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地球の果ての島の物語  作者: 亜滝紅羽
白兎事件編
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57/75

白兎事件編20(生態調査・2)

(柚木)


 色鮮やかな百足2匹は無事、木戸によって退治された。

 そして鴫が幸せそうな顔でノートを見せてくれた。百足の横に『とても大きい。人間なら丸呑みだ』と書いている。

 カナダ出身のばあさん含め、身寄りのない老人達3人は俺が登山道に案内すると、再び頂上を目指して行った。

 別れ際に、


「お幸せに!」


 とよく分からないことを言われた。何の話かさっぱり分からないので「ばあさん達もな」と返しておいた。


 

 

 そして現在。


「なんで棘に向かって踵落としなんてしたの?」

「はじめ見たときは棘なんて無かったんだよ」

「じゃあ中に埋め込まれてたのかな。それにしても酷い怪我だね⋯⋯」


 行かなくていいって言った俺を無視して、木戸に病院へ連れてこられていた。

 抱っこが嫌だったから暴れようとしたら夏椎に「じっとしなさい!」と怒られて、木戸も絶対下ろしてくれなかった。子ども扱いは嫌なのに。俺の方が先輩なのに。ちょっとデカいからって簡単に抱き上げてくるのがムカつく。


「本当にありえない⋯⋯」


 夏椎が後ろでボソボソ呟いている。

 賢吾が写真を撮って見せてくれた踵は、綺麗に抉れていた。穴が開いて血にまみれた両方の踵の写真を見て、涙目の翔真が右腕にしがみついてくる。


「もー。先輩、踵めちゃくちゃ紫色になってんじゃん」

「なんか見たら痛くなってきた」

「見なくても痛いの!」


 翔真に泣きながら怒られた。

 自業自得なので何も言えない。俺が黙っていると、隣に座っていた夏椎もきっと睨みつけてきた。


「もういい大人なんだから、そろそろ後先考えて行動して下さい!」

「でもばあさん達が襲われてたから⋯⋯」

「一声かけてから行く!報連相ですよ!」


 みんなに囲まれて怒られるのが嫌で、つい下を向いてしまう。

 俺の視線の先で、賢吾が処置を続けていた。いくら穴が空いていても、もう血は止まっているから大丈夫なのに。

 これくらいの痛みなら我慢出来る。それより鴫の楽しみを奪ってしまった。

 黙り込んでいると、賢吾が俺を見上げて困ったように笑う。賢吾は、怒っていなかった。


「香流、今日は病院にお泊まりね」

「え!?嫌だ!」

「俺はこのまま当直だから、当直室で寝てなさい」

 

