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戦う者と逃げる者 (Ⅶ)

ギンっと金属と何かがぶつかり合う音が響いた。


「ん?耐えたか?」


陸堂の足元―――赤屋は両手に握った二つのナイフでどうにか陸堂の攻撃を耐え抜いた。

ギチギチの小刻みにナイフは震え、赤屋が少しでも力を抜くと頭を破壊されそうだ。


「こんなところで死ねないんだ」


ポツリと赤屋は呟いた。

両手に入っていた力はさらに増大された。地面につけていた体は徐々に起き上がる。


「ああああああああ!!」


叫び声とともに陸堂の体は吹っ飛ばされた。

空中で態勢を整えたが勢いは止まらず地面に足を着いたままズズッと陸堂は後退した。


(あの姿勢からのあの力・・・火事場の馬鹿力か?)


力では陸堂が勝っている、そのはずだ。しかし、今はどう考えても赤屋の方が勝っていた。

しかし当の本人はそんな事は気にせずにまたナイフを手の中に入れていた。


「どうした?妙に力が弱くなってないか?」


少し余裕の顔を陸堂に向けた。その顔は陸堂をイラつかせ赤屋に対しての疑問は消えていた。

作戦通り、とはいかない。どちらにしても陸堂はもう待ってくれないだろう。


ズキズキ痛む頭と止まらない荒い息。


力の使いすぎ。赤屋自身がよく分かっていた。周りにある鉄を変える事は体に影響はないが自分自身の血液をそう何度も使っていると貧血になることぐらい。


(何か血液の変わりになるものはないのか。鉄、鉄、鉄・・・。!!)


何かを見つけた赤屋は陸堂とは反対方向―――アパートの方に体を向けて走った。

陸堂からすると訳が分からない。逃げるにしてもなぜアパートの方に向かうのか。そもそも、背中を向けるのは攻撃してくださいと言ってるものだ。

しかし、そんな事を考えてる前にさっさと倒して本部に戻りたい陸堂のとる行動は一つだった。


「そろそろ死んでくれ」


走り出した陸堂は勢いに乗り赤屋に飛び蹴りをする。同時にアパートの壁まで走った赤屋は体を再び陸堂に向けたがその顔に焦りはない。

それにすら気付かない陸堂は愚か者かもしれない。


「その足、頂いた」


声と同時に赤屋は左右に立っている、アパートの柱に手をついた。

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