第9話 夕日に向かって走る三頭の馬と俺
ラビィーの隣にシープ、パンチャが歩み寄る。
あれ? 俺の事はもうイジらないの?
俺は今、フォローを待っているんだが……このメンバーじゃ、期待するだけ無駄か。
「それで、ラビたん。これからどうするの?」
「魔王を倒す! 私たちの戦いはこれからよ」
「ラビたん。カッコいい~。マジカワユス~」
「少年漫画みたいな終わり方だな。いや、終わらないけどね。そして何よりもパンチャがキモッ! ぐあっ!」
言った瞬間、しまったと思った俺。
しかし、すでに時遅し。俺の懐に潜り込んだパンチャは、某ボクシング漫画のような悶絶ボディブローを俺のお腹にめり込ませていた。
「ふん、雉も鳴かずば撃たれまい」
「とりあえずベアルと合流しましょう。ベアルとは連絡も付かないし心配ですわ」
「ごほっ! 俺の心配はしてくれないんだな、シープさん。で、ベアルって誰だ?」
「マインツ・ベアッスル。四武太守の一人ですわ」
ラビィー、お前も俺の心配なんてしてくれないのね。
俺がウサギだったら寂しさで死んじゃうよ。って、この話って実は嘘情報なんだよね。俺って意外に博識。本の主人公なんでちょっと良い所を載せてみました。
「え~ベアルにも声をかけるの?」
「なんでそんなに嫌な顔をするんだ? 四武太守の1人だろ?」
「あいつは色々と面倒くさいのよ」
「それはお前だって一緒……ぐあ!」
パンチャの拳を顔面に受け、吹っ飛ぶ俺。
なんか吹っ飛ぶ事に慣れてきたよ。やばいかな、これ。新しい扉を開き始めているのか? いや、俺はMじゃない。って、こんな事を思っている場合じゃないだろ。
「善は急げと言いますし、準備をして出発しましょう」
「異論、ない」
「この2人のスルースキル、半端ないな」
出発の準備をした俺たちはベアルに会いに行くため、城の城門に集まった。馬に乗っているラビィーの後ろにしがみつく俺。
誰だ! 情けない主人公だと思っている奴は!
しょうがないじゃん。馬なんて乗ったことないんだから。
「あんた、馬に乗れない振りしてラビたんにセクハラするなんて本当に最低ね」
「本当に乗れないんだからしょうがないだろ! じゃあ、お前が乗せてくれるのかよ!」
「嫌よ。あたいの身体はシープ姉さまとラビたんの物なんだから」
「うわぁ~言い切ったよ。この人。んじゃ、シープは……」
「申し訳ありません。私は年下セクハラ教育係に身体を触れられるなんて無理ですので」
「最高の笑顔で最低な毒舌を吐いたよ、この人。やっぱりこの人も面倒な人なんだ」
「じゃあ、出発」
馬に鞭を入れて走り出す3頭の馬。
俺を乗せているラビィーの馬が頭を上げて、俺だけを振り落とした。
「痛っ! おい、俺を置いていくって、お約束すぎるだろ~!」
夕日に向かって走り出す3頭の馬。俺の声が空しく響き渡る。
――そして、その情けない姿も、本に刻まれた
~~第18代教育係、真島麒麟の書、1章完~~
1章終了です。
これから新しいキャラが出てきてもっとカオスになります。
読んで頂けたら嬉しいです。