 病院になんか泊まりたくない。ペットも置いてきてるし、子ども達のご飯だって作らなきゃ。反論しようとしても、賢吾はにこりと笑みを浮かべて反論させてくれない。


「後で絶対熱が出るから。それに、もう歩けないでしょ」

「う⋯⋯」

「先輩、川崎さんの言うこと聞いといた方がいいよ。いい子にしてな」


 後輩のくせに。小さい子を諭すような言い方をされてムカつく。


「晃に運んでもらえばいいだろ」

「今日は柚姫もいないし、友人の木戸くんに迷惑をかけるわけにはいかないよ。大人しく弟の言うことを聞きなさい」

「⋯⋯ごめんなさい」


 反論出来る内容が思いつかなかった。

 頭がぼうっとする。悔しくて下を向く俺の前で、賢吾が包帯を巻いてくれている。


「俺としては先輩の看病なんてむしろ大歓迎なんですけどー」

「ダメです」

「ですよねぇ。ま、川崎さんの方が安心でしょ。俺はこれから用事もあるし」

「⋯⋯どこ行くんだよ」

「内緒」


 またそれかよ。木戸は何も話してくれない。

 顔を上げずにいると、後ろでガタンと音がした。木戸が立ち上がったようだけど、振り返れないから分からない。


「じゃあ子ども達はこのまま引き取るから。先輩、川崎さん。また明日〜」


 そう言って、木戸はあっさりと部屋を出て行った。

 静かになった部屋で、賢吾が包帯をしまう音がする。俺がずっと黙ったままでいると、賢吾が俺の頬に手を添えてふふっと声を落とした。


「さすがに子どもに怒られるのは堪えた?」

「⋯⋯うん」

「何か食べたいものあるなら、買ってくるよ。休憩時間に一緒に食べよう」


 賢吾に抱き上げられるのを、俺は抵抗しなかった。

 頭が痛くて、何が嫌で悔しいのかもよく分からない。ただ、こんな時によく食べていたものだけは鮮明に思い出せる。


「アイス食べたい⋯⋯」

「うん。ミルクのアイスね」

 

 身体が熱い。足が痛い。ぼんやりと霞む視界の向こうで、賢吾だけが見える。

 賢吾が歩く度に振動が伝わって、運ばれていることは分かった。大人しく賢吾にもたれかかっていると、今度は急速に眠気がやってくる。


「10年振りの大怪我だね」

「もうちょっと無傷歴更新したかった」

「それは残念。冷やすもの持ってくるから。うつ伏せで寝てた方がいいよ」


 当直室のソファベッドに下ろされて、賢吾は俺の首筋に触れた。

 背を向けていく賢吾が遠くなる。その姿が見えなくなる前に、俺はなんとか口を開いた。

 

「賢吾⋯⋯」

「ん?」

「ちょっと、寝る⋯⋯」


 声は、言葉になっただろうか。

 それを確認する術もなく、おれは意識を手放した。



 ★★


 

(川崎)

 

 語尾が小さくなっていく香流を振り返ると、もう黒髪(くろいろ)金髪(きんいろ)へ変わっていた。

 透けるような白い肌が紅潮して、息が荒い。香流の首元と踵を冷やして、なるべく傷口へ負荷がかからないように体勢を整える。


「痛いのによく頑張ったね」


 もうたくさん怒られたから、俺から怒るのは無しにしてあげる。

 その代わりしっかり休めるよう、こちらも全力を尽くそう。どうしたって愛おしい小さな兄がこれ以上痛みにうなされませんように。

 そう願いながら、柔らかな金髪を優しく撫でた。



 ★★★★★



(夏椎)


