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異世界カルコサの魔女回路・理不尽にTS美少女にされた俺、魔女都市の娼館での特訓の末、魔法を駆使し成り上がる!過酷な世界に抗うダークファンタジー  作者: あさなゆうなぎ
第1章 チートもハーレムもない世界

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第55話 跳ね返る紫電

「相手って……まさか、今日はいきなり、この人と実戦形式の魔法対決でもやるのか?」


 サキの体内に移植された魔女回路が、目の前のエルダが発する、底知れない強固なマナのプレッシャーを感じ取って、トクンと緊張の脈動を打ち始める。


 ユカリは視線で、全員を訓練室の奥へと促した。


 サキ、ユカリ、そしてエルダの三人が、訓練室の中央に刻まれた、巨大な魔法陣の中心へと進み出て、互いに距離を取って向かい合う。


 ルクレツィアとクティラは、危険を避けるためにいつものように部屋の隅の壁際へと退避していた。


 ユカリは冷徹な美貌に、どこか楽しげな、底の知れない薄笑いを浮かべながら、サキを見据えて冷ややかに言い放った。


「サキ。今日は彼女に向けて、あなたの今の最大火力で、撃てるだけの魔法を撃ちなさい」


「え? ええええええーーーーっっ!?」


 サキの絶叫が、頑丈な訓練室の石壁に虚しく響き渡る。


目の前のエルダ・ルウ・ダーレスは、攻撃を仕掛けられる側であるにも関わらず、ただ静かに、その紫色の瞳でサキの指先を、じっと見つめ返しているだけだった。


「ユ、ユカリ様……最大火力って……私、あの岩の課題をクリアしたんですよ!?そんな、いくらなんでも最大火力って……」

 サキは必死に声を張り上げながら、抗議の視線をユカリへと向けた。


 昨日、あれだけ苦労して、移植されたばかりの魔女回路を限界まで酷使してようやくあの岩の課題をクリアしたのだ。

 少しは認められてもいいはずなのに、いきなり実戦形式、しかも生身のエルダに向けて最大火力を撃ち込めなど、正気の沙汰とは思えなかった。


 しかし、ユカリはそんなサキの抗議を、冷え切った切れ長の目で一瞥しただけだった。


「サキ」


「はい……?」


「あなた、何か大きな勘違いをしているのじゃないかしら?」


「え……?」


 あまりにも淡々としたユカリの問いかけに、サキは思わず言葉を詰まらせた。


「あの程度の岩を、一日がかりでようやく崩した程度で、何を満足しているの? プロの魔女であれば一撃で塵に帰す代物よ。自分の未熟さを恥じることはあっても、それを誇るだなんて、滑稽極まりないわね。ふっ、そういうのを、不遜というのよ」


 ユカリの冷酷な言葉が、サキの胸にグサリと突き刺さる。


「で、でも、人に向かって魔法を撃つなんて!確かに以前、ハイパーボリアの刺客に襲われた時は無我夢中で撃ちましたけど、あの時とはマナの出力が比べ物にならないくらい、上がってるんです! もし万が一、エルダさんに当たって怪我でもさせたら――」

「はあ……サキ、あなたって、本当に馬鹿なの?」


 心底呆れ果てたというように、ユカリが溜め息混じりに吐き捨てた。


「そんな……馬鹿って……」


(うわ、ユカリ様の馬鹿、がまた出たよ)

 サキは心の中でげんなりとしたが、その表情を表に出す余裕はなかった。


「あなたが馬鹿だから、馬鹿と言っているのよ。つべこべ言わずに、彼女へ向けてあなたの撃てるだけの魔法を撃ちなさい。……言っておくけれど、少しでも手を抜いた形跡が見られたら、その時はとてもきついお仕置きが待っているから覚悟しなさいね。その代わり、一発でも当たったら、今日の訓練は終わりよ」


 伸ばしたユカリの指先が微かに揺れ、そこから発せられるピリピリとした無言のプレッシャーに、サキの背筋にゾッと冷たい汗が流れた。


「は、はい……」


「じゃあ、始めなさい」


 ユカリが短く促すと、部屋の隅で見守っていたルクレツィアが、拳を握りしめて声をかけてきた。


「サキお姉様、ユカリ様のおっしゃる通り、思い切り撃っていいんですのよ!エルダーサインさんの防御は本当にすごいですから!」


「そうだよ、サキちゃん、大丈夫だから、いっちゃっていいんだよ!」


 クティラもスカートの裾から触手を小さく弾ませながら、無邪気に応援している。


  二人がそこまで言うのなら、本当に大丈夫なのだろう。


 目の前に立つ銀髪の少女は、深階第8位の席に就く「絶対防御」の魔女なのだ。


 サキはゴクリと唾を呑み込み、エルダへと視線を向けた。


「じゃ、じゃあ……エルダさん、行きます。お願いします……!」


「はい、よろしくお願いします。サキさん、いつでも結構ですよ。構えてください」


 エルダは、軍人のように凛とした姿勢のまま、直立姿勢で立っている。

 何か、防壁を展開するための予備動作も、マナの昂ぶりも、その白磁の肌からは微塵も感じられない。


(みんなが言うんだから、大丈夫なはずだ。第8位なんだし、私の魔法くらい……。まずは、一番慣れている雷撃弾からだ)


 サキは右手をまっすぐに突き出し、エルダの胸元へと照準を合わせた。

 体内の魔女回路が安定して稼働しているおかげで、昨日よりも遥かにスムーズに、そして強力なマナの奔流が指先へと収束していく。


「ケラエノ・ボルト――行けっ!!」


 ビシィィィィィンッッ!!!


 サキの指先から、昨日よりも一回り大きく、かつ密度を増した眩い紫色の雷撃弾が一直線に放たれた。

 空気を激しく焦がす音を立て、電撃は確実にエルダへと迫る。


 そして、その雷撃が彼女の衣服に触れるかという、その直前――エルダの周囲の空間が、一瞬だけ「木の葉型の星紋」を象るようにして青白く光り輝いた。


 ドンッ!!!


「ぎゃっ!!」


 次の瞬間、サキの視界が激しく上下に揺れ動いた。


 自分の身体が凄まじい衝撃に叩かれ、訓練室の後方へと文字通り「吹っ飛ばされた」のだ。

 サキはそのまま冷たい石畳の上をごろごろと転がり、背中を強く打ち付けて倒れ伏した。

まあ、セラーノ王国第8位の魔女ですから、まだまだサキの能力では及びもしませんね。

攻撃の次は防御。

これで防御魔法への対応も習得出来るでしょうか。

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