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異世界カルコサの魔女回路・理不尽にTS美少女にされた俺、魔女都市の娼館での特訓の末、魔法を駆使し成り上がる!過酷な世界に抗うダークファンタジー  作者: あさなゆうなぎ
第1章 チートもハーレムもない世界

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第68話 恐ろしい気付き

「はい……それと、陛下とお話をしている時に、首の皮膚が破けそうな感触があったんですが?あれはやっぱり……?」


「ああ、あれ?あれは、幽体の剃刀という魔法で、遠隔から敵の首や身体を切断できる暗殺魔法よ」


(あ、暗殺魔法……?お、恐ろしい、こいつマジで私の命を狩ろうとして来やがってたよ!しかも何でそんな魔法を、敵でもない私にかけるんだよ!?)


「そんなの当たり前でしょ?お姉……女王陛下に、告げ口なんてしようとするからよ。万死に値するわ」


「で、でも陛下には私の考えは、分かっていたんじゃ」


「そこは安心しなさい。陛下にあなたの貧弱な思考が届かない様に、あなたの周りに思考結界を張っていたから」


(こ、こいつどこまで用意周到なんだ……)


「当たり前よ、陛下にあなたの考えなんて、お聞かせする必要なんてないのよ」


(ひ〜、ユリ陛下〜あなたの凶暴な妹、なんとかしてくださいよ〜)


 カシルダ城を出て、馬車がルルイエの市街地へと差し掛かり、窓の外の喧騒が再び大きくなり始めた頃。それまで腕を組んで黙り込んでいたユカリが、思い出したように、サキへと冷たい視線を向けた。


「サキ、女王陛下はさっき、私がいない時に、と仰られていたけれど……陛下に謁見する時は、必ず事前に私に教えなさいね」


(汚ねえ!こ、こいつ告げ口を恐れてやがる……!)


 サキの頭に浮かんだ思考をユカリは、見逃さなかった。ふっと鼻で笑い、ドレスの裾を上品に整えながら言葉を重ねる。


「そうよ、あなたがあることないことを陛下に話さないか心配だから」


(全てあることしか話さねえよ!)


 思わず心の中で全力のツッコミを入れるサキ。

 これまで受けてきたシゴキも、謁見時の首チョンパの脅しも、すべて100%ユカリが実際にやってきた事実ばかりだ。歪曲して伝える必要など、どこにもない。


「さあ、どうかしら?あなたはずいぶん、私に逆恨みをしているみたいだから」


(すべて正当な恨みなのに……くそ!この冷血魔女が!)


 理不尽な言い分にサキの怒りが頂点に達しかけた、その瞬間。ドス黒いマナがユカリの指先に集束し、パチパチと不穏な音を立て始めた。


「あら、サキ。あなたの首と胴が、離れたがっているわよ?」


「イタタタタ!ご、ごめんなさい!ユカリ様、許してください!」


 リアルに首の皮が引き裂かれるような鋭い痛みが走り、サキは車内で涙目になりながら全力で床に降り、土下座をした。

 誇らしそうに、目の前にユカリのハイヒールが見えている。


(くっ!)


 思考が筒抜けである以上、心の中でどれだけ悪態をついても、秒で物理的なお仕置きが飛んでくる。


 サキが完全に平伏したのを確認すると、ユカリは満足したように、マナの光を消し、冷淡な声音に戻した。


「ふふ、そうよ。分かればいいのよ」


「うう……もうやだよ……」


 膝を抱えて小さく丸くなるサキの横で、クティラが不思議そうに触手をふよふよと揺らしている。


「サキっち、泣いてる。どうしたの?」


「なんでもないです……」


「そうね、沈黙は美徳よ。サキ」


 強力なバックが出来たかと思ったのも束の間、結局はユカリの絶対王政の前に屈するしかない現実を突きつけられ、サキはこれからの特訓の日々に早くも絶望するのだった。


 ただ、翌日からの『ノーデンス』の特訓は、これまでの凄惨なマッチポンプとは打って変わり、サキにとって驚くべき変化をもたらした。


 ルルイエにある大規模な救療院。そこに運び込まれる怪我人や病人を相手に、サキは実践的な治癒魔法の訓練を行うことになったのだ。

 ユカリはサキの後ろに立ち、懐中時計を片手にその治療速度を厳密に計測している。


「サキ、もっと早く癒してあげなさい。あなたが早く癒してあげられれば、それだけ次の人を癒してあげられる。数多くの人々を救うことになるのよ」


 ユカリの指示は相変わらず厳格で、一切の妥協を許さない。常に淡緑色のマナを放ち、ノーデンスの術式を絶え間なく循環させ続けるのは肉体的にも精神的にも過酷極まりなかった。


 しかし、サキの心はこれまでの特訓とは比較にならないほど充実していた。


(きつい……マナが集中が切れそうだ。でも、自分の力がリアルに人のためになってる。……これなら頑張れるぞ!)


 サキの魔法によって、苦痛に歪んでいた人々の顔が次々と安らかなものへと変わっていく。その純粋な感謝の笑顔を見るたび、魔女見習いとしての正義感や「誰かを救いたい」という根底の優しさが満たされていくのを感じていた。


 ベッドの合間を移動しながら、サキはふと考えた。


(待てよ、最初からこうしてくれれば、あんなに痛い目に遭わなくても済んだんじゃ……やっぱり、あの優しいユリ陛下に謁見した効果が出てるのかな?ユカリ様も陛下に釘を刺されて、少しは反省したのかも)


 そこまで思考を進めたところで、サキの脳裏に、ある恐ろしい真実が唐突に浮かび上がった。


(待てよ?効率的にノーデンスを鍛える方法が、これだったとしたら……。あの一週間の『傷をつけられて、その場で自分の傷を治す特訓』って、もしかして……完全に、このドS魔女の趣味だったってことじゃないのか?!)


 あまりの衝撃に、サキの指先のマナが微かに揺らぐ。


「サキ、集中がおろそかよ!いらない事を考えない!」


「は、はいっ!」


(やはり、こいつならあり得る……)


 背後から飛んできたユカリの冷徹な一喝に、サキは飛び上がるようにして、次の患者の治癒に取りかかった。。


ユカリのドS振りが全開の回でした。

ただ、女王謁見効果も出てきました。

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