 病院を後にした俺達は、玄関で待っていた鴫さんと合流して、また山登りに来ていた。

 病院を出るなり、木戸さんから


「よし、ハイキングの続きをするか!」


 と提案されたからだ。

 香流さんが心配なこともあって俺は断りたかったけれど、鴫さんと翔真は何故か乗り気なうえ、驚いたことに晃もその意見に反対しなかった。

 そしてまた山へ戻ってきている。今度はちゃんと登山道をゆっくり歩いてくれる木戸さんが警察官よりも警察官に見えた。


「木戸さん、何か用事があったんじゃないんですか?」


 ちょっと恨めしそうに尋ねる俺に笑って、木戸さんは明るく答えた。


「あの手のタイプは親玉がいるはずなんだよなぁ」

「親玉?」

「喋れない、ただ人を喰うだけの百足が単体でこんなところに現れないんじゃないかと思って」

「恐らく、あれはエントモフィア星から来た使い魔ですね」


 木戸さんの後ろからひょこっと鴫さんが顔を出した。

 鴫さんはまるで記憶の蓋を開けるようにとんとんと指で額を叩く。


「確か昆虫が蔓延(はびこ)る異世界があったはずです。百足は見たことはありませんが、別の知能のある昆虫を見たことがあります。この分だとこの山を隠れ蓑にしてますね」

「何年前くらいに見た?」

「3年前ですかね。あの時はうちの兄さんと愛敬さんも連れて、山中走り回って楽しかったですよ」

「じゃあ、また帰ってきたのか⋯⋯」

「前は巨大ゲジゲジでしたよ」

「あ、ノートはいいです」


 俺はキッパリNOを示した。鴫さんの絵はリアルで上手い。例え絵でも巨大ゲジゲジは見たくない。


「でも、何で木戸さんが親玉を探しに来たんですか?今は怪我して動けないだけで、後で香流さんも気付きそうですけど」

「また百足を呼ばれて人里に下りるなんてことがあったら先輩が対処しなきゃならなくなるだろ。その時俺が側にいるか分かんないからさぁ」


 本当に香流さんの事が好きだなこの人。


 何かいっそ応援したくなってきた。木戸さんの株が俺の中で爆上がり中だ。と言うかあの落ち着きのないあの無策無鉄砲を見えない所でフォローできる木戸さんがすごく出来る人のように思えてきた。


「フォローが神がかってる⋯⋯」

「まぁあの人のフォローにかけては長年鍛え抜かれてるからね」


 木戸さんを見上げていた俺の脳裏に、ふっと中川さんと柳瀬さんの顔が浮かんだ。

 よく考えたらあの2人も同じ状況なら木戸さんと同じことをしそうだな。

 俺の中の木戸株の上がり幅が止まった。やっぱり木戸さんを応援するのは止めておこう。

 

(ちなみに中川と柳瀬は柚木以上に虫嫌いなので、木戸と同じ行動をするかどうかは疑問が残るところではある)


「しかしどう見つけたもんかねぇ。先輩がいれば動物達に協力を仰げたのになぁ」

「大きさも姿も分からないですもんね⋯⋯」

「とりあえず俺は上から見てみよっかな」


 木戸さんが近くの木にひょいっと飛び乗った。巨人のように大きな人なのにえらく身軽だな、と感心していたら、普通の人間のはずの鴫さんも後からそれに続く。

 地上に残された俺達は、3人で顔を見合わせた。


「じゃあ俺達は下から探そうか」

「そもそもナントカ星とか言うものを俺は知らん」

「まぁそれは確かに⋯⋯」

「ねぇ、親玉ってことは何かしらで繋がってるよね?百足の匂いを辿ってみる?」


 翔真が鼻へ人差し指を立てて提案した。

 百足の匂い。何か響きが嫌だな。俺は無言で眉根を寄せた。


「匂いがあったんだ⋯⋯」

「なんか生臭い匂いだったよ」

「感想は聞いてない」

「じゃ、手がかりもないしやってみるね」


 翔真は言うなりぽんと煙を立ててポメラニアンの姿に変わった。

 くんくんと草の合間を縫って、百足の臭いを捜索している。

 見た目が暴力的に可愛い。後ろ姿が犯罪級に可愛い。上質な毛が雑草で汚れてしまうのが忍びないくらいには可愛い。


「可愛いな⋯⋯」

「良かったな」


 俺はモフモフの幸せを噛み締める。もう百足とかどうでもいいからこのまま翔真を連れて帰れないかな。

 半ば本気で思いながら、とてとてと四つ足で歩くポメラニアンの後ろに付いて行った。



 ★★★★★


 

(木戸)


 史磨山の標高は低く、裾野(すその)もあまり広くはない。

 その割に木が生い茂っているので、生き物達は豊富に存在している。

 人に慣れない生き物は登山道へは現れない。先輩がいれば向こうから勝手に寄って来ても、今の登山道には兎1匹すら見当たらない。


「木戸さん。エントモフィア星人の敵は人よりもむしろ生き物だと思うんですよね。エントモフィア星は昆虫の世界です。山に隠れても、山鳥やタヌキなんかが餌と見なしますから」

「なるほど」

「生き物に見つからず、かつ登山道からはぐれた人を襲うのに好都合な場所を探しましょう」


 鴫が先行して木の上を移動し始めた。

 さすが黛さんの弟。先輩連れてくるより100倍頼りになる。

 黛さん、という名前にふとあんまり思い出したくない例の出来事が脳裏に浮かんだ。

 なんかよく分からない神っぽい何かが黛さんを介して話していたこと。その存在を鴫は知っているのだろうか。


 ⋯⋯いや、普通に聞けないな。


 どんな話題で切り出せばいいのかも分からない。そもそも何で鴫が俺に付いてきたのかもよく分からない。

 

 と思ったけど、それは聞けるか!


