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戦う者と逃げる者 (Ⅵ)

頭より先に体が動き赤屋は後ろにのけ反らした。しかし、バランスを崩してしまった。

対して陸堂は左足で重心を取り右足で赤屋の脇腹に回し蹴りをしてきた。

脇に入ってきた足を赤屋は両手で持ったナイフで何とか防いだ。

しかし、そのまま3メートルほど真横に吹っ飛んでしまった。


「今、自分から吹っ飛んだな?」


体を赤屋の方に向けて陸堂は話しかけた。


「そう、だ。ハァハァー。そうでもしないと脇腹が砕けていた。ナイフもこの通りひびがいっている」


荒い息を吐きながら片手でナイフを持ち陸堂に見せつけた。そして手にナイフを指し、体に取り入れた。


「お前の能力は、下半身強化といったところか。常人ではありえないその力」


赤屋は片手で陸堂の足に指を指した。


「まーそんなところだな。・・・次は目潰しで済まないぞ」


陸堂は下半身に力を入れ一気に赤屋との距離を縮めた。

勢いに任せて握った拳を赤屋に向けたが、赤屋は横に飛んでいた。


「二度も同じ手がきくと思うな!」


力よく握った拳が陸堂の顔に当たった。

しかし、彼は吹っ飛ばない。赤屋の拳が刺さった状態で片手を使い彼の頭を掴み、地面に無理やりひざまつかせた。

「ッグ・・・」と地面に顔を付けていた赤屋の頭上には陸堂の足があった。


「死ね」


陸堂はそれだけ言うと思い切り赤屋の頭にかかと落としをした。




--京都市某所--




カーテンから月明かりが入っておりそれしかこの部屋に光はなかった。

勉強机、本棚、クローゼット、ベットと何処にでもあるような部屋だった。

少しおかしいのはベットの上で三角座りをして顔を腕の中に隠している少年だろう。


『相談しあうのが友達にきまってるだろー』


「黙れ・・・」


少年はポツリと呟いた。


『私たちはずっとあなたの味方よ』


「黙れ・・」


またポツリと呟いた。

少年以外誰もいないはずなのに彼は何かを怖がっていた。


『ずっと、     のこと好きだか---』



「黙れ!!!」



声と同時に少年は左手を思い切り本棚に向けた。

瞬間、バキっと音が鳴り本棚からバラバラと本が崩れ落ちてきた。

右手で片目を隠し少年は落ちている本に目をいかせた。


「ハァーハァーハァーハァー・・・ウウウ・・・」


少年は小刻みに震えベットの上にあるハサミを掴んだ。

しばらく握っているハサミを見て、ゆっくりハサミを上にあげた。



自分の片方の手に狙いを定めて。



手が震えそれでも自分の手に向かってハサミを刺そうとしたが、寸前で止めてしまった。

刺せなかった。刺す勇気もなかった。

ゆっくりと手からハサミは離れ、ストンと虚しくベットの上に落ちた。

そして少年はまたポツリと呟いた。









「死にたい」









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