第2話 屋敷に戻っても誰も居ないって、ど~なってるの?!
「ただいまぁー……」
まさかこんな早い時間に、
1人で戻る事になるとは思わなかった勇者屋敷、
王都の一等地に建てられた、俺とハーレムのための豪邸だ。
(シーンとしている……)
今朝まではまだ各ハーレムのメイドがそこそこ居て世話してくれた、
王宮から、教会から、冒険者見習いや元冒険者のメイド、ハーフエルフ、
魔法教会、たまーに妖精も来てなんだかよくわからないが手伝ってくれてたらしい。
「誰かー、誰もいないのー?!」
ほんっとうに誰も居ないな、
各ハーレムの部屋は、って鍵が開いてら、
そして中は綺麗さっぱり、クローゼットは……
(あっ、俺が以前、アンナに買ってあげた私服だ)
喜んでいたんだけどなあ、
ここへ置いて行くってことは、
よっぽど騎士団長が好きだったか、それとも……
「そうだ、お昼の時間だし、食堂へ行けば」
なんとなく良い匂いもしている、
入って行くと……あったあった昼食だ、
すでに並べてある、うん、俺の分だけ!
(奥のキッチンにも人は、メイドは居ない)
今朝の内に、
俺が教会へ行っている間に用意だけしてくれたのか、
食べ終わった所で片付ける人は……居なさそうだな多分。
「本当に、誰も居ないのー?!」
大きな屋敷、そりゃそうだ、
奥さん5人の予定だったんだ、
将来の大家族に向けて、かなり部屋がある。
(……どこを探しても、ほんっとうに、誰も居ない!!)
書置きひとつすら無いってどういうことだよ、
みんな結構、俺のために……とはいえみんな、
それぞれのハーレムのお付きメイドだったからな、俺はついで。
「駄目だ、また涙が……」
掃除当番表みたいなのも剥がされている、
いやほんっとにみんなの私物ほとんどないな、
あっても俺があげたものばかり、そりゃあ泣くよ!
(仕方ない、昼食をいただこう)
って量が多いな夕食兼用か?
温かいものは無いな、スープも冷製、
仕方ない、泣きながらパンをモキュモキュと食べよう。
「いただきまぁ~す……」
僕以外の席を見回す、
うん居ないね、昨日もだったけど、
でも1日だけなら、だなんて思ってたんだよなあ。
(それが、こんなことになるなんて……)
大きなお屋敷に俺たった1人、
ハーレムどころかメイドも妖精も居ない、
この状況で新たにハーレムを作れとか言われても……
「まあ、元々は用意されたものだし」
でも6年間、みんなほんっとに良くしてくれた、
だけど今にして思えば『結婚式までは』ということで、
キスひとつしてくれなかったんだよなあ、それが頑張れた一因でもあったんだけど。
(嫌われていたのなら、理由を、原因を知りたい)
そうしないと前へ進めない、
勇者としてこの世界を平和にするため、
魔王を倒すことだけに集中してきた俺の、これからの人生のために。
「もう、どうせ元の世界へは戻れないんだし……」
6年も経ったんだ、
それに女神様も俺がこっちの世界へ馴染めば馴染むほど、
元の世界の記憶は薄れて行くと言っていた、10年も経てば完全に、と。
(うーん、あの結婚式、無かったことに出来るかなあ)
ていうか、さすがに女神様に文句を言っても良いよね?
まあ俺の愛情が足りなかったとか、本当に何もしないで手に入ると思ったの?
とか言われたらぐうの音も出ないが、でも約束は約束だ、かといって今更になって
『新しいハーレムを連れてきたわ、ハーレム3銃士よ』
とか言って来られてもなあ、
はっきり言ってあのハーレム5人には思い入れがある、
それどころか、もうすっかり結婚する気でいて、舞い上がっていた。
(さてさてどうしよう、いやこれ、本当にどうしよう)
惨めな俺、
あっパンがしょっぱい、
これ俺の涙か、お水を飲む……
「温かい紅茶が恋しい……」
こういう時、
メイドより先にささっと、
ハーレムの誰かが淹れてくれたりもしてたな。
(一体全体、ほんとうに……ど~なってるの?!)
と思っていたら、
食べているテーブルの正面に、
空間からぬっ、と熟女が現れた、そう、女神ラウラ様だ。
「あの女神様、っていきなり土下座しないでー!!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、ごめんなさあああああいっ!!!」
結局、どういうことなんだろうか。




