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地球の果ての島の物語  作者: 亜滝紅羽
白兎事件編
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36/74

白兎事件編6(不思議な少女)

柚木のお友達と子ども達の初顔合わせです。

(夏椎)

 

 今日は珍しく校門前に誰も迎えに来ていなかった。

 翔真がふんふんと鼻をならして校門前をチェックしている。しばらく眺めていると、分かりやすく肩を落とした。


「残念だった?」

「うん、おれあの人達のこと好きだからさー」


 むす、と唇を尖らせる翔真はあーあと呟きながら警察庁への道を歩き出した。俺と晃も後に続く。

 通学路をこんなに静かに歩くのは初めてだ。

 途中、俺は晃を見上げてみた。晃は黙々と歩きながら、時々目が合っては優しく微笑みかけてくる。

 それが何だか、――もやもやする。

 何にもやもやしてるんだ、俺は。笑うことは悪いことじゃないのに。

 はぁー、と思わずため息をつく。すると、前を歩いていた翔真が急に「夏椎!晃!」と叫んだ。


「何!?」


 翔真のもとへ駆け寄ると、幼稚園の壁にもたれかかって苦しそうに息をする女の子がいる。

 肩より少し下に垂れる白髪(はくはつ)。髪色と同じ長い睫毛が頬に影を作っている。

 白いワンピースは薄汚れており、細く華奢な手足も髪と同じくらい白かった。

 そして、長いうさぎの耳が頭頂に生えている。

 翔真はオロオロしながら俺と晃を振り返った。


「ねぇ、すっごい怪我してる」


 女の子の足元には、血が流れている。

 どこからの血か分からない。俺は躊躇(ためら)わず女の子の側に寄ると、お姫様抱っこで抱え上げた。とても軽くて、今にも消えてしまいそうな儚さがぞっとする。


「翔真は香流さんに連絡して。晃、病院まで案内して」

「え、」

「そいつ、地球の人間ではなさそうだぞ」


 晃は冷酷に言い放った。

 確かに、地球人ではないのかもしれない。うさぎの耳が生えているし。背中がヌルヌルしている。恐らく背中に深い傷があるのだろう。

 でも、

 

「父さんなら絶対見捨てないよ」


 俺はキッパリと言い切った。

 俺の指針は父さんだ。それは離れている今だって変わらない。

 父さんはできるだけ人助けはしろと言った。それは俺に力があるからだ。強い者は弱い者を助ける。それが生きるものの道理であり、正義だ。息子である俺がそれを曲げるわけにはいかない。


「⋯⋯分かった」


 翔真は頷いて、スマホを操作し始める。

 晃はさっきの俺と同じようにため息をついてから、ゆっくりと歩き出した。


「晃、走る!」

「⋯⋯分かった」


 叱責(しっせき)すると、晃はしぶしぶ走り始める。

 隣の翔真も支離滅裂ながらも、一生懸命香流さんに説明してくれていた。

 


 ★★★★★



 病院へ辿り着くと、白衣を着た川崎さんが玄関の外で待ってくれていた。


「みんな、こっちへおいで」


 正面玄関ではなく、川崎さんに案内された裏口から中へ入る。ストレッチャーと救急カートだけが置かれている小さな部屋に案内された俺は、川崎さんに促されるまま女の子をストレッチャーへ下ろした。


