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異世界カルコサの魔女回路 〜理不尽にTS美少女にされた俺、魔女都市の娼館での特訓の末、魔法を駆使し成り上がる!過酷な世界に抗うダークファンタジー〜  作者: あさなゆうなぎ
第1章 チートもハーレムもない世界

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第23話 癒しとツンデレ

 ユカリの言葉通り、その日はこれまでにない、本当に厳しい特訓だった。

 心の中の「クソユカリ」が全バレした代償は大きく、少しでも集中が途切れた途端に、容赦のない電撃や炎に見舞われた。


 アザレアがヒーリング魔法で傷そのものは治してくれたが、なぜか肉体の奥に残るジクジクとした痛みまでは引かなかった。


(あいつ、傷だけ治して、わざと痛みだけ残しやがったな……)


 サキはもう夕食を摂る気力すら湧かず、這うようにして自分の部屋に戻ると、そのままベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。


「はあ〜……。早く魔法を習得したいけど、それまでに身体とメンタルがもつのかな……?」


 心細さと疲労で涙が出そうになった、その時。ふと、頭の上に何か柔らかくて温かいものが乗ってきた。


「さきちゃん、お疲れ様だね」


「あ〜……癒やしのウルちゃん!」


 サキは跳ね起きると、思わずウルの小さな腰をぎゅっと抱きしめた。


「ウルちゃん、疲れたよ〜。あのクソ……あ〜、お姉さん厳しいよ〜」


「そうなの? ユカリお姉ちゃん、いつも優しいよ?」


「ウルちゃんは天才だからな〜。すごいよ、本当に」


「そんな事ないよ。私、魔法が好きなだけだから」


「魔法が好き?」


 サキが腕の中で問いかけると、ウルは純粋な瞳を輝かせて頷いた。


「うん。だって魔法って、子供のわたしでも、悪い奴らをやっつけられるから。そうしたら、ここのみんなを守れるでしょ?」


「みんなを守れるか……。そうだよな、ここを守りたいって、この前俺も思ったんだよな」


 あの時の昼間の裏庭の光景が頭をよぎる。サキは心がじんわりと温かくなるのを感じた。


「ありがとう、ウルちゃん。お願いだから、お礼にもっとヨシヨシして〜」


「うん?なんか分からないけど、ヨシヨシ〜」


 ウルが小さな手でサキの頭を撫でてくれる。


「あ〜魔法幼女に癒やされる〜……。俺、この瞬間のために生きてるんだよな〜」


「うわっ、キモっ!」


「あ〜……やっぱりこういう時には、お約束の、お邪魔イベント発生なのか……はぁ〜」


 聞き慣れた最悪の罵声に、サキは白目を剥いた。いつの間にか部屋の入り口に、アザレアが腕を組んで立っていた。


「誰がお邪魔よ!あんたね〜、もう行動が男っていうか、オヤジだよ! 絶対に、金輪際、私の可愛いウルに、変なことしないでよね!」


「しねえよ! 癒してもらってんだよ!」


 反論するサキの横で、ウルが小さな手を広げてアザレアをなだめる。


「アザレアお姉ちゃん、さきちゃんも頑張ってるんだよ」


「ウル〜、あんたは本当に優しいよね〜。こんな奴のために〜」


「こんな奴って言うな!」


 まあ、確かに自分はまだまだ甘いところが抜けきっていないので、言い返しづらい部分はあるのだが。それでも、早くこのクソ生意気なエルフに、自分を認めさせてやりたいとサキは歯噛みする。


「この泥人形、あなたは本当に馬鹿なのね」


「な! おま、ユカリみたいな事を!!」


「あなたは、お姉様には様付けしないといけないんじゃなかった? それにさっき、心を読めるって言われてなかったかしら? 私やウルにだって、あなたの心は読めるんだよ」


「げっ、そうか!」


 サキは冷や汗を流した。今から思うと、ウルに対しては変な邪念を持っていなかったから、彼女もすんなりと自分を受け入れてくれていたのだ。アザレアに対して「クソ生意気」と思った瞬間に、また思考が漏れていたらしい。


「それと、あなた……『俺』って言うのは、そろそろやめなさいよね!」


「そ、そんなのいいだろ!」


「あ、あなたには、似合わないから……」


「へ?」


 予想外の言葉に、サキは間抜けな声をあげた。アザレアは少しだけ顔を赤らめ、ぷいっと横を向く。


「だから、今のあなたには似合わないって言ってるの! せっかく、それだけ可愛いのに……」


(へ? なんだって?こいつって、もしかしてツンデレ……?)


「なによ〜、つんでれ、ってどういう意味?」


「ああ、いや! なんでもないです!」


 サキは頭を抱える。


「心が読まれるのって、全然心が休まらないよ……」


「そう思うなら、早くマナや魔法を使いこなせる様になることね」


 そう言い捨てて、アザレアは部屋を出て行ってしまった。後に残されたサキは呆然とする。


「……なんだったんだろ、あいつ」


「さきちゃん、アザレアお姉ちゃんも、本当に優しい人なんだよ」


 ウルがサキの袖を引いて言った。


「え? ウルちゃん、あれのどこが……!?」


「いつもウルをヨシヨシしてくれるし」


「ま、まあ、それはウルちゃんが可愛いからであって……」


「いつもウルやユカリお姉ちゃんや、ここの子たちが怪我や病気をしたら、すぐに治してくれるんだよ」


 ウルの言葉に、サキはハッとした。 アザレアの癒やしの魔法。彼女は口こそ最悪だが、かつて戦争で傷ついたこの場所の仲間たちを、その両手でずっと支え続けてきたのだ。


(癒やしの魔法が得意らしいから、彼女なりにそういう役割に特化してるんだろうな。……でも、それなら俺の心も癒やしてくれよ〜!)


 自分のプライドをへし折ってくる二人の魔女を思い浮かべながら、サキは自室に戻り、ベッドの中で枕を濡らすのであった。。


癒しのウルに、ツンデレのアザレア。

そして、彼女達に心が読まれていたサキ。

思考が読まれるのって怖いですよね……

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