第25話 魔力放出
「ユーリ、駄目だ! やめろ!」
「いけません! ユーリ!」
「えっ? なに? 誰?」
声にびっくりして目を開けると、舞台の上は一面金色の光が溢れていた。それどころかいつの間にか私は、魔法陣をぐるりと囲む半透明のドームみたいな物の中に閉じ込められていた。後ろにいた筈のレイモンド先生も、舞台を囲んでいた生徒達も、私を見て手を振っていたメイベルの姿も見えなくなっている。
何これ、何が起こってるの? みんなどこに行っちゃったの? ……いや、怖い!
その時私の頭の上に何かがぽすんと乗った感覚がして、ますますパニックになった私は目をつぶって大きな声を出した。
「いやっ、何これ、やだあっ!」
「ユーリ! 大丈夫です。怖がらないで」
怖くて泣きそうになった私の肩を掴んだのは、さっきまではここにいなかった筈のエリス先生だった。
私が思わずエリス先生にしがみつくと、先生は頭の上にある「何か」をさっと取って放り投げた。それからぽんぽんと背中を撫でながら、落ち着いた優しい声で私に言い聞かせるように話した。
「大丈夫。もう何も心配いりません。だからまず落ち着きましょう」
「エ、エリス先生、今の何……?」
「あなたが気にする必要は一切ありません。ユーリ、いい子だから落ち着いて、そしてまず魔力放出を止めて下さい」
「魔力放出……?」
「そうです。この場にある金色の光は全てユーリ、あなたの魔力です」
「うそっ!?」
エリス先生に言われて改めて辺りを見まわすと、さっきまでは足元にしかなかった金色の光が今はドーム中いっぱいになってる。
これが私の魔力? 魔力って見えるものなの?
びっくりしてる私をエリス先生は心配そうに見た。
「ユーリ、一体何があったんです? どうして貴女が魔力を使っているのか、教えてもらえますか?」
「あの、レイモンド先生と一緒にサラマンダーを召喚することになって……」
私は魔法陣に魔力を流すように言われて、自分の魔力をイメージするのに自分の手から湧き出る水をイメージしたこと、それから呪文を唱えようとしていたと説明すると、エリス先生は深く溜息をついた。
「そうですか、よもや湧き出る水とは……わかりました。とにかくまずは魔力を止めましょう」
「魔力を止める?」
「ええ。ユーリの魔力はまだ溢れ続けているのです。普通だったらこれだけの量の魔力が出れば魔力切れになりそうなものですが、流石としか言いようがありませんね。今は魔力が外に広がらない様私が結界で遮断していますが、これ以上負荷がかかると結界が持ちません。湧き出る水を止めるイメージをしてみてください。出来そうですか?」
「えっと、魔力が出続けているとよくないんですか?」
「そうですね、ユーリ、貴女の体調も心配ですが、まず私の結界がこれ以上持ちません。もし結界が壊れたらこのコロッセウムが吹き飛ぶかもしれませんね。それでも魔力が止まらなければ最悪この学園が……」
「わかりました! すぐ止めます!」
私のせいでコロッセウムが吹き飛ぶとか、そんなの怖すぎる! とにかく早く魔力を止めなきゃ!
私は慌てて目を瞑ると、さっきと同じように自分の掌から水が湧き出る様子を想像した。
ええと湧き出る水を止めるイメージ……ってどうすればいいんだろう。水を止めるんだから、両手を合わせてみる? ううん、違うな、これじゃあ漏れちゃう。じゃあ手を握る? これも違う。じゃあ今度は、……と想像の中で掌を開いたり閉じたりしてると、突然黒いトカゲみたいなものが私の手の上にちょこんと飛び乗ってきた。
……ん? トカゲ?




