第1話 結婚式に誰も来ないって、ど~なってるの?!
「ええっと、もう時間はとっくに過ぎているのに、誰も来ないんですが……ど~なってるの?!」
場所は異世界の王都大教会、ここへ15歳の身体を貰って転生? 転移?
してきた俺カイトこと、元の名前なんだっけまあいいや、とにかく6年かけて、
仲間の女性たちと一緒に魔王を倒し、この世界を平和にした、今日はそのある意味、ご褒美の日。
(ハーレムパーティー全員と、結婚式……のはずなんだが)
一緒に戦った5人の仲間、
みんな俺に好意を向けていてくれていた、
はずだったのだが、いったいどうしたのだろうか。
(サプライズで何かするにしても、時間がかかり過ぎだろう……)
ひょっとしてアイツか、ふざけて『あたしも結婚してあげても良いわよ』とか言っていた、
妖精メアリが急遽参加することになって、わざわざ細かい花嫁衣装を細工しているとか?
でもアイツ、1日に2時間だけなら人間体になれたはず、普通の大きいセクシーな身体に……
「カイト殿」
「あっ神父さん、良かった戻ってきてくれて、どうでした?」
「今から説明があるそうです」「えっ、説明って何の、誰が」「いらしたようです」
バタンッと教会の扉が開く、
入ってきたのは5人の花嫁、
ではなく冒険者ギルドマスターの眼鏡熟女だった。
「勇者カイト様」
「あっはいパルムさん、あの、花嫁は」
「1人1人ご説明致しますね」「なっ、何かあったんですか?!」
俺は息を呑んだ。
「まずは騎士団から派遣されていた女剣士ポーラ様」「はい」
「憧れだった騎士団長様にプロポーズされたので、そちらを選ぶそうです」
「えええええ」「ですのでごめんなさいと、すでに新婚旅行に出発されました」
いやそんな、僕との結婚は王命でもあったはずなのに!
「続いて元冒険者の戦士アンナ様」「はい」
「さんざん迷ったあげく、やはり自由な冒険者が良いと」「えええ」
「籍は勝手に入れて良いものの、もう2度と会う事は無いでしょう、とのことです」
酷い、酷過ぎる、
人を何だと思っているんだ。
「弓使いでハーフエルフのキャロル様」「はい」
「今回の魔王討伐によりエルフの王が42番目の妻として迎え入れると」「そんな」
「エルフの森へは人間やハーフエルフは1度入ると、二度と外へは出てはいけない掟だそうで、もうすでに」
いやいやいや話が違う!
確かに魔王を倒せばエルフとしても認めて貰える、
とか言っていたけどそんな、花嫁衣装はエルフっぽくするとか楽しそうに言ってたのに!!
「それと聖女ぺトラ様なのですが」「はい」
「昨日になって大司教様がお告げを賜り、公爵家の坊ちゃんと結婚するようにと」
「いやそのお告げってどこから」「とにかく彼女に拒否権は無いので、もう昨夜のうちに嫁がれました、ええ、すでに結ばれたそうです」
そんな寝取られ報告まで!!
「最後に魔法使いバルバラ様」「はい」
「文通相手が魔法使いの名家だったことが判明し、魔法使いの血筋を強くするためその彼の家に行くと」
「そんな今更」「昨日の朝、早馬で行かれたので今頃は顔合わせをしているか、もしくは彼の部屋で」「やめてー!」
思わず女の子みたいな声を出しちゃった。
「そうそう、これはおまけですが」「はい」
「魔王討伐に同行された妖精メアリ様ですが、お話を伺ったところ」「はあ」
「あたしが人間と結婚なんかする訳ないじゃないのばっかじゃないの? だそうです」「ひでえ」
人間姿で誘惑とかしてきてたのは、
単にからかって遊んでただけで本気じゃなかったってことか、
妖精にまで振られて、これで結婚式には誰も来ない事が確定した、と。
「なのでカイト様」「はい」
「解散ですね」「で、俺はこれから」
「知りません」「えええ」「勇者でしょう、モテモテなのでは?」
そんなこと言われましても……
あれ、なんだろ、涙がぼろぼろ出てきた、
せっかく異世界に来て、必死で6年もかけて魔王を倒したのに……
(その結果がこれとか、あまりに酷い仕打ちだぁ……)
膝から崩れ落ちる俺、
嘘だと言ってくれ、悪い冗談だと……
俺って、そんなに嫌われるような事、したかなあ……???
『ちょっと、どういうことなのよーーー?!?!』
教会内に響き渡る声、
そして浮かび上がった女神様、
そう、彼女こそが俺をこの世界へ連れてきた張本人、いや、張本神……!!
(この異世界で一番偉い神様、のはず!)
その証拠にか、みんなひれ伏している、
神父様も、ギャラリーも、冒険者ギルドマスターも、
僕は見上げながら、そのお綺麗な熟女の女神に文句を言う。
「それはこっちの台詞ですよ、女神ラウラ様」
「話が違うじゃないのよ、私、色々と言ったわよみんなに?!」
「ですよね、約束では素敵な仲間となるハーレムと結婚できるって」
それに釣られてこの異世界へやってきた。
「そこのお前!」「わ、私でしょうか」
「確かパルムだったわね、詳しく話を聞かせなさいっ!!」
「は、はいっ、その、詳しくと申しますと」「カイトさんは一旦、屋敷に戻ってて」「あっはい」
……それは良いけど、
俺のハーレムの約束は、
一体、ど~なっちゃうの?!
(勇者の屋敷へ戻って、整理しよう)
そして思う存分、泣きたい。




