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翌朝。


いつもより早く目が覚めてしまった千代子は、窓の外を見ていた。

ほとんど何も見えないほど降っている。

「こんなの台風みたいよね、それが3ヶ月も……」


豪雨被害は何度もテレビで見ている。

堤防が決壊して家が流されたり、斜面の家ごと流されるような土砂崩れも全て雨が原因だった。


千代子の近所の川も、40年ほど前までは大雨のたびに氾濫していた。

治水工事が進み地下に巨大な貯水槽ができてから、大雨でも被害が出ないようになったのだ。


「今のこことは状況が違うけれど、そういうものがあれば少しはマシになるのかもしれないわね」


朝食をとり、ハナコをルオンに預けると支度に向かう。

着付けをし、髪を整え化粧をする。

「この年でこんな真っ赤な紅をまた引くとはね」

と思いながら、やはり身支度を整えると気持ちも引き締まってくるのを感じる。

舞の間の小道具の受け渡し役はアンナだ。ギリギリまでどこで何を渡すか確認しあう。


「準備できていましたらお願いします」


いよいよ呼ばれた。

大きく深呼吸した。


久しぶりの神楽舞だが、必ず成功させる。

千代子は清らかな心持ちで神楽殿に向かった。

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