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5.逃げた先でも、追いかけてきた過去


三人目を出産して、

少し経った頃の結婚10年目の日。

私は離婚した。


限界だった。


毎日、

相手の顔色を見ながら生きることに、

もう耐えられなかった。


でも、

離婚は簡単じゃなかった。


結婚2年目の時は離婚届を破り捨てられたから。今回は何が何でも離婚したかった。


まずは夜の営みを強く拒否るす事から

始めた。なるべく熟睡しないように

いつも気を張っていた。


拒否すると別の部屋に行き、壁や冷蔵庫を

殴る音が聞こえた。怖かった。


でももう、身体を許したくなかった。


働く許しを得た。

薄々勘づいていたんだと思う。


働いて引っ越し資金と初期費用を貯めた。


離婚の話をした時、父は怒った。


「なんで離婚するんだ」


「俺がそっちに行って話す」


福岡から北海道まで来ようとしていた。


私は怖かった。


離婚の話し合いに、

父まで来たら、

また何も言えなくなる気がした。


だから、

「来なくていい」

と初めて強く言った。


「弁護士も同席するから」


父は実際に北海道へ来た。


でも、

話し合いの場には現れなかった。


長女は父親側へ。


次女と長男は私が引き取った。


長女には何度も確認した。


「本当にそっちでいいの?」


何回聞いても、

答えは変わらなかった。


だから、

私はその意思を尊重した。


苦しかった。


子どもを置いていくみたいで、

胸が裂けそうだった。


でも、

無理やり連れていくことだけはしたくなかった。


離婚後、

私は福岡へ戻りたくなかった。


実家へ戻れば、

また支配される。


また、

“私の人生じゃない人生”に戻る気がした。


だから、

相談していた友人がいる関西へ引っ越した。


住む場所も一緒に探してくれて、

北海道にいる間に契約まで済ませてくれた。


その優しさに、

私は何度も救われた。


二年後、

その友人と再婚した。


今の旦那さんだ。


最初は戸惑った。


優しくされることに、

慣れていなかったから。


怒鳴られない。


機嫌を伺わなくていい。


失敗しても、

人格を否定されない。


そして「愛してる」と言ってくれる。


そんな当たり前が、

私にはずっと無かった。


しばらく関西で暮らしていたけれど、

ある日、

実母から泣きながら連絡が来た。


「帰ってきてほしい」


私は迷った。


でも、

実母との関係を、

やり直したい気持ちもあった。


だから福岡へ戻った。


実母とは、

連絡してから会う距離感だった。


それくらいが、

ちょうどよかった。


でも父たちは違った。


頻繁に、

アポ無しで来るようになった。


インターホンが鳴るたび、

心臓が跳ねた。


「なんで長女を引き取らない」


「姉弟を引き離すなんておかしい」


責められ続けた。


事情なんて、

聞いてもらえなかった。


そして私はまた、度々呼ばれて

実家の宴会を手伝わされるようになった。


料理。


配膳。


片付け。


動いても、

感謝されることはない。


弟は何もしないで親戚の人たちと

お酒を飲んでいた。


妹は遠方にいたからお客様扱い。


なぜか私だけが動いていた。


昔と何も変わっていなかった。


私は結局、

どこへ逃げても、

“都合のいい人”に戻されるんだと思った。


旦那さんも動こうとしてたけど

親戚の人に止められていた。


「男が配膳なんてするもんじゃない」


うちは古い家だから、そういう思考の人が

多かった。


子供の世話もあったから、そっちを

お願いした。


私はずっと無心で動いた。

朝10時~夜中の0時までずっと

動き続けた。


食事は宴会の間ではなくキッチンで摂った。その方が楽だった。


これが宴会がある度に続く。


私の心と身体は限界をすぐそこまで

迎えていた。


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