「狭くてごめんね。今日は院長の機嫌が悪くて⋯⋯」

「あぁ、獣嫌いだもんね⋯⋯」


 翔真が苦々しく零す。川崎さんは苦笑して、白衣の看護師さんに何か指示を出した。看護師さんは救急カートを前に処置の準備を始める。


「あの⋯⋯」


 その姿を眺めながら、俺は川崎さんを見上げた。

 俺の学ランの袖を、女の子がしっかりと握っている。川崎さんはあぁ、と微笑んだ。


「安心するのかな。どうする?ここにいてもいいけど、服を置いて行く?」

「⋯⋯えっと」


 こんな時、咄嗟に言葉が出てこない。

 俺が悩んでいるうちに、次々と女の子の処置が進んでいく。看護師さんが点滴を取り、モニターを繋ぎ、川崎さんは傷口の消毒準備を始めている。

 このままでは邪魔になる。俺は慌てて学ランを脱いだ。


「外で待ってます」

「分かった。後で香流も来るって言ってたから、ロビーで待ってて」

「はい」


 何も言わない翔真と晃の手を引いて、俺は部屋を後にした。




 病院のロビーには当然、他の患者さんもいる。俺のズボンは血で汚れていて、どうしても注目を浴びてしまうので隅っこの方に3人で固まっていた。

 白いロビーの中には、あまり目立った人外のひとはいない。ソファーには赤ちゃんを抱っこした人やおばあさん達が静かに座っていた。

 時計がないので時間が分からない。翔真がソワソワと入口のドアを見つめている。しばらくして、病院の自動ドアが開いた。現れた香流さんの姿を見て、翔真は飛びつくように駆け寄る。


「悪い悪い、遅くなったな」

「香流さん!」

「遅いぃぃ!」

「他の奴らの迷惑になるから、外に出るか」


 ぽんぽんと頭を撫でてから、翔真の手を繋いで香流さんは自動ドアをくぐって行った。俺と晃も黙って後に続く。香流さんは病院の正面玄関から出ると、右手側のやや奥まった場所へ移動した。

 今日も私服姿だ。香流さんは俺を見ると、腕に下げていた何かのロゴが入った紙袋を差し出した。

 

「夏椎、お前の服を買ってきた」

「服⋯⋯」

「俺が選んだんじゃないぞ。文句ならアイツに言え」

「やぁね。アタシのせいにして」


 柔らかな口調とは対照的な低い声が香流さんの後ろから聴こえる。

 そこには、真っ青な髪をひとつに縛った、人の(ことわり)から外れたような美しい人が立っていた。

 その隣にはふわふわとした銀髪の綺麗な人が柔和な笑みを浮かべている。どちらも香流さんと同じ人ならざる整った容姿をしているけれど、香流さんがお日様の美しさなら青髪の人は氷の美しさ、銀髪の人は清廉な純白の美しさだ。


