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異世界カルコサの魔女回路 〜理不尽にTS美少女にされた俺、魔女都市の娼館での特訓の末、魔法を駆使し成り上がる!過酷な世界に抗うダークファンタジー〜  作者: あさなゆうなぎ
第1章 チートもハーレムもない世界

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第17話 微かな覚悟

「そうだよな……。俺はもう、この世界で生きていくしかないんだからな。よし!」


 サキはベッドの上で小さく息を吐き、自らの細い拳を握りしめた。


 いつまでも泣いて拒絶していたって、日本へ戻ることは出来ない。だったら、せめて――。


「せめて、俺の魔法で、アイツらを救える道があるのなら……」


 ユカリの言っていた、死ぬまで強制的に戦わされるハイパーボリア皇国の兵士たち。


 完全に消滅させることが救いだなんて、やっぱり悲しすぎる。


 しかし、まだ今の自分では、異世界人とはいえ、命を奪う事には躊躇してしまう。

 それは、自分が元いた現代日本の倫理観で、この世界では甘い考えだという事は自覚している。

 しかしもし、あの魂の縛りを解いて、生きて救えるような魔法があるのなら。

 

 そんな都合の良いものがあるかは分からないけれど、何もできずに怯えるだけの存在ではいたくなかった。

 そのためには魔法を一つでも多く使える様になるしかない!


 サキはハッとして顔を上げた。

「そうだよな……でも、その前に」


「ウルに、昨日助けてくれたお礼をまだ言ってなかったよな。あ……さっき、ナイアルにも言うのを忘れてた。まあ、あいつはまた会えた時でいいか」


 いくら戦い方が怖かったとはいえ、彼女が命懸けで自分を守ってくれたのは事実だ。

 あんな風に拒絶して、トイレにまで駆け込んでしまったのは、いくら何でも彼女に失礼すぎた。


 サキは意を決してベッドから出ると、身だしなみを整え、二人がいるであろう食堂へと向かった。


 重い木製の扉を開けて食堂に入ると、そこには意外な光景があった。


 いつもなら真っ先にサキを見つけて飛びついてくるウルが、珍しく俯いて、元気がなさそうにスプーンを動かしている。


 その小さな背中を、ユカリが優しくさすっていた。

 サキに拒絶されたことを、子供ながらにずっと気に病んでいたのだろう。


 胸が痛んだ。サキはゆっくりと彼女たちのテーブルへと近づき、声をかけた。


「ウル、ちゃん……」


 ぎくっ!と、ウルが弾かれたように勢いよく振り向いた。

 その琥珀色の瞳は、心なしか少し潤んでいるように見える。


「さき……ちゃん?」


 サキはウルの前に立つと、頭を深々と下げた。


「昨日は、せっかく助けてくれたのに、あんな酷いことを言ってごめん……っ! ウルちゃん、俺を助けてくれて、本当にありがとう」


 サキが誠心誠意の言葉を伝えた瞬間、ウルの目から涙が溢れ、顔がみるみるうちに輝き、満面の笑顔へと変わった。


「さきちゃん……っ!」


 ウルは椅子から飛び降りるような勢いで、サキの胸へと激しく抱きついてきた。その小さな温もりに、サキの心の中にあった恐怖は、完全に消え去っていた。


「ウル……本当にありがとうな」

 サキは愛おしさを込めて、その柔らかな髪を優しく何度も撫でる。


 ふと視線を上げると、ユカリがそんな二人の様子を、実をとても嬉しそうに、慈しむような穏やかな目で眺めているのが見えた。


 しかし、サキの視線とバッタリ合ってしまった瞬間、ユカリはハッと我に返り、すぐにいつもの冷徹で澄ました表情へと戻った。


「……コホン。お互いに納得が出来たようね。じゃあ、これからはウルの手を煩わせないように、しっかりと魔法の訓練に励みなさいね」


「もちろん! 強くなって、俺もいつか人を助けられるようになってみせるぜ!」


 サキが拳を突き出して意気込むと、ユカリは呆れたように眉をひそめた。


「サキ、女の子は、そんな乱暴な言葉遣いはしないものよ」


「まだ俺の中身(気持ち)は男なんだよ!」


「そう。……じゃあ、その大層な特訓の前に、まずは溢れる『マナ』を出しておかないとね」

 と、ユカリが妖艶な笑みを浮かべる。


「はあ……。それは、どうしても無くならないのかよ……」


「幸いあなたはマナの量が多いから、純潔だけは守れるんだから」


「最初に、その俺の純潔を奪ったのは誰だよ!」


「ねえ、さきちゃん。なに?じゅんけつって」


「な!ななな、なんでもないから!」


「そ、そうよ、ウルは気にしなくてもいいのよ!サキ、はい、食事よ!食べなさい」

 と、ユカリは焦りながら、魔法でサキの前へ朝食を並べた。


「ああ〜、朝ごはん美味しいな〜!ほら、ウルちゃんも食べないと!」


「そ、そうよ、ウル。サキも来たんだし、食べなさいね!」


 ウルは、焦る二人を交互に見てから、食事に手をつけた。


「うん!おいしい!」

やっと前を向ける様になったサキ。

ウルとも和解しました。

これで魔法の修行も進みそうです。

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