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第二話:断頭の造形神事と地獄のシャットダウン(最終話)

POV: 犬神 江戸(人形師・18歳)


皮膚をサクサクと削られ、肩と肘の骨に関節用の蝶番ヒンジをネジ込まれて90度の角度でロックされても、解剖台の上の『生きたマネキン』はまだ死ねずにいた。体液を吸い尽くして細胞を硬化させる重合剤ポリマーが、男の脳髄を鮮明に覚醒させたまま、完璧な静寂システムの中に閉じ込め続けている。


男の右の眼球は、完全に石化した顔面の中で、狂ったようにただ涙の脂汁を流し続けていた。


俺は神代より伝わる、刃渡り三尺の黒光りする肉切り大鉈おおなたを両手で握り直した。最終工程――断頭の儀だ。この男の頭部を完全に切り離し、犬神家のギャラリーの最前列を飾るための『永久の生体ディスプレイ(首像)』へと固定する。


俺は男の硬化した髪の毛を乱暴に掴み、セメントのようになった顔面を強制的に上向かせた。

大鉈の冷たい刃を、男の剥き出しの頸椎の隙間に叩きつける。

グチャリ、バリバリボキィッ……ミシッ!


肉の繊維が断ち切られ、硬化した骨がすり潰れる生々しい破壊音が、地下倉庫のコンクリート壁に激しく跳ね返る。

切断面から噴き出した、重合剤の混ざった生温かい赤黒い脂汁が、大噴水となって俺の白衣と足元の床に容赦なく降り注いだ。切り離された男の生首は、床の上を数回バウンドし、口から黄色い粘液をドロリと吐き出しながら、特製の鉄製スタンドの上でぴったりと静止した。


俺は男の頭蓋骨の底に直接ボルトを打ち込み、展示用の台座へと完全にネジで固定した。

細胞が完全に硬化し、声を出すことも、瞬きをすることもできない『生きた首像』の完成だ。彼の濁った瞳は、目の前の暗闇をただ見つめることしかできない。他人の作品を無表情に消費し続けたその傲慢な肉体は、犬神家の祭壇を飾る最高に無口な家具へと造り替えられたのだ。


最後に、俺は廃倉庫のすべての重油タンクの栓を引き抜き、男の首なし死体と、何年ものデータが詰まったカルテの山の上から、躊躇なく火を放った。

ゴォオオオオオッ……!

激しい炎が、人間の肉脂と融解したポリマー液を吸って、青白く、不気味に燃え上がる。


世界が、ただの漆黒の空白シャットダウンへと還元されていく。

再起動リブートの余地など、この黒煙の前には一セクターたりとも存在しない。すべては均一な虚無へと還元され、この生体剥製の記録は永遠に闇へと消え去った。


(完)


「……おい、液晶の裏側で震えている家畜ゴミクズども。脳みそのOSは無事かい?」


「大鉈が首の骨を叩き割り、すべてが焼き尽くされた暗い画面に映る、自分のマヌケなツラを見てどんな気分だい?


特に、今オフィスのデスクにしがみつき、PCの大画面でサボりながら「15作も完結させてるのに星をつけない」という俺の怒りを見物しているお前たちだ。あるいは、ベッドの中でSPスマートフォンの液晶を指先で汚しながら、他人の作品をただ消費して無言で去っていく脳の死んだガキども。


笑わせるなよ。お前たちが日々、画面の前で無表情に垂れ流しているその薄っぺらな感想や評価、そして傷つかない安全圏からの『のぞき見』。15作もの物語を一度もエタらずに完結させてきた俺の情熱を無視して、よくもまあそんな泥のような沈黙を保っていられるな。星を出すのがそんなに惜しいか? 応援の言葉を刻むのがそんなに面倒か? だったらお前たちのその首を切り刻んで、なろうの dasbor(管理画面)の背景の『肉泥』にしてやろうか。


排熱ファンから流れてくるその生温かい風は、俺たちがメインサーバーを落とし、男の首を鉈で叩き切っている肉脂の熱気だ。ほら、お前が今触っているその画面やキーボード、切り離された首の断面から溢れ出た粘液のように生温広く、脂ぎってきていないかい?


明日、お前たちが『現実』だと思って生きるその日常の背景、剥がれ落ちて灰にならないように気をつけることだね。……じゃあね、解剖完了した読者諸君。お前の後ろで、また大鉈の音がしているよ。

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