんな風に思ってたんだぁ… マノンもそうなの?」
ギロッとマノンとスメラギを睨みつけるスカーレット
スメラギ「やっべぇぞマノン!逃げろ!地の果てまで!」
マノン「何で僕まで!スメラギのせいだよね!謝ってよぉ!」
スカーレット「逃がさないわよ…!」
こうして魔法国家ホルドーマで起きた動乱はマノン&スメラギとスカーレットの追いかけっこという平和な終わりを迎えたのでした。
スカーレットがふと空を見る
スカーレット「先生…私、ちゃんと前に進むから。先生がくれた魔法で…皆の為に!」
その言葉は、どこまでも澄み渡る空へと溶けていった。
第2章「~魔法~あなたの為に」 完
第二章完結しました!
ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回外伝を挟み その後第三章開幕します!
すこしでも面白い話を作れるように精進します!




