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千代子は湯浴みを手伝うと言う侍女達を必死の説得で下がらせた。
日本のお風呂と違い、湯をためた桶があるばかりである。
タオルを湯に浸して絞ってから体をふく。湯船に浸かれないので疲れが抜ける気もしないが、小学校の友達には家にお風呂がない子が多かったな、などと昔のことが懐かしく思い出される。
念入りに足の指を拭いてから湯桶に両足を浸すと、じんわりとした温かさが気持ちをホッとさせてくれた。
とにかく今日は色んなことがありすぎて疲れてしまった。
自分がいなくなって、家はどうしているだろうかと思うものの実感もわかない。
千代子は結婚していないが、弟の孫が家を継いで同居している。といっても、家屋は別なので敷地内同居というやつである。
仕事以外では過度に干渉しないように気を付けている。最近の嫁は昔と違って個人の意識が強いのだ。
とはいえ、不仲というわけでもない。
仲良くやるコツは、付かず離れず。これは千代子が祖母から教えてもらったことでもある。
それにハナコは孫家族のアイドルでもある。
さすがに帰らないと気付くだろうな、警察に届け出るかもしれない。心配をかけてしまうなあ。
千代子はそれが気がかりだった。
この見知らぬ世界に来たことについては、不思議と違和感がなくすぐに慣れてしまった。
それになんとなく懐かしい気もする。
子ども時代、まだ物がなかった時と同じ空気感を感じるのかもしれない。
助けて欲しいと言っていたがまずは雨乞いでもすればいいのだろうか?
自分が何かしたところで状況が変わるとも思えないが……。
とりあえず全ては明日考えよ。
千代子はそう考えると、ハナコを布団に入れて眠りについた。




