第2話 選んだ理由、救う理由
テラは俺を見つめながら話した。
「それで理由なんだけど、分からないんだ」
「分からない?適当に選んだって訳か?」
俺の言葉に、テラは首を横に振った。
「適当とかじゃないさ。選ばれる人は、僕と強く共振する事によって選ばれるんだ」
「共振……俺とテラには何か一致する事があるって訳か」
「そういう事だね。だから君と共振した瞬間に決めたんだ。この人に世界を救ってもらおうって」
「世界を救うって、もしかして魔王とかが平和を脅かしてるのか?」
俺は薄々と感じていた。
ちょっとした期待と緊張を隠し、テラにそう聞くと、暗い表情でテラは答えた。
「それだったら良いんだけどね。でもそんな単純な事じゃないさ」
テラは話し始めた。
「この世界は、元々僕たち『ガイア』が治めていたんだ。とても平和で、争いもなく、誰もが仲良く暮らせる世界だった」
その瞬間、強い風が辺りを通っていった。
草木は大きく揺れ、ガサガサと大きな音を鳴らしていった。
そしてテラはゆっくりと息を吐き、続けた。
「でも幸せは続かなかった。『アストラ』が人間達に、伝染病を流行らせたんだ」
「それはどうしてなんだ……?いきなり過ぎないか?」
「理由は単純さ。彼らは急速に発展していく人類達に対して恐怖心を抱いていたんだ」
「でも相手は神様なんだろ?どうして人類に恐怖心を抱くんだ。神様なら、魔法とかなんかで──」
「それを凌駕する可能性があったんだ」
テラは俺の言葉を遮り、話した。
「僕たち『ガイア』は、人類を大切な我が子として見守っていたんだ。そして魔法や技術、知識を分け与えると、みるみると成長し始めたんだ」
「それで、『アストラ』は、神殺しが起きないように、先に手を打ったって訳か」
「理解が早くて助かるよ」
そしてテラはゆっくりと立ち上がり、俺に近づいた。
瞳の色は青い、ラピスラズリのような美しさだったが、どこか虚ろげな瞳だった。
「そして聖戦が始まった。沢山戦ったさ、仲間になってくれた人類とも一緒に。僕たちの平和を、自由を勝ち取るために戦ったんだ」
── 彼女の手が、次第に震え始めた。
「裏切り者現れ始めた。『ガイア』の神を一人ひとり陥れていった」
── 彼女の瞳から一雫の涙が溢れると、空からもポツポツと雫が落ちてきた。
「そして封印されたり、殺されていった」
── 彼女は震える手で、涙を拭き取った。
「残されたのは僕だけさ」
── 彼女は無理やり笑っていた。
「ねえ、レン?」
「なんだ……?」
テラはゆっくりと俺を抱きしめた。
「頼れる人が君しか居ないんだ。ずっと一人ぼっちで、話し相手も居なかった。でもある日、強くお願いしたんだ」
テラは俺を抱きしめながら、俺の顔を覗いた。
「そしたら君の姿が出てきたんだ。強く共振していた。理由は分からない。けれども、僕にとっては英雄に見えたんだ。この人なら世界を、僕を救ってくれるって」
そしてテラは我慢していた涙を溢れさせ、訴えた。
「お願い、僕と一緒に世界を救って──」
俺はゆっくりと、テラを抱きしめ返した。
震えるテラを、落ち着かせるように。
「ああ、分かったよ。だからそんなメソメソ泣くな」
テラは顔を上げ、俺を見つめた。
「本当……?僕を助けてくれるの……?」
「勿論だ。だから男がメソメソ泣くな!ほら、心を強く持て!」
俺はテラの胸に手をおいた。
だが、その瞬間にテラの様子がおかしくなった。
「な……な……?!」
「ん?どうしたんだ?もしかしてここが痛むのか?」
テラの胸をさすった瞬間、テラは俺の体を突き放した。
「ど、どこを触ってるんだい!まさか……言葉巧みに、僕の体が目当てで……!」
「何がだよ!男同士触れてもそんな──」
その瞬間、テラは叫んだ。
「僕は女の子だ!!!!!!」




