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空になる朝
わたしが透明になる朝
大地には数えきれない影があった
膨張する宇宙にひきつれられて存在は
じぶんたちの大きさを思いだし
確信した直線で空に落ちていった
わたしの目におちてくるものは
重力にとりのこされた哀しさである
霧ふかき谷に叫ぶような哀しさである
永劫はその谷からころげ落ちた
流れる水も、鳥の鳴き声も
みな透明な木霊にすぎなかった
わたしが透明になる朝
空にはただ一つの蒼がある
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