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如何物喰い  作者: 蓮の華
遭遇、変異。そして、切り裂くもの
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遭遇、変異。そして、切り裂くもの 玖

明けて次の日。木曜日。


相変わらずの腹の虫と空腹感。睡眠は空腹感に脅かされ、相変わらずの寝不足だ。

続けてあまり寝れなかった状態で、隈はより濃く俺の目の下に居座っていた。


一コマ目が休講のため、いつもより遅めに起き出す。

寝不足は強くなったが、空腹感自体は変わった様子はない、やはりあの考察自体はたぶん正しい…はず。


起き抜けに、ルーズリーフの、異常な力と再生力と書いた横に使用厳禁と書いておく。

力はともかく、怪我しないようにするのは運な気もするけど。


忘れないように玄関脇に置いておいたゴミ袋を集積所へ出して、とりあえず証拠隠滅のミッションはクリア。


相変わらず集中を欠くまま、出席だけを取りに大学へ。









あれよあれよと言う間に時刻は夕方。

夜中まで時間はあるが、早めに帰宅する。

ニュースやバラエティーをテレビから無意味に流して、スナックを齧る。飽きたらゲームをつけて時間を消費する。

空腹に気をとられ、テレビの内容も覚えてないし、ゲームもミスしてばかりだ。


それでも時間は過ぎていき、時計は二十二時半を刻んだ。


運命とやらは一体なんなんだろうか。

運命と聞くと、なんとなく記憶に甦るのはあの絡まれていた女性。

仮に出会ったとしても、流石に人を食べるとかないしな…。


まぁ占いは、占いか。それを信じて外出しようとしてる俺も俺だがな。


なにもなかったら妹君には一言文句を言ってやるかと心に決めて、財布にスマホを一応小さいショルダーバックに積める。

ふと思い立って曲がった銀食器三点も一緒に積めておく。曲がってようがお守りだしな。

よしと気合いを入れて、靴を履き玄関を抜ける。








………そういや何処にいけばいいんだ?








外出が吉とは言われたが、結局のところ何をしろとかはなかった。

このくっそ寒い中を目的もなく彷徨くのは中々堪える。ガムを噛む口も震える。


つか、食器を持ってきたのは失敗だったかもしれない。夜道で目的もなくうろうろしてたら完全に職質対象だ。ましてや近頃物騒だし。

早めに出てきたため、まだ二十三時まではまだある。暖取りもかねてコンビニへ。


週刊紙を立ち読みして時間を潰す。深夜のコンビニは客もおらず、一人の店員がのんびりと商品を補充している。


時計の針があと僅かで二十三時を指す頃に手ぶらで出るのも忍びなく、ホットのカフェオレを一つだけ買い店を出る。




ポケットに入れたカフェオレで、寒さにかじかんだ指を慰めながらそこらを彷徨く。


警察だけはいるなよとビクビクしながら歩いていると、昨日のブルーシートが被せられた遊具ばかりの公園に差し掛かる。

公園の時計の分針は二十三時十五分を指している。






ふと、良い匂いがした。

そういえば前に来たときも旨そうな匂いがした。


肉の匂い。


獣臭く、それがなによりも刺激的で食欲を誘う。


公園の敷地内からだ。


ふらりふらりと誘われるように公園内へ。




相変わらず遊具のほとんどにはブルーシートがかけられ、なんだかおどろおどろしい感じがする。

しかし、この辺りから、どうしようもなく食欲を刺激してやまない匂いが漂ってくる。




風もないのに、がさりとブルーシートが揺れる。




ブルーシートから姿を頭を出したのは………茶色いフェレット?




ネズミ顔っぽくて可愛らしい……まぁそれが中型犬ほどの大きさでなければもっと愛くるしいのであろうが。




キューキュー




鼻をピクピクとさせ、どうやら俺に気づいたようで、俺と視線が合う。


(小さければ)愛くるしい顔をこてんと横に倒し、ぬらりとその全身をブルーシートの中から現す。





まず俺の知っているフェレットはこんなに大きくはないし、色ももっとパンダみたいな色をしていたはず。種類によってはいるのかもしれないが。


そのフェレット?は全身茶色で、中型犬ほどの大きさ。その四足から伸びる爪は鋭利で、口の隙間から覗く牙も鋭く尖っている。




そして何より、尻尾に見慣れぬ物がついていた。









鎌。








そう表現出来るだろう。

大きく弧を描いた曲線、闇夜でも分かるくらいに光を反射する金属の輝き。

だが、間違いなくそれはフェレット?の尻尾から生えていた。



あぁ、そうだ。

鎌から連想して正体に思い当たった。

フェレットじゃない、イタチだこれ。


鎌鼬。


結構ゲームとかでも見かける。わりかし一般人でも認知度は高いのではないだろうか。そういえば部活で見た怪奇来譚にも載っていた。


……が、しかし、こんなに大きいとは聞いていない。





キューキュー



フワリと公園に風が吹き抜けた。


頬に灼熱感。


ズッパリと頬が裂け、口腔内に血の味か溢れる。

頬どころか、歯肉まで達した傷がドバドバと血を溢れさせる。


目の前にいたはずの鎌鼬はいつの間にか自分の背後でキューキューと鳴いていた。


鎌の尾に付いた血液をぺろぺろと美味しそうに舐めている。






奇遇だった。俺もお前を食べてしまいたい。







嗚呼、どうやら俺の運命の相手は、可愛らしくも憎らしい、この畜生らしい。

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