第16話 図書室
「では次は図書室へ行きましょう」
そう言ってエリス先生は1年生のフロアから外に出ると、庭の様な場所に案内してくれた。
授業のない生徒なのか、芝生の上に座ったりベンチで本を読んだりして人がのんびりしてる。でも時々ちらちらと視線を感じるのは気のせい……?
「この中庭を抜けると図書室が近いんですよ。外にある図書館の方が蔵書数はありますが、実際の授業で参考になる資料はここの図書室の方がわかりやすいでしょう」
青々とした芝生を突っ切る様に別棟まで来ると、図書室の扉の前にやってきた。
重厚な作りの石造りの塔は2階建てで、この建物全体が図書室なんだって。でも私の感覚で言うとこれは「室」っていうレベルじゃない! と思う。
少し暗い建物の中に入ると正面には大きな机があって、白髪の優しそうなおじいさんが座っていた。エリス先生はその人に軽く会釈をすると、天井まで届く書架が並ぶ場所まで案内してくれた。書架には重厚な革表紙の本から薄い冊子のような本まで様々な種類の本が並んでいる。「古代言語による魔方陣構築」、「ピクシーはあなたの隣に」、「美味しく食べられる薬草図鑑」・・・背表紙を読んでるだけでもとても面白そう!
しばらくすると前を歩くエリス先生が突然立ち止まった。
「今日は珍しい人がいるようですからユーリに紹介してあげましょう。こんにちはメイベルさん」
「え? どなたですか??」
エリス先生が声をかけると、書架の後ろから可愛らしい声が聞こえた。それからぱたぱたという足音がしたと思うと可愛らしい女の子がひょこっと顔を出すのが見えた。オレンジ色の腰まである長い髪を三つ編みにして丸い眼鏡をかけている、同じ年くらいの女の子。
「まあエリス先生! お久しぶりです!」
「メイベルさん、こちらにいるとは珍しいですね。今日は図書館へは行かないのですか?」
「はい、今日は図書室に用事があって。先生こそ珍しいですね、今日はどうされたんですか?」
「今日は私は校内を案内しているんですよ。こちらはユーリです。色々教えてやってください」
「ええっ!?」
エリス先生が私を紹介すると、メイベルさんは大きな目をますます大きくして私を見た。
「この学園の理事長で、しかも賢者である先生がわざわざ生徒さんを案内をしているんですか?」
「ええ、そうなんです。彼女は新入生のユーリです。ユーリ、こちらの方はメイベルさんです」
ええっ? これってそんなに驚かれる事なの?? っていうか、そんな凄い人に案内してもらっている私って……。私はエリス先生がそんなに偉い人だとあまり思ってなかったから、なんだか急に申し訳ない気分になってしまった。
「あ、あのユーリ・フォン・ヴァルトと言います。よろしくお願いします……」
「フォン・ヴァルトということはエリス先生のご一族の方ですか?」
「ふふ、ユーリは私の娘なんです。仲良くしてやってくださいね」
「え、あ、はい! 私はメイベル・クレベルト・バーゼルと申します。ユーリ様、こちらこそ仲良くしてくださいませ」
そう言うとメイベルさんは優雅に腰を折って挨拶た。ええっとこれはもしかしていわゆるカーテシーというやつ? 初めてリアルで見る!
「メイベルさんは今年で6年目で、この学園の講義は殆ど履修済みです。講義で悩むことがあったら彼女に聞くといいですよ」
「ええ? 6年目……ってことは6年生なんですか?」
ええっと、この学園は1年生から3年生までって聞いていたんだけど、一体どういうことなの!?
しばらくいわゆる説明回が続きます。なかなかお話が進みませんがよろしくお付き合いください。
それにしてもユーリに会いたいとルツが暴走しそうです。落ち着くんだ!ルツ!