「なぁ、何で俺に付いてきたの?」

「単純に索敵の分散ですよ。あの3人には翔真くんがいるでしょう」

「あ、そっか翔真は犬か」

「むしろ親玉探しは翔真くんの方が適役でしょうね。俺も木戸さんも相手の姿かたちも分からない」


 確かに⋯⋯。


「さすが黛さんの弟」


 今度は声に出た。

 鴫はふふっと微笑む。


「香流兄さんの仇は討たないといけませんからね」

「死んでないよ?」



 ★★★★★



(夏椎)


 ふんふんと鼻を鳴らしながら前を進むポメラニアンは、とっくに登山道から外れてしまった。

 今歩いているのはさっきまで香流さんが選んで進んでいた山道だ。俺は地面のぬかるみや雑草、飛んでくる虫に怯えながら最終的に晃を盾にして進むことに決めた。

 晃の背中から翔真を見失わないように、歩幅を調整しながら歩いていく。


「帰りたい⋯⋯」

「帰ったら何がしたい?」

「ゲームしたい」


 まだ新作のホラーゲームが途中で止まっている。翔真が怖がるのでなかなか進まないのと、ポメラニアンになって俺の足の上で丸くなる翔真が可愛いのでつい焦らして進んでしまう。

 晃はすんっとした表情で画面を見て、最終的にはいつも俺を眺めている。もう見られるのも慣れた。そもそも、今思えば幼稚園時代もよく見られていたような気がする。


「楽しいな」


 晃がぽつりと零した。

 何が、と訝しげな気持ちで俺は顔を上げる。俺は何も楽しくない。けど、晃の顔を見たら少しだけ張り詰めた心が緩んだ。

 晃は再会した時より、むしろ初めて出会った頃よりも随分表情が豊かになった。

 子どもらしい顔が増えたなぁと香流さんも本人に向かって言っていた。その後すぐに怒られていたことは言うまでもないけれど、確かにその通りだと思う。

 晃の世界に色を差す人達が増えた。

 その色を受け入れて、世界を広げようとしているのが分かるから。

 嬉しいと思うんだ。それと同じくらい、俺も頑張らなきゃと思えるから。


 ブーーーン


「ぎゃあ!」


 でも虫は嫌だ!!


 何かが俺と晃の真横を通り過ぎた。大きな羽音が耳に障る。

 翔真がピタリと足を止めた。

 そして、虫の飛んで行った方へ向かって急に走り始める。


「翔真!?」

「百足と同じ匂いがする!」


 速い。来た道を逆走している。まだかろうじて姿は見えるとはいえ、このままでは引き離される。


「晃、影の中って電波ある!?」

「知らん」

「電波があるなら木戸さんに連絡出来たのに!」


 何かあの人に知らせるものはないか。

 走りながら頭を働かせる。考えるのは得意だろ。何か使えるものはないか。

 (やぶ)の中をかき分け、翔真は何かを追ってずんずん進んでいく。

 俺は走りながら、手近な木の枝を手折(たお)った。

 上手く先端を作ることが出来た。躊躇(ちゅうちょ)なく手の甲に刺そうとしたところで、晃がその手を止める。


「晃!」

「来たぞ」


 晃が首を向けて、左上部を指し示す。

 木の上を赤色が走り抜ける。木戸さんは背中に鴫さんを乗せて、真っ直ぐに翔真の元へ駆けていく。

 なんっだあの人、無駄に格好いいのムカつくなぁ!


