第八十八話『流れ流れてにゃん』
第八十八話『流れ流れてにゃん』
《流されてみるのもいいもんにゃん》
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「時の流れに身を任せてにゃ。
あたふたせずに生きるのにゃって、
ネコの一生としては」
『アリ』
「にゃのかもしれにゃいのにゃあ」
ざぶぅん。ざぶぅん。
「こらあっ!
そこぉっ……って」
どぷっ。
ずぼっ。
「ぷわっ!
——やぱっ。
油断したら、
沈んでしまうところだったのわん——
んもう。いつもは穏やかな川なのにぃ。
今日にかぎって、
なぁんて激しいのわん。
……しっかしぃ。まずかったのわん。
川のど真ん中に」
『さぁお姫さま。
しばし、ここで休んでいかれまし』
「とでもいわんばかりの、
寝そべるにおあつらえ向きな、
『真っ平ら』に近い、
大岩が突き出ていたもんで」
『んなら、エンリョなく』
「って横になっていたら、
つい、
うとうと、としちゃって。
んでもって、
ごろごろっ、と転がっちゃって。
気がついたら」
『どっぼぉん!』
「自業自得? 身から出たサビ?
まっ。どっちでもいいけどさ」
『ふれる』
「っていう感覚を味わいたくって、
実体波並に、
霊波を身体から強く出していたのが、
仇となっちゃったなぁ。
……なぁんて、
グチをこぼしてる余裕なんて、
ぜぇんぜぇんないのわん。
霊波をとめちゃえばいいんだけどぉ。
んな状況じゃあね。
とてもじゃないけど、
気を集中させるなんて無理。
ホントのホントに、
どうしたらいいのわん?
アタシはどこまで流されていくのわぁん?
いつまで沈まないでいられるのわぁん?
ああんもう!
親友がこんなにもてんてこまいなのに、
あいつ、ったらぁ。
——こうなりゃあ、やけのやんぱち。
目一杯、声を張り上げて、
怒鳴りつけてやるのわぁん——」
『ミアンのアホぉっ!
安全な岸の上にうずくまって、
なに、ぼけぇっ、と、
こっちを眺めているのわぁん!
なにひとりごと、
つぶやいているのわぁん!
——あっ。
なぁんか目線が合ったようなぁ——
……ぐすん。
ほらほらぁ。
なんでもいいから、
さっさと助けてちょうだい,
なぁのわぁん!』
《はっ! そうにゃった》




