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神楽殿は王宮のバルコニーに作られることになったのだが、とにかくすごい豪雨のためまずは仮説の屋根から作らなければならなかった。
それも突風で一度は壊れて作り直しが必要だった。
火の扱いが心配だったが、それは魔法で結界を張って風雨を凌ぐということで落ち着いた。
建記を参考に、ネルソンが指揮をとって神楽殿は作られた。
トネリコの枝が四方に立てられ、そこにしめ縄が渡され、お供物も準備された。
「ネルソン君、なんかすごいものが出来ちゃったね」
アースラン王がワクワクした顔で言う。
「このネルソン、必ずこの儀式を成功させたく、全身全霊をかけて準備しております」
相当期待されてしまっているが大丈夫だろうか、と千代子には不安がよぎる。
確かに雨乞い舞や晴れ乞い舞をしたあと、天気が変わる確率は高かったが必ずではない。
体感では6〜7割の成就率というところだろうか。
「必ず成功するとは限らないですからね」
千代子はそっとネルソンに伝えたが、「いやなに、大丈夫でしょう」とずいぶん楽観的な返事が返ってきたのでため息をついてしまった。
準備の様子を、アースランだけでなくハディントンも見に来ていた。
「おばあさん、晴れ乞い舞が成功するか不安かね?」
ネルソンとの様子を見ていたのだろう、ハディントンが声をかけてきた。
「ええ、まあ。神頼みですからね」
「ここはあんたの元いたところとは違って不思議な力が働く。まあ十中八九、成功すると思うぞ」
「そうだといいんですけど……」
「ところで」ピシャッドーーン!!!
ハディントンが何か言いかけた時、また大きな雷が近くに落ちた。
「きゃー!」
千代子は思わずしゃがみこむ。
「大丈夫だ、落ちたが被害はないしどこも燃えてない」
ハディントンが千代子の肩を抱くようにかばってくれる。
「あら、すみませんね……」
「いや、こちらこそ失礼した。一応レディだからな」
「一応とはどういう意味ですか、失礼ね」
千代子は笑いながら立ち上がった。
しかしハディントンはなかなか立ち上がらない。
「どうしましたか?」
「いや、腰がな……イタタ」
「あら大変」
「陛下、失礼します」
サッとハディントンの付き人が腰を支えて立ち上がらせる。
「あー寄る年波には勝てんわい」
腰を叩きながらそういうハディントンが、誰かに似ているような気が千代子にはした。
「準備は整ったな。明日10時から儀式を執り行うこととする。皆、よろしく頼むぞ」
アースランが厳かな声で伝えると、その場にいた全員が「御意!」と答えた。




