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翌日から千代子は舞の練習を始めた。
まずは魔導師に癒し魔法をかけてもらう。劇的に良くなるわけではないが、それでも肩は動かしやすくなる。
魔法というからにはあっという間に病気を治したりできるのかと思ったが、そこまでではなく、「良く効く副作用のない薬」のような役割らしい。
なので、ケガでも病気でも薬と魔法はセットで使うことが多いようだ。
肩が動くようになったら丁寧にラジオ体操をする。
最初、千代子がアカペラでラジオ体操の曲を歌っていたら、音楽部の団員を1人アンナが手配してくれたので、優雅なバイオリンの伴奏でラジオ体操をしている。
それが終わってから神楽舞を一通りおさらいする。
ネルソンが附記の写しをくれたが読めなかったので、アンナに読み上げてもらい、自分の記憶の曖昧だったところをメモした。
「そうそう、こう教わったんだったわ」
附記には舞方についても詳しく説明されていた。
舞は天地神社と全く一緒だったのだが、300年前に来た聖女は天地神社のご先祖様だったのかもしれない。
足の上げ方、手の伸ばし方、鈴を鳴らすタイミングなど、非常に細かく記載してあった。
衣裳は、白衣は着物と一緒なので千代子が作ることにし、袴と千早だけ王宮裁縫師にお願いすることにした。
反物から無駄なく布を断ち切る手法はこの国の立体裁断とは全く違っており、裁縫師達は興味津々で異国の衣裳の仕立てを見守った。
とはいえ反物はなく生地(*反物は着物一着を無駄なく作るための生地でサイズが決まっています)、和裁に必要な道具も揃っているわけではなく、少し苦戦したものの、無事衣裳はできあがった。
小道具となる鈴や扇、御幣、神に捧げる供物類、酒、神域を作るためのニワトコの枝やしめ縄など、急ピッチで準備された。
一週間ほどしてからは、音楽隊とも合わせて練習をした。
神楽において舞は神を招き、その霊力を受け取って祈りを捧げるもの、曲にあたるお囃は場を清めたり霊力を高めたりする役割がある。
舞とお囃が一体となって、祈りの効果が高められるのである。
練習の間はハナコはルオンに預けられた。
千代子は日に日に重くなっていくハナコが少し心配になったのである。
「ハナコ、あなたおいしいもの食べ過ぎじゃないの? 抱っこが重くなってきた気がするわ」
「ワンッ」
ハナコはそんなことない、というように吠えてみせるのだった。