「ごめんねぇ、柚木は早く帰るって言ってたのに柳瀬が連れ回すから⋯⋯」

「本当だよ」

「仕方ないじゃない、新しいお店が出来てたんだから!」


 青い髪の人は柳瀬と言うらしい。見た目と口調は女の人なのに、声が男の人なのがすごく違和感だ。

 人見知りをしているのか、翔真がぎゅっと香流さんの腕にしがみついている。ぐりぐり頭を動かす翔真に微笑んで、香流さんは宥めるように頭を撫でた。

 まるで女神様のような笑顔がひどく安心する。緊張の糸が少しずつほどけていくようだ。


「人助け頑張ったな」


 香流さんは俺の頭も撫でてくれた。俺も翔真につられるように香流さんにしがみつく。

 香流さんといると安心する。温かい手に撫でられる感触にほっとしていると、ふと自分の血にまみれた服が目に入った。

 慌てて香流さんから離れる。香流さんは不思議そうな顔で首を傾げた。


「どうした?」

「ご、ごめんなさい。服⋯⋯」

「気にすんな。服なら山ほど買わされてる」

「あらぁ、優しい子ねぇ。どっかの誰かさんとは大違い」

「柳瀬にだけは言われたくねぇなぁ」


 香流さんは呆れ顔で言った。ふたりはどう言う関係なんだろう。香流さんと柳瀬さんを見比べる。

 パチリと目が合うと、柳瀬さんは優雅な動作で俺の目の前でしゃがみこんだ。

 長い睫毛と弧を描く唇は女の人にしか見えない。けれど、発する声は低くて、そしてどこか冷たく聴こえる。


「アタシは柳瀬。よろしくね、―――志賀龍司の息子ちゃん」

「え」


 柳瀬さんは優美な所作でウインクをした。

 柳瀬さんへ視線を向けた香流さんが、分かりやすく眉根を寄せている。


「お前、知ってたのか⋯⋯」

「やぁね。男が細かいこと気にするもんじゃないわよ」


 香流さんが銀髪の人を見上げると、銀髪の人はぶんぶん首を振った。

 それを見て、香流さんはため息をつく。


「親友だからって何でもかんでも打ち明けてると思ったら大間違いよ、香流ちゃん」

「柳瀬は隠し事が多すぎるんだよなぁ」

「あ、あの、父さんとはどう言う関係なんでしょうか」

「んー、内緒」


 にこりと柳瀬さんは微笑んだ。

 内緒、って。口を開こうとした俺の唇に、柳瀬さんはそっと指を当てる。水晶のような瞳の奥が底知れなくて、俺は口を噤んだ。


「おい、子どもを怖がらせるな」

「やだ。こんな美人捕まえてひどいわね。ま、アタシはアタシの損にならなければ敵対なんかしないわよ」


 柳瀬さんはそのまま俺の頭を撫でて、ゆっくりと手を離した。

 心臓がバクバク脈打っている。香流さんや警察の人達とは違う、明確な味方ではない大人。

 この人は、敵に回してはならない。そんな恐ろしさがある。香流さんと親しいとは思えないくらい、正反対な人だ。


「夏椎。柳瀬は性格は悪いけどいいやつだから、怖がらなくても大丈夫だぞ」

一言(ひとこと)余計なのよねぇ」

「あっちの中川の方が性格もいいし安全圏として覚えておくといい」

「えっ、あ、あぁ。中川(そら)です」


 香流さんから急に紹介されて、中川さんは狼狽しながら頭を下げた。

 俺と翔真もつられて頭を下げる。香流さんは肩を竦めると、中川さんの方へ俺達を押し出した。


「中川、夏椎の服綺麗にしてあげて」

「ん?いいよ」


 中川さんが俺の学ランに手を(かざ)すと、キラキラとした白い粒子が舞って服が綺麗になっていく。

 血の跡がすっかりなくなってしまった。すごい、魔法だ。こんな時なのについ感動してしまう。


「俺は用事があるから、このまま子ども達を頼む。『兎の目』にでも連れて行ってやってくれ」

「いいよー」

「柚ぽんは⋯?」


 翔真が不安そうに香流さんを見上げる。


「俺は用が終わったらすぐ向かうよ。なぁ柳瀬?」

「は?何でアタシ?」

「じゃ、また後でな」


 香流さんは有無を言わせずひらひらと手を振った。

 しょんぼりと肩を落とす翔真の手を引いて、中川さんは紫色の瞳を柔らかく細める。


「『兎の目』でなんか美味しいものでも食べよっか。エリックさんのパウンドケーキ美味しいよね」

「マスターのこと知ってるの⋯⋯?」

「知ってるよぉ。もちろん、君達のこともね」


 中川さんは人差し指を立てて、にっこりと微笑んだ。



 ★★★★★



(柚木)


「あんなにビクビクしちゃって。かーわいい」


 4人の姿が見えなくなると、柳瀬は堪えきれないように声を上げて笑い始めた。


「素直ないい子じゃねぇの。さすがお前の庇護してるガキ共だな」

「ガキって言っちゃダメなんだぞ」

 

