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4.家を出ても、自由にはなれなかった


専門学校を卒業して、

私は家を出た。


家からの支援は何もなかった。


家具も、

生活費も、

「頑張れ」の一言すらなかった。


それでも、

実家を離れられることだけが救いだった。


友達とルームシェアをして、

働きながら生活した。


苦しかったけど、

少なくとも、

父の顔色を見なくていい。


それだけで、

少し息ができる気がした。


でも、

自由は長く続かなかった。


親に連れ戻された。


理由は

「私がいなくなって増えた

家事が大変だから」


そんな理由で、友人との楽しい生活を

邪魔された。


小学生の頃からしていた家事は、

さらに増えた。


気づけば、

私は家族の中で、

“便利な人”になっていた。


年に3回ある宴会の準備。


片付け。


料理。


家の掃除。


風呂掃除。


呼ばれれば動く。


でも、

どれだけ動いても、

褒められることはなかった。


むしろ、

「もっと気を遣え」

「動きが遅い」

「他の人を見ろ」


そう言われ続けた。


妹も弟も何もしていないのに

私だけが強要され、やっても

「していない」事にされた。


私は、

何をしても足りない人間にされた。


そんな頃、

ネットで知り合った人と付き合い始めた。


優しかった。


話を聞いてくれた。


初めて、

「この人となら幸せになれるかもしれない」

と思った。


だから結婚した。


でも、

結婚してから、

その人は変わった。


いや、

本当は最初から、

気づけていなかっただけなのかもしれない。


父親に似ていた。


怒る。


否定する。


威圧する。


空気を支配する。


私はまた、

相手の機嫌を見ながら生きるようになった。


でも、

死ぬことはできなかった。


妊娠したからだ。


お腹の中に子どもができた時、

「死にたい」より先に、

「守らなきゃ」が来た。


だから私は、

生きることを選んだ。


いや、

正確には、

“死ねなくなった”のかもしれない。


出産して、

育児をして、

また妊娠して、

また出産して。


気づけば、

毎日を生き延びるだけで精一杯だった。


たぶん、そうするようにさせられて

たんだと思う。好きで妊娠したわけでは

なかったから。


性的DVを受けていたから。

育児に疲れて寝ていたら襲われていた。


そんな時、祖父が亡くなった。

唯一私を見て、褒めてくれた存在が居なくなった。

目の前が真っ暗になった。


自分が何を好きだったのか。


何をしたかったのか。


どんな人生を望んでいたのか。


わからなくなった。


ただ、

母親として動いていた。


それだけだった。

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