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転生したら竜でした!?  作者: このはなさくや
第1章 竜の目覚めと出会い
13/28

第13話 仲直り 後編

 「泣くな、ユーリ。お前が泣くと私はどうすればいいかわからない」



 ルツは困った顔をして私の涙を指で拭くと、そっと私の頬に口を付けた。



 「うぇっ」



 思わずびっくりして変な声が出てしまった。っていうか今のってキスだよね? 私キスされたの!? 

 恥ずかしくてめちゃくちゃ挙動不審になってしまった私を、ルツは目を細めて笑った。



 「ユーリ、本当は私はお前と離れたくない。片時も離したくないんだ。……だがお前の望みなら私がなんでも叶えてやりたいとも思う」

 「……どうして? どうしてルツは私にこんなによくしてくれるの? 私、ルツに何にもお返しできてないよ? その、学校のお金だって……」

 「ユーリ、お前はそもそもこの世界に生まれてまだ2か月程度しかたっていない。まだ子供ともいえない存在だ。だからそんな事を気にする必要はない。それは私はユーリのことが……。いや、ユーリ、お前は私の事をどう思う?」

 「私?」



 そういえばルツは私の何なんだろう。

 最初は危ないところを助けてくれた人、つまりは恩人。それから頼りになる友達……友達って感じじゃないよね。うーん、頼りになるお兄ちゃん? 違うなあ。だって私のお兄ちゃんは別にいるし。

 私がうんうん考えてるのをルツはちょっと困ったような顔をして見てる。

 しばらくしてルツは諦めたように私から視線を外すと、手を伸ばし少し離れた枝にあったユグドラシルの果実を摘んで皮をむいて私の前に出してくれた。



 「ほら、食べるといい」

 「む……、ありがとう」



 私が実を手に取ろうとするとルツはそのまま口に入れてくれた。そういえば初めて会った時もルツが食べさせてくれたっけ。でもちょっと恥ずかしいんだけどなあ……。

 ルツは私が食べているのをじっと見ていたけど、やがてため息をついて首を振った。



 「もういい何も言うな。だがユーリこれだけはわかってほしい。学校が終わって帰ってくるのはエルフの郷ではない。私の所だ。エリスがお前の後見人となったのは人間社会に入る上で必要な手続きだったからに過ぎない。本来の後見人は私だ。つまりは……その……家族だ」

 「家族?」

 「そうだ。私がこの世界で初めてお前に会って、そしてお前の名前を付けた。だから私はお前の家族だ」


 

 ルツは私の頭をぽんぽんと撫でた。



 「家族なんだからお前も何も遠慮することはない。ユーリが望むならどんな我儘でもきいてやろう。学校も楽しんでくるといい。」



 そう言ってルツは優しく笑うと懐からネックレスを出して私の手に載せた。2㎝くらいの縦長の小さな綺麗な黒い石に、華奢なゴールドのチェーンが付いている。なんだろう、初めて見る石だ。



 「これは私の鱗だ。これがあればお前がどこにいてもわかる。これをいつも必ず着けていてくれ」

 「これがルツの鱗? すごく綺麗……」



 ルツの鱗は確度を変えるとまるで宝石のようにきらきら光る。

 私が鱗をそっと触ると、何か温かいものが流れ込んでくるのがわかった。これはルツの魔力なの?


 

 「ルツありがとう。すごく嬉しい。ずっと付けてる。大切にするね!」

 「……いい子だな。ユーリ、付けてやるから後ろを向いてごらん」



 そう言ってルツは私の髪を一つに束ね前に流すと、器用に私の首元にチェーンを掛けてくれた。

 その時冷たいチェーンの感覚とは違う、何か温かい物が私のうなじに当たった。



 「ひゃっ! な、なに?」

 「くくっ、何とも色気のない声を出すな、お前は。まあいい、雛から育てていくのも楽しみだ」



 ルツはそう言って笑ったかと思うと私を後ろからぎゅっと抱きしめた。



 「何か困った時は私を呼べ。お前の声はたとえ私が世界の果てにいても聞こえる。--今度は必ず助けに行く。いいな」

 「う、うん」



 背中に感じるルツの体温は暖かい。色々話したいこと、聞きたいことがあるけど、どきどきしすぎて何も考えられなくなる。そもそも男の人に抱きしめられるなんて初めてだよ、私!

 でも……私はおずおずと顔のすぐ下にあるルツの腕を触った。



 「ルツ、あのね、私初めて会った人がルツでよかった。あの時私を助けてくれてありがとう。ルツがいなかったら今頃どうなってたかわからない。……私学校でいっぱい勉強してくる。ルツの迷惑にならないよう頑張るから。だから学校が終わったらルツのところに帰ってきていい?」

 「……当たり前だ」



 ルツは少し擦れた声でそういうとますます強く私を抱きしめた。

 

 私は自分の頬がどんどん熱くなってくるのがわかる。きっと今ほっぺたは真っ赤にんってるんだろうな。ルツにはそんな顔を見られたくないよ。……だからもう少しだけこのままでいてもいいよね?

 

 私は目を閉じるとそっとルツの腕に頭をのせた。




しばらく「転生したら竜でした!?」の更新はお休みさせていただきます。

再開は1月10日以降の予定です。


拙作をいつも読んでいただき本当にありがとうございます。皆さんのブクマがとても嬉しいです。

拙いながらも頑張って更新いたしますので、2017年もどうぞよろしくお願いいたします!

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