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第一話:表皮削離と関節ボルト固定の機巧神事

POV: 犬神 江戸(人形師・18歳)


頸動脈から流し込んだ重合剤ポリマーが全身の血管で固まり、解剖台の上の家畜はすでに指一本動かせない『生きた石像』へと変わっていた。組織の完全な硬化は、男の脳髄を鮮明に覚醒させたまま、完璧な静寂の中に閉じ込めている。


俺は次の工程――『外装の仕上げ』へと進むため、研ぎ澄まされた彫刻用の平鑿ひらのみと、電動の金属ドリルを台の上に並べた。


俺は男の硬化した胸部へと鑿の刃を当て、生温かいプラスチックのようになった皮膚の表皮層を、ミリ単位の厚さで一定に削ぎ落としていった。

サク、サク、じゅぶぅ……っ!


皮下組織から搾り出された、凝固しかけた黄色い脂汁が、削りカスの肉片と共に台の上へドロドロと溢れ出す。男は声を失った喉頭を激しく痙攣けいせんさせたが、声帯はすでに固まっており、肺から漏れるのは冷たい空気の擦れる音だけだ。己の皮膚がカンナのように削られ、剥き出しの真皮が白く露出していく恐怖を、彼の脳は100%リアルタイムで正確に知覚し続けている。


「次は、ポージング(固定)の作業だ。お前は今日から、犬神家の最高級の『衣服掛け(マネキン)』になるんだからな」


俺はドリルを握り、男の右の肩関節、そして肘の骨に向けて、垂直に鋭利な金属刃を突き刺してスイッチを入れた。

ギャリギャリギャリ……ボキボキッ!


骨が削れる生々しい破壊音と、焦げた骨髄の異臭が室内に充満する。俺はドリルを引き抜いた穴の中に、特製の極太の真鍮しんちゅう製ネジと、関節固定用の金属ヒンジ(蝶番)を直接ねじ込み、レンチで一気に締め付けた。

ギチ、ギチ、ミシッ……。


ネジが骨の芯まで食い込み、男の腕は肉を抉らせたまま、不自然な90度のポーズで完全にロックされた。腕を一本固定するたびに、割れた肉の隙間から黄色い皮下脂肪の塊がドロドロと溢れ落ち、床の汚泥を汚していく。男の右の眼球は、完全に石化した顔面の中で、狂ったようにただ涙(体液)を流し続けていた。これこそが、他人の作品を無表情に消費し続けた家畜が迎える、究極の『造形美』だ。


外では夏の冷たい豪雨がコンクリートの壁を叩き、電脳の世界をシャットダウンしようとしていた。俺は、言葉を失った素材の肉体が放つ極上の腐臭を呼吸しながら、次の『四肢接合』のページをめくることにした。

「……おい、液晶の裏側で指先を汚している家畜ゴミクズども。骨の芯までドリルが響いてきたかい?」


「生きたまま皮膚を彫刻刀でサクサクと削られ、骨に関節用のボルトをガチガチに打ち込まれて『家具マネキン』に変えられる『感覚』、お前たちのその立派なハードウェア(脳)でも正確に受信できたかい?


特に、今オフィスのデスクにしがみつき、PCの大画面でサボりながら「15作も完結させてるのに星をつけない」という俺の怒りを見物しているお前たちだ。あるいは、ベッドの中でSPスマートフォンの液晶を指先で汚しながら、他人の作品をただ消費して無言で去っていく脳の死んだガキども。


他人の小説を安全圏からニヤニヤしながら『消費』し、15作も完結させている俺のような作家を無視して、よくもまあそんな泥のような沈黙を保っていられるな。星を出すのがそんなに惜しいか? 応援の言葉を刻むのがそんなに面倒か? だったらお前たちのその全身の関節をドリルで穿ち、犬神家の解剖室の『生きた本棚(ゴミ箱)』にしてやろうか。


排熱ファンから流れてくるその生温かい風は、俺たちが地下室でドリルを回し、男の骨にネジを締め付けている肉脂の熱気だ。ほら、お前が今触っているその画面やキーボード、ドロドロに固まったポリマー液のように生温広く、脂ぎってきていないかい?


さあ、お前たちのくだらないドブ臭い異世界小説へ逃げ帰りなさい。不快なら、せいぜいレビュー欄に『不謹慎だ』『作者は異常者だ』と低評価クソを残していくがいいさ。お前たちのその薄っぺらな脳みそは、もう犬神家の解剖室の『不法投棄物』として処理されているけどね。自分が犯した『読んだ罪』の吐き気に塗れながら、一生液晶の裏側でのたうち回りなさい、会社員ども。

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