 相変わらず柳瀬は口が悪い。格好いいとは思うけど、子ども達のことを悪く言うのはあんまり好きじゃない。


「またお前か!神聖な病院へ獣を運びおって!」


 いきなり、玄関口から怒号が飛んできた。

 視線を向けると、タプタプした男がこちらを指さしてふぅふぅ荒い息を吐いている。

 白衣には金糸の刺繍が入っている。派手な白衣を着ているこの男は、病院の出資者であり病院長だ。


「よぉ院長さん。獣っつったって人型なんだから病院(ここ)でいいだろ」

「あんなものは動物病院にでも連れて行け!」

「人にも動物にも失礼な言い方すんなよ」


 げんなりする。いつもいつも用があるのは賢吾なのにいちいち絡んでくるんだよなぁ。

 夏椎が俺に血を付けてくれたのは好都合だ。怪我人を運び込んだのを俺のせいに出来る。院長は子ども嫌いでも有名だし、俺は慣れてるけど子ども達が怒鳴られるのは可哀想だもんな。


「さっさとあの獣を連れて出ていけ!」

「賢吾がそうしろって言ったらな」

「院長は私だぞ!」

「―――あら、ビリオンさん?」


 いつの間にか髪をほどいて、青髪を下ろした柳瀬がしれっと俺の影から院長の視界に入ってきた。

 さっきまでとは違って、声が高くなって背も低くなっている。邪魔そうな胸を腕で支えながら微笑む柳瀬は、見た目はすっかり女の人そのものだ。

 柳瀬を見た院長の口がへの字に閉じられた。さっきまでの偉そうな様子は鳴りを潜めて、オドオドしている。丸い体が一回り小さく見えた。


「あ、あぁ⋯⋯。どうも」


 院長はもごもごと何か言いたそうに俺と柳瀬を見比べている。上手く言葉が紡げない様子に、柳瀬が微笑みながら助け舟を出した。


「道に迷っていたのをお巡りさんに助けてもらったんですよ」


 柳瀬から飛び出す見たことの無い笑顔に思わず背筋がぞっとする。

 柳瀬なのに柳瀬じゃないみたいだ。仕掛けておいてなんだけど、俺もぽかんとしてしまう。柳瀬が院長の見えない角度で俺の腕をつねってきた。普通に痛い。


「その⋯⋯お仕事中の姿を一目見たくて。お忙しい時にすみません⋯⋯」

「あぁ!そうだったのですねアカリさん!」


 アカリさん?柳瀬のお店の名前かな?


 2人の関係はあんまり詳しく知らないけど、邪魔しない方が良さそうなので俺は一歩下がった。そもそも院長はもう俺の事なんか見ていない。背の縮んだ柳瀬越しに見る院長は分かりやすく目がハートになっている。


「いつもは優しいあなたが、声を荒らげるなんて驚きました⋯⋯。何かあったんですか?」


 ちら、と柳瀬が俺を見上げてくる。話を合わせろってことかな。

 

