第4話 この状況をこたえてちょーだい?! 前編
結婚式にお相手のハーレムが誰も来なかった屈辱、
魔王を倒し世界を救った勇者がさらし者になった経緯、
その詳細を女神ラウラ様から聞く、デザートのゼリーを食べ尽くした直後に。
「まずは女騎士ポーラですが」
「うん騎士団の、めっちゃかっこいいお姉様」
「元々、騎士団長に淡い恋心を持っていたそうで」
ちらっと聞いた気はする、
本人からも初恋の相手だとか、
でも踏み込んだ話をしようとしたら逃げらったっけ。
(他のメンバーから聞いた話、相当モテて女をとっかえひっかえだとか)
なので特定の嫁は作らないで、
あまりにやり過ぎて男に刺されそうになったりもするも、
全て返り討ちにしたって伝説? がある騎士団長、イケオジだった。
「でもポーラ、俺と結婚して強い子供を作りたいって」
「ギルマスのパルムが『今ならポーラを奪える、騎士団長以上の立場になれる』と唆したようで」
「つまり自分の格を上げるために」「魔王討伐の勲章を持つポーラさんを、まるでトロフィーかのように」「ひでえ」
まあそれで奪われる俺も俺なのかも。
「ポーラさんの方にも、もう平和になったのだからと」
「あっそこで女神の言葉だ」「自由にして良いとは言いましたが、それは決してカイト様と別れて良いという意味では」
「うん、言葉選びを間違っちゃったかもね」「魔王を倒して、もうすっかり皆さんと結ばれるものだと、その前提での」
女神ラウラ様のミスっちゃあミスだね、
僕だってすっかり油断していた、魔王を倒して、
自動的にハーレムと結婚できるものだと思い込んでいた。
(いや、約束はそのはずだったんだけどね)
それでもまさか、全員来ないとは。
「続いて冒険者アンナに入れ知恵したのもパルムでした」
「いったいどんな」「結婚の約束は籍を入れるだけで良いのではと」
「良くないに決まっているだろう……」「他のみんながきっと幸せにしてくれるから、それで約束は果たされると」
あっつまりそういうこと?
各個人に『他のみんなが居るから1人くらい抜けても』と、
それで結果的に全員が抜けるとか、それはもう俺に原因があるのでは。
(ということにしておこう)
でも魔王を倒した時、
冒険者はもういいかなって言ってた気が、
いや倒す前だっけ、あの子、言う事コロコロ変わる気分屋な面もあったけど。
「結局、僕より冒険者を選んだのか」
「どうやらカイト様の所へはいつでも戻れるけど、
結婚したらもう冒険はおそらく無理、なので今のうちに籍だけ入れて、でも待たせるのは悪いので表向きは絶縁という形を取っては、と」
入籍しておいて絶縁とか嫌がらせにも程がある、
提案したギルマスもアレだが、それに乗る方も駄目過ぎるだろう、
しかも結婚式当日になってとか、悪意しか感じない、まあ、そういう子だったのだろう。
(これは女神様のチョイスが間違った?)
いや魔王討伐の戦力編成としては、
能力的には女性でトップ冒険者だろうから、
恋愛面に関しては俺も6年で何とかするべきだった。
「上手く行ってたと思ってたんだけどなあ俺との関係」
「少なくとも魔王討伐までは、問題なかったと思うわ」
「うー、心が痛い、ええっと次は、ってお水飲ませて」
まーた涙が出そう。
「ハーフエルフのキャロル様ですが」
「うん、ハーフエルフっていうのがずっとコンプレックスだったみたいで」
「魔王を討伐すればエルフ王に認められると頑張っていた、その心理をパルムが利用したようです」
だからって、
あっちへ嫁に行かなくても!
「結局は人間よりエルフの方が好きだったのかキャロルは」
「まずエルフ王に手紙で働きかけたのはパルムですね、その後、キャロルへ」
「エルフ王も自分の格上げのために、ってエルフ王にラウラ様から話は」「もちろん6年前に、ただ……その」
言葉に詰まる女神様。
「何か問題でも」
「極端に言うと信仰対象が女神では無いので、私を人間の延長にしか見ていないようで」
「あー、だから約束を破っても平気だと」「そのあたりもパルムの入れ知恵があったのでしょう」
あの女ギルマス、
裏で暗躍していったい何をやってくれているんだ、
よっぽど恨まれるようなことでもしたんだろうか俺?!
「でも結婚式の前に相談してくれても」
「これもパルムが言っていたのですが、人間の結婚相手はカイト様、エルフの結婚相手は、と分けるのはどうかと」
「でもエルフの森に嫁入りしたら、もう出てこれなくなるんですよね?」「はい、そのうえで」「これまた俺とは籍だけか」
形だけの結婚式すら嫌だったのか、
これはもう俺は泣くしかないな、うん、
反省のために、残りのケースもしっかりと聞こう。




