第三十一話『「ひとこと」に弱いのにゃん』
第三十一話『「ひとこと」に弱いのにゃん』
《自分がにゃってみて初めて判ることもあるのにゃん》
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「ミーにゃん。
是非とも教えて欲しいのにゃん」
「任せるのわん。
初代ミーナから延々と受け継がれてきた、
博学な知識でもって、
快刀乱麻な答えを、
ぺらぺらぁっ、と、
よどみなくしゃべっちゃうのわぁん」
「頼もしいのにゃん。
いや、実はにゃ。
ついさっきのことにゃん。
可愛い子ネコが歩いてたもんでにゃ」
『あんた誰にゃん?』
「と尋ねてみたのにゃん」
「ふむふむ。
んしたら、どうなったのわん?」
「にゃんと」
『ネコですのにゃん』
「といわれてしまってにゃ。
思わにゅ返事に、
身体が自然と固まって、
会話がどうにも、
続けられにゃにゃってしまったにゃんよ」
「うんうん。
よくある話、なぁのわん」
「にゃあ、ミーにゃん。
ネコに」
『ネコ』
「っていわれたら、
一体どう返事すればいいのにゃん?」
「ぷっ」
「にゃあに吹き出しているのにゃん?」
「それってね。
ミアンも、
アタシにいったことがあるのわん」
「にゃったっけ?」
「だったっけ、じゃないわん。
のっしのっし、と歩いていたのが、
不意に立ちどまってさ。
でもって、
アタシを振り返ったと思ったら」
『ネコ』
「っていったきり、アタシの返事も聴かないで、
そのまま、のっしのっし、と去っていたのわん。
なもんで残されたアタシは」
『うわわわあん。
あれって、どんな意味があるのわぁん!』
「とまぁしばらくの間、
頭を抱えていたんだけどぉ。
なぁんだ。
ミアンもアタシと、
たいして変わらないのわん」
『ひとこと』
「には弱いのわん」
「ううん。
覚えがあるようにゃ、
にゃいようにゃあ……まぁいいにゃん。
んで、どうしたらいいのにゃん?」
「なにを?」
「んにゃから、
にゃあんと答えたらいいのにゃん?
イオラの森のお姫さまが頭を抱えて、
考えに考えたのにゃ。
さぞかしや立派にゃ返事を、
思いついたのにゃろうにゃあ」
「えっ。あっ。うっ。
そ、そのとおりなのわん。
思いつかなくって、なんとするのわん」
「にゃら、にゃんと?」
「それは……ううんとぉ……はっ!
ア、アタシね。
今の今までいわなかったんだけどさ。
どうやら」
『イオラのど忘れ』
「が感染ったみたいなのわん。
なもんで悪いんだけど、
しばらくの間、散歩でもしてきてくれない?
帰ってきたら、ちゃんと話せると思うのわん」
「んにゃら出かけるのにゃん。
ミーにゃん。
楽しみにしているのにゃよ」
のっしのっし。のっしのっし。
「——行っちゃったのわん——
うわわわあん。
アタシったら、
なぁに見栄張ってるのわん。
んなの、どうやったって、
アタシの黄色い脳細胞じゃあ、
思いつくはずがないのわん。
どうして、正直にいわないのわん。
自分で自分の墓穴を掘っちゃうのわん。
それが運命だとでもいいたいのわぁん。
ああんもう!
誰か助けてなのわあぁん!」
《ミーにゃんはうろたえるのが好きにゃんよ》




