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「それにしても神楽があんな正確に残っているとは驚いたわ」
「13年前にハディントン様がアースラン様に譲位されたあと、あの楽器室で異国の楽器と楽譜を見つけられたのです。ハディントン様は夢のお告げで知ったとおっしゃっていました。それ以来、いつ聖女様が現れてもいいようにと練習されています」
「ということは、ハディントンさんはあの曲が神楽だと分かっていたってことね」
「そうですね、楽譜の表紙にそう書いてありましたから」
「そうなのね……」
(あの楽譜、音符で書かれているのかもね)
本来日本の伝統曲は口伝で伝えていく。楽譜のようなものはあるが、それは文字と記号で構成されていて例えばドレミといったものではない。
それがほぼ完璧に伝わっているのだから、おそらくこの国の人が分かる形で以前の聖女は曲を残したのだろう。
あとはそれぞれの楽器が神楽においてどのような意味・役割を持っているのか伝えれば良いだけだ。
「ハナコもルオンと一緒に会議室にいると思います。もうすぐ着きます」
会議室に着くとてんやわんやの大騒ぎだった。
ルオンが千代子を見て、ハナコを連れてきてくれる。
「とてもいい子でしたよ、オートミールとフルーツをあげたら完食です」
「本当にありがとうございます。ハナコ、良かったわね。
それにしても大変そうね」
「ええ、地方で土砂崩れが起こってしまって。結界を張ってなるべく被害が出ないようにしてはいるのですが、どうしても国土全部を網羅することは難しいですしね」
ルオンはため息をついたが、
「でも、まあ出来るだけ国民に被害が出ないように、僕らは今できることに全力を尽くすだけです」
「皆さんそれを聞いたら心強いと思うわ。
私も頑張らなくちゃね」
「晴れ乞い、期待してますよ!」
そう言われるとプレッシャーである。
「チヨコ様、お部屋に戻りましょう」
「そうね、少し疲れたわ」
アンナと千代子はハナコを連れて部屋に戻った。