「鴫、よろしく」

「任されました」

 

 木戸さんは背中の鴫さんを掴んで、翔真の目の前に放り投げた。

 鴫さんは緩やかに回転しながら、翔真を優しく抱きとめる。そのまま着地すると、柔和な笑みを浮かべた。


「翔真くんを受け止めるのは2度目ですね」

「か、会長!」


 身のこなしが全然違う。やっぱり、この人もただ者ではない。

 

「峰打ちぃ!」


 前方で木戸さんが短刀(たんとう)を何かに向かって振り抜いた。

 ぼとっ、と木戸さんの前で黒っぽいものが落ちた。木戸さんは30cmほどの短刀をくるくると回しながら、びしりと黒っぽい何かに刃先を突きつけた。


「百足の親玉はお前だな?」


 地面に落ちたそれを見て、木戸さんはふっと目を閉じた。俺達が遅れて駆け寄ると、木戸さんが突きつける刃先の先で黒っぽい何かはピクピクと震えている。


「いや、虫相手に峰打ちは無理があるでしょう」

「正に虫の息だな」


 それは10cmほどのカブトムシだった。

 カブトムシはすぐにガクリと息絶えてしまった。何も話さぬまま逝ってしまった哀れなカブトムシは、黒い霧となって散っていく。


「手加減って難しいんだな⋯⋯」

「思い切り振り抜いてましたよね」

「せっかく先輩への手土産にしようと思ったのにー!」


 木戸さんはがくりと膝をついた。アホなのかな、この人も。見下ろす俺と晃の瞳は冷めきっている。


「見つけた時にすぐ捕まえられれば良かったですねぇ」

「くっそー、虫かご持ってくれば良かった!」

「木戸さん達が先に見つけてたんですか?」

「頂上付近の登山道の近くで、高笑いしているカブトムシがいたもので⋯⋯」


 鴫さんが語るには、こうだ。


 

『うっはっはっはっ!人よ恐怖に(おののく)くがいい!』

 

 小さな声だったが、鴫さんは親玉と思わしきカブトムシを頂上付近で見つけた。

 見つけた瞬間、鴫さんの絵心に火がついた。ノートを取り出して近付いた瞬間、一瞬の隙に逃げ出してしまったそうだ。

 鴫さんは木戸さんの背中に乗りながらスケッチを黙々と(えが)いていた。こうして完成した絵はとてもリアルな、後ろから見た飛んでいるカブトムシだった。


 

「木戸さんすみません。俺が近付かなければ向こうは気付かなかったかも知れませんね」

「まぁ、楽しかったなら良かったじゃないの」


 木戸さんは短刀を振って消失させた。

 鴫さんはそっと翔真を地面に下ろす。翔真は元の姿に戻って、小さな声で「ありがとう⋯⋯」と頭を下げた。


「翔真くんに怪我がなくて良かったです」


 翔真を撫でながら、鴫さんは優しく微笑む。翔真は照れたようにはにかんだ。


「青春だねぇ⋯⋯」

「木戸さん、さっきのカブトムシ捕まえるつもりだったんですか?」

「証拠品として持ち帰るつもりではいたんだけど、まぁ倒しちゃったしこれはこれで良しってことにしよう」


 確かに、史磨山から巨大百足が消えたことは良いことだ。木戸さんはあっけらかんと笑って、鴫さんのリュックを持ち上げた。


「さ、スケッチも終わった事だしお昼にしようか。鴫、どこで弁当食べる?」

「じゃあ上に戻りましょうか」

「上に、戻る⋯?」


 俺はあまりの言葉に衝撃を受けた。

 せっかく下ってきたのに、まだ登ると?人の同意も得ずぞろぞろ歩いて行く体力お化けの後ろを、俺は肩を落としながらとぼとぼついて行く。

 でも、頂上で食べる香流さんのお弁当がとても美味しかったので、これがみんなが頂上へ登りたがる味か⋯!と少し登山客の気持ちが理解できたのだった。

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