「たぶん、俺が獣人を運んだから他の患者に危害を加えられると思ったんじゃねぇの?」

「まぁ、患者さんのためにあんなに怒れるんですね。意外な一面を見ました」

「あぁ、その⋯⋯いやぁ〜」


 院長が鼻の下を伸ばして頭をかいている。柳瀬はそんな院長の胸元に手を伸ばすと、ゆっくりともたれかかった。


「お優しいビリオンさん、いつも患者さん達のためにありがとうございます。運び込まれた獣人さんも、危険を顧みず受け入れてあげたのですね」

「も、もちろんです!危険がないと分かれば誠心誠意保護させていただきますよ!」

「うふふ。勇敢なお人」


 柳瀬は院長の手を添えるように握る。柳瀬の顔は見えないけど、院長が幸せそうだから多分ニコニコしてんだろうな。


「お仕事の邪魔してすみません。一目お会いできて私は幸せです。お仕事頑張って下さいね、院長先生」

「は、はい!アカリさんのために働いて来ますよ!」

「ふふ。またお店でお会い出来るのを待っていますね」

「もちろんです!」


 院長はとってもいい笑顔で叫ぶように言うと、踵を返して病院内へ戻って行った。

 その姿が見えなくなってから、俺は思わず拍手を送る。柳瀬はじとりとした目で俺を睨んできた。


「てめぇ、俺を使うなんて随分偉くなったじゃねぇか」

「柳瀬なら何とかしてくれるって信じてた!」

「ったく。何であの狸親父がうちの常連だって知ってんだよ」

「愛敬から聞いてたよ。すごい熱の入れようだって笑いながら言ってた」


 はぁー、と深いため息をつく柳瀬に向かって、俺は手のひらを向ける。柳瀬は唇を尖らせながらも手を合わせてくれた。


「アンタ、これを狙ってアタシを連れて来たのね。してやられたわ」

「俺だって頭使って仕事してるからな!」

「⋯⋯ご立派なこと」


 柳瀬は腰元から扇子を取り出すと、ひらりと扇いだ。

 その瞬間、柳瀬が元の男の姿に戻る。近くなった視線で、柳瀬は俺に顔を近付けてにやりと微笑んだ。


「アタシのカラダは高いわよ?」

「現世行きに付き合ってやったじゃねぇか」

「やだ。それで済まそうなんて甘いわね」


 柳瀬は俺の頬に触れて、優しくつまんできた。


「ま、親友だから今日は勘弁してやるわ」


 柳瀬は後ろ手でパチンと扇子を閉じる。その所作が様になっていて、やっぱり柳瀬は格好いい。


「それに今日は気分もいいしねぇ〜」

「もうしばらく現世には行かないからな」

「嫌よ。嫌がる柚木を連れ回すのが楽しいのに」

「あのなぁ⋯」

「香流、そこにいたのか」


 俺が反論しようとした瞬間、賢吾の声が聴こえた。

 賢吾は俺と柳瀬を見て、こちらへ歩いてくる。紺色の服を着ている賢吾は俺達の前に立つと、柳瀬に向かって軽く頭を下げた。


「柳瀬、久しぶり」

「あら生徒会長。お元気?」

「生徒会長⋯⋯。また何年前の話を出してくるんだ」


 賢吾が生徒会長をしてたのは高校生の時だったから、8年前くらいかな?

 そういえば柳瀬は高校生の時、賢吾のことをずっと生徒会長って呼んでたな。高校卒業してからみんなで会うことは少なくなったけど、まだその呼び方してたのか。

 

「賢吾、柳瀬が院長を説得してくれたんだよ」

「あぁ、珍しく獣人を入院させるって上機嫌だったのはそれか」

「うふふ。うちの上得意様にちょっとお願いしただけよ」


 ひら、と手のひらを振って柳瀬は俺達から背を向けた。


「柳瀬?」

「あの様子だとあの人今日も来そうだからアタシは帰るわ。今日は柚木に連れ回されて疲れちゃった」

「連れ回したのはどっちだよ」

「柚木」


 柳瀬はパチンとウインクをした。


「アンタはまだお子ちゃまなんだから、うちのお店に興味持っちゃダメよ♡」


 爆弾発言をして、柳瀬は軽やかに去っていく。

 言われなくても興味は持ってない。でも、柳瀬の店のことを知ってることを賢吾に知られたくはなかった。

 絶対変な心配する。ほら、やっぱり賢吾の顔が険しくなってる!


「⋯⋯香流、何の話をしてたの?」

「言いたくない!」

「余計な知識吹き込まれてない?友達とはいえ、嫌だったら嫌って言っていいんだよ。もうお互い大人なんだから無理して話を合わせなくても⋯⋯」

「大丈夫だから、森谷には絶対に言うなよ!」


 あーもうめんどくさいことになった!柳瀬のバカ!俺の家族にそういう話は振って欲しくなかったのに!


「もうこの話はおしまい!今は怪我した獣人の方が大事!」

「香流、本当に大丈夫なの?」

「だから、大丈夫!」


 俺は賢吾の背中を押しながら、この話を強制終了させるために声をあげた。

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